赤松啓介の夜這い論 ― 2008/02/02
故赤松啓介氏は民俗学・考古学者。戦前からの共産党員で、非転向を貫きました。 この方の自宅を訪ねて、お話を聞かせてもらったのが1970年代のことでした。戦前の特高の拷問の後遺症で耳はちょっと遠く、手の爪のいくつかは変形していました。 そのころには高齢のために離党しておられて、そのために自由な発言を始めておられました。
日本では夜這いの風習は昭和になって無くなっていくのですが、彼はその最後の体験世代です。その話を語った著作が有名です。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E6%9D%BE%E5%95%93%E4%BB%8B
お会いしたときも、その話をお聞きしました。そのなかで特に印象的だったものが次です。
「ええか。勘違いしたらアカンで。夜這いゆうのは、村が貧しいからあるんや。貧しいから夜這いの風習があるんや。 村が豊かになってみい。近くに淫売屋ができる。そこは商売でやるんや。お客を喜ばせようと、いろんな工夫をするやろ。 けど夜這いやったら、ただ横になっているだけや。 村の男たちは、夜這いより淫売屋の方が面白うなって、そっちに行くようになる。それで夜這いをせんようになっていったんや。」
夜這い風習の衰退原因が経済的な発展であるという説は、体験に基づくだけに説得力があり、新鮮でした。
ところで朝鮮ではどうなんでしょうか。両班階級は性倫理が厳格でしたが、常民階級はそうではなかったはずです。しかし、なかなか記録が見当たりません。
謝罪することが日韓友好? ― 2008/02/09
>熊本の教員団体、明成皇后の墓で「謝罪」 7月31日16時15分配信 YONHAP NEWS 【南楊州31日聯合】熊本県の現職教師と元教師が中心となり結成された「明成皇后を考える会」の会員らが31日、明成皇后の陵墓がある京畿道南楊州市の洪陵を訪れ、明成皇后殺害事件に対する反省の意を伝えた。明成皇后は朝鮮王朝末期の国王高宗の妃で、1895年に日本人に暗殺された。考える会は、正しい歴史教育で韓日の友好増進に寄与することを目的に設立され、同日は会員13人が陵墓を参拝した。 熊本県河内小学校の山野幸司教諭は、「先祖らが政治的目的と誤った考えで殺害事件を起こした。教師として正直に歴史を教えなければならないとの考えから洪陵を訪れた」と目的を説明した。 明成皇后史跡訪問団の岡崎和三団長は、「日本では8社の教科書のうち明成皇后殺害事件を扱ったものは1社だけで、それすらも正確でない内容となっている。日本人の謝罪は受け入れられないだろうが、最後まで許しを願い、真の韓日友好関係が築かれることを願う」と話している。 >
朝鮮史をどう感じようがそれは個々人の自由ですが、こんなことまでするのか?と思える事態です。 このような人たちを何て呼べばいいのでしょうか? そのうちに豊臣秀吉の朝鮮出兵や倭寇なんかも「謝罪」しそうです。 さらには、もっと遡って神功皇后の「三韓征伐」も謝罪することでしょう。
女性解放が賃金低下をもたらした ― 2008/02/16
1970年代の記憶として、当時の労働運動における賃上げ闘争の理由は、
>こんな給料でヨメさん子供を食わせられるか?!ヨメさんが働かなくてもやっていける給料を出せ!!>
というものでした。つまり共働きは給料が安いために仕方なくやるものであって、豊かな生活とは主人が働き、妻は専業主婦として一家を切り盛りする、というものでした。
これは労働者だけでなく、資本家(=雇用者側)も同じ認識でした。だからこそ、賃上げ闘争がかなり成功してきた、というのが当時のことだったと思います。
ところがこの同時期に知り合いが勤めていた某生活協同組合(理事長が革新系の議員さんで、各理事・管理職もゴリゴリの党員が多かった)でその内実を聞いた時、驚きでした。革新系でいわゆる「搾取」というものはないのだから、そこで働く労働者はそれなりに豊かであろうと思い込んでいたのですが、かなりの低給料でした。
そしてその生協の専務理事自身が、
>うちの職員には、20万円の給料しか出せないのなら20万円分の生活をしてもらう、15万円の給料しか出せないなら15万円分の生活をしてもらう。共働きは当たり前だ。>
という話を公の席で堂々と発言したのを聞きました。
利益を目的とする企業(資本主義そのもの)では、社員が共働きしなくても生活できるような給料を出そうと、会社も労働組合も頑張っていたのですが、 他方利益を求めない革新系の事業所(資本主義を否定して社会主義をめざす)では、低給料・共働きは当たり前のところでした。
このような30年前の状況を知るものにとって、女性解放運動(あるいは男女共同参画とも言うらしい)は、賃下げの理由にはなっても、賃上げには繋がらないのではないかと思えます。女性解放とは自立を意味するのですから、女性も働く(=共働き)が当然の考え方になるからです。
もし私が会社側の人間であれば、賃上げ要求する労働組合に対しては、それで生活できないならヨメさん働かせなさい、自分の給料では苦しくても共働きすれば生活できますよ、と同情することなく突き放すことでしょう。
女性解放(=自立)は労働者の賃金低下をもたらした、と私には思えてなりません。
松岡徹氏に関する拙稿が役立った ― 2008/02/23
松岡徹さん(民主党参議院議員・部落解放同盟書記長)の経歴について、闇専従だったのではないかという疑問を呈したことがあります。 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2006/05/26/381520
これについて、昨年出版された『大阪同和帝国の正体』(一ノ宮美成ほか著 宝島社 2007年7月)で次のようにとりあげられています。
>(給料を出したところが)もし大阪市からということであれば、ヤミ専従ということになる。いや、解放同盟からもらっていたということになれば、その間休職していたのかという話にもなるが、14年間の休職などありえない。あの奈良市役所の幽霊公務員でさえ、形式的には「病休」扱いで長期休暇をくり返していた。 このヤミ専従疑惑は、06年5月、インターネット上で取り沙汰された。だからだろうか、いつのまにか「公式ウェブサイト」から「私の歩んできた道」の部分がすっぽり削除され‥‥>(176頁)
このなかの「06年5月、インターネット上で取り沙汰された」は、正に拙稿のことです。筆者は拙HPには全く触れていないのが残念ですが、拙稿が世の役に立ったようで、少々嬉しいものです。