日本の百済文化探訪の旅2017/05/03

 韓国の高校生が日本にある百済文化を訪ねる修学旅行に来ると言うニュースがありました。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/05/02/2017050201761.html

【公州聯合ニュース】韓国中部、忠清南道公州市の高校生が日本の百済文化ゆかりの地を訪問する。       公州市は2日、百済文化の影響を受けて花開いた日本文化に接する機会を提供するため、市内の高校生を対象とする歴史探訪プログラムを実施すると発表した。       プログラムは大阪、京都、奈良の史跡などを巡る3泊4日の日程で行われ、参加費の一部を市が支援する。今月から11月にかけて、市内の高校7校の生徒926人と教師66人が参加する。         市関係者は「日本にある百済の遺跡を回りながら百済文化に対する誇りを高め、正しい歴史認識を持つ契機になると期待している」と述べた。         公州市は百済の古都で、2015年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産に登録された百済歴史遺跡地区の一部が市内にある。

 この旅行の目的が「百済文化に対する誇りを高め、」とありますように、韓国では自国の優秀な文化が日本に大きな影響を与えたという考え方を強く有しています。 これについては拙論で10年前に論じたことがあります。     http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2006/04/26/342428

韓国人の歴史の関心の対象は、わが民族の文化が日本にどのように伝播したか、である。来日する観光者だけでなく研究者も、この観点でやってくる。日本各地で、ここにも韓国文化がある、あそこでもわが先祖が活躍した、といった歴史を確認しようとする。極端な場合は、日本の文化はすべて朝鮮からのものであるとまで言う人もいる。                   一方日本人の主な関心は、わが文化の由来は何か、どこからの影響があったのか、というところである。様々なところからの影響があってより高い文化が成立していくと考える。その由来場所の一つが朝鮮半島である。それはいくつかあるうちの一つである。          日本人なら、韓国の文化は中国からも日本からも影響があったはずだから、彼らも自分の文化の由来を我々と同じように関心があるはずだ、と考えるだろうが、実際にそういうことはない。韓国人は自分の文化の由来にほとんど関心を持たない。関心があるのは、自分たちの優秀な文化がいかに広まったかの伝播論である。       韓国の伝播論と日本の由来論とは妙に一致するところとなるが、両者の歴史認識の根本は全く違うものである。 日本と韓国の歴史認識の一致は極めて困難である。

 日本の古代に朝鮮半島からの影響があったのは事実ですが、こればかりに関心があって、肝心の日本文化には関心が行かない、というところが不思議ですねえ。 これについては文化人類学の伊藤亜人さんは『アジア読本 韓国』(河出書房新社 1996年7月)で次のように説明しています。

日本の文化のうちで韓国人が関心を持つのは、韓国との類似性や共通性が見られるもので、しかも明らかに韓国からの伝播が想定されるものに限られるといっても過言ではない。 韓国に類例のないものについては眼中にないのか、意図的に避けてしまうのか、取り上げようともしないことが多い。(303~304頁)

(韓国における「日本文化研究所」が企画した)現地調査もこうした体質をよく反映するものであった。 それは日本研究の現地調査と称していながら、実際には「日本の中の韓国文化」の確認と発掘をめざすものであり、それ以外の日本の文化伝統についてはほとんど関心を示さなかった。(304頁)

韓国人はかつて日本人に文物を教えもたらしたことによって、今日はたいへんな優越感を持っているようである。 韓国では日本と違って、教えることは優越感と結びつき、学ぶことは自尊心を傷つけ劣等感をもたらすことのようである。(304頁)

このことが韓国においていまだに日本文化の研究が遅れている大きな一因となっていることは確かである。(303頁)

 これは20年も前の記述ですが、今も十分に通用するものです。 本来は韓国人自身が自省的に論じなければならないところなのですが、そのような動きが見られないのは寂しいですね。

【拙論参照】

韓国の伝播論と日本の由来論   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2006/04/26/342428

情けない日本の古代史学者    http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2010/10/02/5380855

「古代渡来人」考           http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainijuudai

日韓交流の陥穽           http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daigojuudai

文在寅さんの10大公約2017/05/09

 今日は韓国の大統領選挙日で、夜中の12時ぐらいには新大統領が判明するようです。

 これまでの世論調査等で、おそらく文在寅さんでしょう。 これまでの親北反日の姿勢から、日本では彼に対する警戒心を表す評論家や研究者が多いですね。

 実際に大統領になって具体的にどのような政策を実行するのかを見てみないと、なかなか分かるものではありませんが。手がかりになるのは、彼の公約です。 10大公約として発表されていますが、民団のHPニュースに要約があるぐらいで、全文が見当たりませんねえ。 そこでここに全文を訳してみました。 ちょっと長くなりますので、下記にクリックしてください。

http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/munnjeinn10kouyaku

 日本に関連するものは4で、北の核問題解決のために協力を求める国の一つとして挙げられているだけです。 他に日本は出てきません。 当然ながら慰安婦問題は全くありません。 

 公約ですから抽象的なものが多いですが、なかには数字を挙げた具体的なものもあります。 例えば公共部門で81万の雇用を作るとか、最低賃金を時給1万ウォン(約1000円)に引き上げとか、お年寄りに毎月30万ウォンを一律に支給するとか、PM2.5 などの微粒汚染物質の30%削減とかがあります。

 「四次産業革命委員会」「国家清廉委員会」という国家機関を新たに作るというのもあります。

 いずれにしても大統領に就任して具体的に動くまでは、なかなか分かるものではありません。 公約を実現しようと思ったが、諸般の事情で出来ませんでした、というのが多くなるでしょう。

 また公約に謳ってないことを強く押し出す可能性があります。 対日本関係は公約にはほとんどで出てきませんが、朴前大統領並みに反日外交を展開することが考えられます。

朴槿恵の大統領官邸暮らし2017/05/14

 文在寅さんが大統領に就任して,5日。 「親北反米反日」と言われていましたが、今のところ露骨な言動は控えているようで、無難に済んでいます。 これから具体的にどのような政策を打ち出すのか、じっと見守るしかないところです。

 ところで今は逮捕されて収監されている朴前大統領ですが、コミュニケーションが極端に少ない「不通」だとして、かなり批判を浴びていました。 その実態を垣間見るものが、5月8日付け『朝鮮日報』の「朴槿恵前大統領とともに過ごした唯一の人物 ‘青瓦台料理研究家’キム・マゴプ氏 単独インタビュー」という記事にありました。 日本語版にはありませんので、韓国語の勉強も兼ねて抜粋して訳してみました。

―官邸では何人が暮らしていたのですか?―

「大統領と私しかいませんでした。ユン・ジョンチュ(スポーツジムのトレーナーから青瓦台の行政官に抜擢された)が何かの時に泊まっていくことがありました。」

―大統領の部屋とはくっ付いていたのですか?―

 「官邸の空間はガラスドアで仕切られていました。大統領がおられるところには、内室(居間)、衣装室、韓室(日本の和室に相当)、小食堂などがあります。私がいる空間には理髪室を改造した事務室、美容室と二つの部屋があります。警護員らは別棟です。ガラスドアの中に入ることが出来る人は、私とユン・ジョンチュの他にいませんでした。元々は、大統領の内室は一番奥にありました。この部屋は非常に広かったです。大統領が夢を見て怖かったとおっしゃいました。二ヶ月ほどして、その部屋を運動室に変えて、代わりに接見室を内室に改造して移られました。」‥‥

―大統領の話し相手になってあげたのですか?―

 「官邸で一緒に過ごしましたが、対話することはほとんどなかったです。この方は冷めた方と言えばいいのでしょうか、そんな情というものはありませんでした。特別なことがない限り、すべてインターホンで済ましていました。内室には誰も入れませんでした。部屋を出る時も、ドアに鍵をします。それで官邸の電気をすべてLEDに変えた時、内室だけはそのままにしておきました。たった一度だけ、警護室の職員を内室に呼んだのは、蛍光灯を替えるためでした。天井が高くてハシゴを使わねばならないのですが、足が震えて出来ないと言って、その時に呼んだのです。」

―人に隠さねばならないものがあったのでしょうか?―

 「私が部屋の掃除をするので分かりますが、そんなことはありませんでした。他人に自分の中身を見せたくないということです。人と対面するとか、話をすることが嫌なのですよ。‥‥」

―青瓦台官邸に誰が来たのか、みんなご存知でしょう?―

 「知ってますよ。当初は玄関にスリッパを六足置いていたのですが、しばらくして私が片付けましたよ。お客さんが来られなかったし、特にガラスドアの中にお客さんは入らなかったです。たった一人の例外は、経絡マッサージをする「気治療おばあさん」でしたね。マットが敷かれた韓室でマッサージをしてもらうためです。他のお客さんは美容室か事務室で会っていました。」

   (続く)

朴槿恵の官邸暮らし(2)2017/05/18

 前回 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/05/14/8558090 の続きです。

―崔順実は内室に出入りしなかったのですか?―

 「崔順実もガラスドアの中には入ったことはないです。大統領と一緒に食事をしたという話も全部デタラメです。大統領はいつも一人で食事をなさいます。」

―崔順実は官邸で何をしていたのですか?―

 「2014年からほとんどの週末にやって来ました。事務室で三人組(イ・ジェマン、チョン・ホソン、アン・ポングンの各秘書官)を呼んで、会議のようなものをしていました。朴前大統領は時々参加していました。こういった人たち以外は会うのを嫌がっておられましたから。なぜこんな方が大統領になったのかと思いましたよ。他の人たちと会わなければならないのに、たった一人(崔順実)だけに会うなんて、意思疎通が取れないという指摘はその通りです。‥‥大統領は他の面では細かい方なのですが、なぜあんな人と付き合っているのかと思いました。大統領は貴婦人のようで、世の中のことを何もご存じないです。自分で靴下一つ買ったことがないのです。

―朴大統領は官邸に毎日いましたか?―

 「外出の日程や首席秘書官会議がなければ、出かけることはありませんでした。一日中、内室にばかりおられました。いつ大統領がインターホンで呼ばれるか分からないので‥‥私は休めなくて、一息もつけなかったですよ。セウォル号事件の時「七時間の空白」がどうのとか、あらゆる言い方がされましたが、ただいつものように内室におられたのです。」

―普段はテレビドラマをよく見て楽しんでいると言われていますね。―

 「それは事実ではありません。普通、午後三時頃インターホンで『ちょっと掃除をしてください』と連絡が入れば部屋に入って、1時間半ぐらい掃除をしている間、大統領は席を外さないでパソコンが置かれている机に座っておられます。何をしておられるのか分かりませんが、テレビを見ていたことはありません。ベッドにも横になることはありません。机で居眠りするお姿はたった一回だけ見たことがあります。」

―青瓦台の料理長であるハン・サンフン氏がそのように証言していますが‥?―

 「その人は官邸の中に入ったことがありません。ハンさんが私に『大統領は一日中何をしておられるのか』と聞いたことに、『私は分からない。食堂で一人食事をなさる時にテレビを見ておられた』と言ったのがそのように歪曲されたのです。一人食事をとりながら中国ドラマをよく見ておられました。しかし内室ではテレビを見ることはなかったです。朝、新聞をドアの前まで持って行くと、ラジオの音が聞こえてきました。」

―美容手術や疲労回復剤の注射のために外部から人を呼んだというのは本当ですか?―

 「体がお弱いんです。体の調子が悪い時は、消化が出来ないのです。私がもどかしかったのは、主治医がいるのに何故入ってはいけない人を使うのか。あれほど几帳面で隙のない方が何故あんな馬鹿なことをしたのかと思います。」

韓国の砧石2017/05/23

 先週末から今週初まで韓国旅行。 その間、北のミサイル発射がありましたが、韓国は至って平穏、のんびりした雰囲気でした。 行った先が全羅道~慶尚道で、韓国の南部で、北とはかなり離れていたせいですかねえ。

 新聞を買おうとコンビニに行ったら、置いていないという。 聞いてみたら、新聞は駅かバスターミナルでなら売っているだろうが、そうでなければ新聞を買う人はいない、とのことでした。 せっかく韓国に行ったのに、かえって状況が分からない羽目になりました。

 ところで泊まった宿が韓屋という、木造の韓国風建物。 部屋の入口に置かれた沓脱石(踏み台に使う石)が、何と砧に使う石でした。(↑写真) 洗濯の仕上げに使う道具が、人間の足を乗せる踏み台になっているのですねえ。

 韓国では1970年代ごろから砧を打つ風習が廃れました。 砧石を何かに再利用しようとすれば、こういう使い方になるしかないのでしょうねえ。 そういう目で市内を回ってみたら、何軒かの家の出入り口のところに置かれているのを見かけました。

 砧については世界で唯一の研究者(?)と勝手に自負している私には興味深いものです。

【拙論参照】

第66題 砧(きぬた)    http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dairokujuurokudai

第106題 砧 講演    http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihyakurokudai

第107題 砧 講演(続)  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihyakunanadai

第108題 「砧」に触れた論文批評   http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihyakuhachidai

第109題 ネットに見る「砧」の間違い  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihyakukyuudai

第114題 韓国における砧の解説  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/hyaku14dai

第115題 다듬이  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihyaku15dai.htm

第118題 砧―日本の砧・朝鮮の砧  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihyaku18dai.pdf

角川『平安時代史事典』にある盗用事例  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/04/07/1377485

「砧」と渡来人とは無関係        http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/04/14/1403192

北朝鮮の砧               http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/12/22/2523671

砧という道具              http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2008/01/05/2545952

韓国ロッテワールドの砧          http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2010/05/11/5080220

韓国ロッテワールドの砧のキャプション  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2010/05/12/5082741

「砧」の新資料(1)          http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/12/09/6655266

「砧」の新資料(2)          http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/12/10/6656721

「砧」の新資料(3)          http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/12/11/6657527

「砧」の新資料(4)          http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/12/13/6659222

「砧」の新資料(5)          http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/12/14/6659970

「砧」の新資料(6)          http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/12/16/6661166

砧ー日本の砧・朝鮮の砧         http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/07/05/6888511

佐藤春夫の「砧」            http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/02/05/8008944