水野・文『在日朝鮮人』(11)―尹東柱2016/06/26

朝鮮語や朝鮮文化を守るべきだと唱えるだけで、独立を図ったとして検挙される者が続出した。 ‥‥特に留学生がその標的とされた。京都で学んでいた尹東柱(1917年生まれ。45年獄死した後、詩人として有名になった)の事件がよく知られる(77頁)

 果たして当時の日本で朝鮮語を守ると唱えただけで検挙されたのかどうか。 韓国の詩人として有名な徐廷柱(号は未堂 1915~2000)は、尹東柱が獄中にあった1944年に朝鮮語の詩を『毎日申報』という当時の新聞に発表しています。 とすると尹東柱が朝鮮語の詩を書いたこと、しかも発表もされていない詩が果たして逮捕の理由になったのか、疑問になります。

 また当時の朝鮮のラジオ第二放送では、朝鮮語の歌謡や伝統のパンソリなどが放送されていました。 果たして「朝鮮語や朝鮮文化を守るべきだと唱えるだけで、独立を図ったとして検挙される」なんてことが本当にあったのか、やはり疑問になります。

 戦争遂行政策に協力するものなら、朝鮮語も朝鮮文化も容認されたと思うのですが‥‥。

【拙稿参照】

 尹東柱については以前に拙論で論じたことがありますので、ご参考下さい。

尹東柱記事の間違い(産経新聞)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/02/09/7568265

尹東柱記事の間違い(毎日新聞)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/02/15/7572811

『言葉のなかの日韓関係』(2)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/04/09/6772455

『言葉のなかの日韓関係』(3)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/04/11/6774088

『言葉のなかの日韓関係』(4)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/04/13/6775685

尹東柱は中国朝鮮族か韓国人か http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/04/21/8075000