郵便ポストを設置させた解放運動 ― 2012/07/07
昔の解放運動の思い出を書きます。もう何十年も前の話です。当時私は解放運動の集会に参加したりして、それなりに大きな関心を寄せていました。
解放運動の成果として次のようなことがありました。
ある同和地区では郵便ポストがない、これは差別だ!と郵政局に対し闘争を行ない、地区内にポストを設置させることになった。これは解放運動の成果の一つとして報告された。
ところがこの地区の郵便配達を担当する方が、設置されて1年経つが、郵便ポストに郵便が入っていたことがほとんどないと、ぼそぼそと語り出した。
これは当時の同和地区の実際を知る人にはすぐに分かることで、彼らには手紙を書く習慣がなかったということです。これは全部ではありませんが、この傾向は非常に強かったのです。
こんな状況ですから当然手紙を書くことはありません。解放運動の趣旨からすれば、郵便ポスト設置の闘争を行ない獲得したのだから、次はこの成果を生かしてみんなで手紙を書いて出そう、と自分たちの生活の質を高める運動に繋がらなければならないと思うのですが、そんなことはありませんでした。ポストの設置だけで終わったのです。
つまり解放運動は、他に対しては果敢に闘いながら、内に対しては地道な努力をしない運動だった、ということです。
解放運動は人間の解放ではなく、闘いが目的だったと思っています。