中国は韓国を正式名称で呼ばない2014/08/18

 中国の習近平主席が去る7月3・4日に韓国を訪問しました。 その時にソウル大学で講演したのですが、その最後の挨拶で「大韓民国 愛しています」と言ったとして、韓国ではちょっと話題になっています。 実際には韓国語で「カムサハムニダ(感謝します)」と言ったのですが、習主席の韓国語があまりにも拙かったので、韓国人には「テハンミングッ サランハムニダ(大韓民国 愛しています)」のように聞こえて、ある放送局がこの間違いをそのまま字幕にして放送してしまったというお粗末な話です。 しかしこれが中国への親近感をさらにもたらしたらしく、この間違いを信じている韓国人が多いようです。

 ところで韓国の雑誌『週刊朝鮮』に、以上のような事情を解説する記事なかに次のような一節がありました。

中国の最高指導者が韓国の正式国号である「大韓民国」という用語を使うことは珍しい。 中国は自国のことでなければ、「大きい」を意味する「大」の字を修飾語につけることを非常に嫌がる。 実際に習近平のこの日の講演では、韓国を「韓国」もしくは「半島」と一貫して呼んだ。 韓国は21回、半島は10回であった。 

 中国は1948年に建国された今の韓国には正式国号を使わない、その理由として正式国号に「大」があるからだ、という解説です。 成程、これは当たっているだろうと思います。

 日本では社名に「大日本」が入っている企業がいくつかあります。 かなり以前ですが、その一つが中国に進出したら、社名に「大」があることで中国人から大きな反発を受けたという記事がありました。 我々は「大」があろうがなかろうが中身の方が重要なのだからと余り気にしませんが、中国人には大事(おおごと)のようです。 

 中国が他国のことで、たとえ正式名称であっても「大」の入った名前を使わないというのは中華思想そのものです。 従って韓国を正式国号「大韓民国」で呼ばないというのも、相手を見下す発想から出てきたものと言っていいでしょう。

 習主席が「大韓民国 愛しています」と言ったという間違いを無邪気に信じ、中国に親しみを持ったという韓国人が気の毒に思えます。