白い米と肉のスープ2011/02/14

 北朝鮮の故金日成が、国民に「白い米と肉のスープ」が食べられるようになると約束したのは、1970年代とばかり思っていました。

 最近『写真と絵で見る北朝鮮』(コモンス 2010年12月)を読んで、それはもっと古く、1962年であることを知りました。

>1962年秋の最高人民会議第3期第1次会議で‥‥機関誌は「1963年の目標が達成されれば、北朝鮮のあらゆる勤労人民は瓦屋根の家で米飯と肉を食べ、よい服を着て豊かな生活が送れるだろう」と伝えた。>(148頁)

 昨年1月に、金正日が 「首領様(金日成)は、人民が白い米のご飯に肉のスープを食べて、絹の服を着て瓦の家で暮らせるようにしなければならないとお話になったが、私たちはこの遺訓を貫徹することができていない」 と言いましたが、この「遺訓」というのが、実に48年前のことだったのです。

 これが何故実現できなかったのか、そもそも実現できる見通しがあったのか、北朝鮮人民はこの約束違反をどう思ってきたのか、 「偉大な首領 金日成同志の教示を無条件に執行せねばならない」 ことを国民に強要してきた金正日自身が、「貫徹することができていない」と平然と言い放ち、責任を取ろうとしない‥‥‥。

 異常としかいいようのない北朝鮮。もしこんな国が崩壊もせず、これからも生き続けるとしたら、一体どんな姿になるのでしょうか? もし類例を見つけるとしたら、 オカルト宗教団体ぐらいでしょうか? これが国家レベルとなると、これまでの人類史上では例のなかったことと思われますので、研究対象としては興味があるものです。