金時鐘さんの出生地2015/07/05

 毎日新聞2015年7月5日号の書評欄に「増補 なぜ書きつづけてきたか なぜ沈黙してきたか」(金石範、金時鐘著 平凡社ライブラリー)があります。 その中で書評の執筆者(生)は著者の経歴を次のように書いています。    http://mainichi.jp/shimen/news/20150705ddm015070012000c.html

済州島にルーツを持つ石範と同島生まれの時鐘

 これを読んで、あれ?! 金時鐘さんは済州島生まれではないはずだが‥と思って調べてみました。

 金時鐘さんが最近出した自叙伝『朝鮮と日本に生きる』(岩波新書2015年2月)には、次のように記されています。

私は港湾都市釜山の、海辺の飯場で生まれたそうです。‥‥父には私が初子でしたので大そうな喜びようだったそうです。‥‥三歳になった年の春、私は元山の祖父のところへ引き取られていきました。‥‥祖父は長老格のクリスチャンでしたが、家伝の漢方秘法があるとかで、煎じ薬と丸薬ずくめの三年をすごしました。‥‥どのような理由で済州島暮らしが始まったのかわかりませんが‥‥悪童たちからつきまとわれる、気が滅入りそうな日々が早くもその公立小学校で待ち受けていました。(23~25頁)

年譜 1929年 1(陰暦1928・12・8) 釜山で生まれる。 父・金鑚国、母・金蓮春         1936 年 元山市の祖父のもとに一時預けられる           1937年 普通学校に入学         (以上は292頁)

 このように金時鐘さんは自分の出生地が「釜山」であると書いていますし、おそらく自分がチェックしたはずの年譜でもそうなっています。 ところが毎日新聞の書評欄では「済州島生まれ」となっているのです。

 ちなみにウィキペディアに拠りますと、金時鐘さんは「朝鮮元山市生まれ」となっています。 自分の出生地について「釜山」「済州島」「元山」と三つもありますから、ご本人はビックリされているでしょうね。

 なお金時鐘さんが元山の祖父の家にいたのが、彼自身の著作の文章では三歳から三年間、年譜では普通学校(小学校)入学直前の一年間となっています。 お年を召した方の回想には錯誤が付き物ですが、これもその一例でしょう。

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