孫崎享の沖縄独立論 ― 2013/11/29
文藝春秋の『2014年の論点』を購読。こういう類の本は、各論者が2~4頁程の分量に書いているので、簡潔で読みやすいものが多いです。成る程そういうことだったのかと知るものがあれば、何だ!これは?と疑問に思うものもあります。なかには孫崎さんの「沖縄独立論はいま、現実的なのか」(130~131頁)のようなビックリ仰天の論文がありました。
過去「沖縄独立論」は床屋談義のように、実現するはずのないことを語るという色彩を持っていた。 その段階は終わったと思う。今や、沖縄の人々は現実味のある政治課題として沖縄独立論を語り始めた。‥‥ 中国経済が拡大していけば沖縄の中国との結びつきは当然強まる。これに加えて、台湾、香港、韓国との結びつきが増える。こうしてみると、日本本土との結びつきは沖縄にとって唯一ではない。‥‥ 沖縄県民が住民投票で「独立する」と投票すれば多分日本政府になす術はない。現下の国際政治では地域住民の意思が何よりも重視される。 「尖閣諸島は1ミリとも譲らない」と言っているが、沖縄が独立すれば、こんな議論もいっぺんに吹っ飛ぶ。
これが、かつて外務省国際情報局長や駐イラン大使という外交の重職を務めた人の書いたものとは、とても信じられないものです。
日本の領域の一部が独立するとどうだろうか、というのは小説で出てきます。古くは高橋和巳の「邪宗門」や、井上ひさしの「吉里吉里人」がありました。なかなか面白かったのですが、あくまで小説。
しかし孫崎さんは自らの主義主張として「沖縄独立」を訴えています。この人が中国のチベットやウィグルでも同様の主張をするのなら、少しは説得力があるのですがねえ。今の日本で孫崎さんがもてはやされていることが、どうも理解できません。