韓国ドラマに出てくる「白丁」2008/05/31

 「白丁」は、日本では封建時代の最下層身分であった「穢多」「非人」に相当する言葉で、いわゆる差別用語と言ってよいものです。   http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainijuunanadai

 日本ではこういった言葉が出てくると大騒ぎになりますが、韓国では日常的に使われる言葉で、テレビにも出てきます。

 最近の韓国ドラマ『テルン選手村』にも「白丁」という言葉が出てきます。それはオリンピックを目指すスポーツ選手のドラマですが、そのなかで金メダルは「聖骨」(新羅の身分制度である骨品制の最上位)、銀・銅メダルは「真骨」(骨品制で二番目)‥‥そしてオリンピックに出場すらできない二軍連中は「白丁」と説明されていました。

 日本語字幕ではさすがにそのまま書けずに「農民」となっていましたが、音声でははっきりと「ペッチョン」(白丁の朝鮮語読み)でした。

 文芸評論家の川村湊さんは、差別用語が日常的に使われる韓国社会を「韓国では差別がゆるい」と評価しています。http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2006/04/28/344906  しかし差別用語が平気で堂々と使われる社会を「差別がゆるい」と評するのは、やはりいかがなものか、と思います。

コメント

_ マイマイ ― 2009/12/31 14:47

非常に興味深いブログで参考になることが多いです。「韓国では差別がゆるい」という評価は私も同意できません。韓国にいる父方の親族との交流を通じて思うのですが、社会的な階層の棲み分けが日本よりもくずれていないため差別問題は表面に現れてこないように見えます。たとえば見合いであれ恋愛であれ結婚は同じ地域の同じような階層で行われる傾向が強いです。慶尚道出身者と全羅道または済州島出身者との結婚は水面下で避けられている思います。
 若いころ部落問題に関心があったので、知り合いの韓国人留学生に「白丁に対する差別はまだあるんですか」と気軽に問いかけたら、「ありません。そんなことば絶対に口にしてはいけない」と興奮して答えられていたのでまだタブーなんだと思ったものです。
「チャングムの誓い」で「ペッチョン」というせりふが出てきてちょっと気になったりしたんですが、韓国では「ペッチョン」は生活の中でリアルな接点がないため安心して視聴できるのかなと解釈してます。
 私は韓国は儒教的伝統ではぐくまれた「良さ」と「そうでない部分」を併せ持つ国と思ってます。

_ 辻本 ― 2010/01/03 20:14

マイマイ様
ご投稿、ありがとうございます。また、せっかく投稿されたのに、公開が遅れてすみませんでした。
 この年末・年始は韓国に行ってきて、投稿チェックができませんでした。

>たとえば見合いであれ恋愛であれ結婚は同じ地域の同じような階層で行われる傾向が強いです。慶尚道出身者と全羅道または済州島出身者との結婚は水面下で避けられている思います。

 これは かつて(20年以上前)の在日社会でもそうでしたねえ。慶尚道を故郷とする在日がお見合いする時、親の一世が、相手が済州島はダメ、全羅道はダメ、誕生日を見るとクンハプ(宮合)もダメとか言われて、相手をなかなか探せなかったという話を聞きました。

〉私は韓国は儒教的伝統ではぐくまれた「良さ」と「そうでない部分」を併せ持つ国と思ってます。

 韓国だけでなく日本も ’「良さ」と「そうでない部分」を併せ持つ’ 国です。
 これをお互いが理解しあえるようになりたいと思っています。

_ 海苔訓六 ― 2023/02/13 18:31

いま小林よしのりさんの『ゴーマニズム宣言差別論スペシャル』を電子書籍で読んでいるのですが、解放同盟の組坂さんとの対談で『水平社宣言でもエタとカタカナで表記しているように、穢多はあとからエタが汚ならしいものであるかのように漢字であてた当て字なので本来の意味ではない』と説明を受けてましたが、これは本当なんでしょうか?

_ 辻本 ― 2023/02/14 02:00

 水平社宣言ではカタカナの「エタ」です。
 「エタ」という言葉の起源は諸説あります。
 漢字の「穢多」は中世にまで遡りますが、「エタ」の当て字なのかどうか。 はっきりは分からないようです。

 なお水平社宣言では、獣もカタカナで「ケモノ」としています。
 この意味もはっきり分かりません。
 というより、それに注目した人はいないようです。

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