北朝鮮を甘く見るな!(2)2014/07/28

* 朝鮮半島有事の際には在韓米軍のみならず在日米軍が参戦することになるのですが、日本では在日米軍が日本の了承なしに参戦できるのか、ということが議論されています。 つまり在日米軍の直接出撃は日米安保条約の事前協議対象であり、日本はその協議で「ノー」を主張することができるというものです。 実際のところは分かりませんが、安保条約事前協議必要論者、あるいは安保条約反対論者が将来日本の政権を握る可能性はあります。 その時は在日米軍が確実に動けなくなるのですから、北朝鮮にとっては大きなチャンスです。

* 北にとって統一の障害となるもう一つが、日韓の軍事協力関係です。 しかし韓国は2012年6月に日本と締結を予定していた軍事関係の「情報包括保護協定」「物品・役務相互提供協定」を直前に取り消しました。 また最近では、ソウルのロッテホテルで開催予定であった日本の自衛隊創設記念レセプションを韓国側は直前に拒否しました。 このように日韓の軍事協力は困難になりつつありますが、このことは北朝鮮にとって統一実現に向けて望ましい情況となっていることを意味します。 北は自分では何の努力もせずに、韓国の方から有利な情況を作ってくれているのです。

* 韓国では日米韓の合同軍事訓練に反対する市民団体が多いようです。 理由は日本が歴史を反省していないとか、日本の集団的自衛権を容認するものだから等々、ということのようです。 韓国の市民団体が日米韓の軍事協力に亀裂を入れようとしているのですから、これもまた北朝鮮は自分たちが努力しないで、韓国側から有利な情況を作ってくれているのです。

* 北朝鮮は黄海で韓国艦艇を撃沈したり、延坪島砲撃するなど軍事的挑発を繰り返してきました。 ところがこの10数年ほどの韓国世論調査では、このような北の挑発に対して反発するのではなく、「だからこそ北と話し合うべきだ」という意見が増えるという傾向が現れています。 つまり北にとっては、韓国民は軍事挑発すると返って融和的になるという教訓を得たことになり、自分たちに有利だと判断することでしょう。

* もし北朝鮮と韓国が和解して、平和的に統一したとしましょう。 その暁には朝鮮半島全体で選挙が行なわれます。 それではこの選挙で北が勝つのか南が勝つのか‥‥北が勝つ可能性が高いと言えばみなさんビックリされることでしょう。 ここで計算してみます。 北の人口は2400万、韓国の人口は5000万ですから、合わせて7400万。過半数の3700万の支持があれば、統一の主導権を握れます。

 北は金正恩体制のままですから、2400万の住民は100%北を支持します。 とすると韓国で1300万以上の支持を集めれば、北は選挙に勝つことになります。 だから韓国5000万のうちの26%の支持さえあればいいのです。 4分の1強です。 今の韓国は北朝鮮に警戒心を失っている状態ですから、北にとって4分の1強の支持を集めることはそれ程難しいことではありません。

 南北の‘和解による平和的統一’という理想的に見える統一が成されたとしても、北は民主的な選挙によって主導権を握ることが可能なのです。 そしてこの結果にはアメリカも含めて全世界が認めざるを得ないでしょう。 北にとって南朝鮮解放路線=赤化統一は、決して夢ではないのです。