帰化と戸籍について ― 2006/08/26
http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2006/05/?offset=10 に関連して、質問と回答です。
>彼の場合、親の同意も得て申請をしたのですが結果はNG。理由が「三親等以内の親戚で前科者がいるから」でした。彼も驚いていました。ムショ送りがいたなんて!!> >三親等って結構厳しいですねー。外国では当たり前のことなんでしょうかね?帰化するのは本人1人なのだから…とは言っても犯罪者の親族を簡単に日本人にするわけにはいかんという心情的な所も分からないではありませんが。>
ご紹介されました事例http://korean3rd.seesaa.net/article/1663014.html の前提には >彼は高校卒業時、就職を機に帰化しようとしました。>とありますから、未成年です。彼本人だけでの帰化は困難で、家族全員での帰化申請と思われます。その家族に犯罪者がいれば、帰化はできないでしょう。なお犯罪者でも罪を償ってから5年以上何事もなく過ごせば、申請は可能なようです。
> とはいっても彼が一生帰化できないかといえばそうではなくて、日本人と結婚して子供を産めば帰化はできるようになるそうです。結婚が帰化における最強のカードのようですね。>
帰化の要件は前に記した通りですから、結婚が最強のカードとはなりません。素行不良者はどんなことがあっても困難でしょう。
> <帰化すると戸籍に三代まで> とのことですが、戸籍に前の世代が書かれて無ければ、結果的に <「元朝鮮人」とか「新日本人」> と書かれたのと同じことではないでしょうか。> > 因みに、例えば、日本人が新しい戸籍を作っても、専門家には過去が分かると聞いています。>
おそらく明治の初めの壬申戸籍作成時に、エタ・非人身分だった人たちが「新平民」と書かれた史実から連想されたデマと思われます。「元朝鮮人」「新日本人」という記載はあり得ません。 戸籍は出生・婚姻・養子・死亡、および身分関係、国籍の有無を証明するものです。別に言えば当人の過去と現在を証明するものです。その範囲での過去なら、専門家でなくても分かります。
>当人の過去が戸籍で証明される、とのことですが、戸籍に親である外国人の外国名と、其の外国名の親との身分関係、例えば「金大中の長男」というように親の本名と関係が書かれるのでしょうか。> >戸籍を見れば素人でも、戸籍の主が帰化者一世または帰化者二世であることが分かる、ということでしょうか。帰化前の国籍も戸籍から分かるのでしょうか。>
戸籍の父母欄には実名が、そして父母欄の下欄に長男か二男か等の関係が記載されます。 事項欄に帰化および帰化届出の年月日、原国籍、従前の氏名が記載されます。
> 新戸籍を編成すると、その戸籍だけでは親のことなどが分からない、ということですね。>
戸籍の父母欄には、出生時の父母の実名が記載されます。
> ということは、就職面接のときなどに親のことを尋ねられる可能性が大きいのではないでしょうか。そして、正直に答えれば、後日、不採用の通知などが来る可能性が有るのではないでしょうか。>
1980年までには、就職時に戸籍を提出することあるいは採用側が戸籍を取り寄せることは禁じられております。また1970年代に母子家庭を排除するという就職差別が暴露されて社会問題になってから、親のことを尋ねることも禁じられております。
> 嘘を言って入社とか結婚とかすれば、嘘がばれるのではないかと心配で落ち着かないでしょう。>
嘘の内容の重大性によりますが、採用取り消しや婚姻解消の正当な理由になります。
>結局、帰化事項が戸籍から消えても、相手にとって重要な場面では、帰化事項が消えない場合と違いが無いと思いますが、如何でしょうか。>
「相手にとって重要な場面」という仮定ですが、およそ理解できない想定ですので、答えられません。
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