トルコ国籍の特別永住者?!―毎日新聞2015/10/27

 一昨日の東京のトルコ大使館前で、トルコ人とクルド系トルコ人が衝突し、多数の負傷者が出たという事件が発生しました。 これを報道した毎日新聞の記事の中で、次のような記述がありました。

法務省の6月末時点の統計によると、トルコ国籍を持ち日本に在留資格がある人は4526人。このうち中長期在留者と特別永住者は3906人に上る。

http://mainichi.jp/shimen/news/20151026ddm041040146000c.html

  「特別永住」は、日本の植民地であった朝鮮や台湾出身者で、日本の終戦後も引き続き日本に居住する者あるいはその子孫に与えられる在留資格です 。だから国籍は「韓国」「朝鮮」「中国」となるのが普通です。 それ以外に、この資格者が他の国に帰化した場合、その国の国籍者を有する特別永住者が発生することがあります。

 従ってトルコ国籍の特別永住者があるとすれば、日本の旧植民地出身者が何らかの事情でトルコに帰化した人ということになります。 米国籍や英国籍などの特別永住者についてはかつて拙稿で論じたことがありますが、トルコ国籍は珍しいです。

米国籍などの特別永住者  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/09/15/1798285

 本当かなと思って、法務省の「在留外国人統計(旧登録外国人統計) 在留外国人統計  月次 2013年12月  2014年5月28日公表」を調べました。 これはインターネットでも公開されています。

http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001118467

 これによればトルコ国籍の「特別永住者」は0人です。 ただし単なる「永住者」は763人です。

 つまり毎日新聞の記事にある「トルコ国籍の特別永住者」は存在せず、単なる「永住者」を間違えたものと思われます。 毎日新聞の記者は「特別永住」について、知識がなかったということですね。 この間違いを見過ごした編集担当も知識がなかったことになります。