国籍を考える―小野田 紀美の場合2017/07/23

 岡山県選挙区で選出された参議院議員、小野田 紀美の場合で国籍を考えてみます。

彼女の公開されているプロフィールは次の通りです。

 姓  名 : 小野田 紀美

生年月日 : 1982年12月7日

出 生 地: アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ

両  親 : 父はアメリカ人、母は日本人

そ の 後: 1歳から日本の岡山県で暮らす

国籍選択 : 2015年10月に日本国籍を選択

米国籍放棄: 2017年5月2日付けのアメリカ国籍喪失証明書

 このプロフィールから国籍に関してどんな情報が読み取れるか、です。

 アメリカ生まれですから出生と同時に米国籍です。 しかも1985年の国籍法改正以前ですから、国籍父系主義により日本国籍を取得できず、アメリカの単一国籍です。 しかし彼女は日米の二重国籍者でした。 これは二つの場合が考えられます。

 一つは1985年の国籍法改正の経過措置により、施行から3年の間に法務大臣に届け出ることによって日本国籍が取得できます。 この届出がなされた時点から二重国籍となります。

 もう一つは両親が事実婚で、日本人の母親の非嫡出子として出生した場合です。 シカゴの日本領事館に出生届と国籍留保届けを提出・受理されれば日本国籍を取得し、二重国籍となります。

 彼女の二重国籍状態は2015年の32歳まで続きます。 この年の10月に、日本の役所の戸籍担当課に日本国籍選択を届け出て受理されました。 しかし米国籍からの離脱はまだです。 つまり自分は日本単一国籍にしますという意志を明らかにしたというだけで、手続きは完了していません。

 翌々年の2017年5月にアメリカで「国籍喪失証明書」が作成され、この時にようやく二重国籍が完全に消滅し、日本の単一国籍者となりました。 それは34歳の時で、ほんの2ヶ月前のことです。

 以上の状況が読み取れます。 ここで国籍法を知る人には疑問が出てくるでしょう。 二重国籍は22歳までに国籍を選択しなければならないはず、ということです。 この疑問はその通りで、彼女は22歳までに選択しておらず、32歳になって選択しました。 つまり23歳から32歳までの10年間は国籍法第14条に反する二重国籍だったことになります。

 次に自分が二重国籍を自覚していたかどうかですが、彼女の経歴からするとこれは自覚していた可能性が高いです。 少なくとも両親は知っていたはずです。 

 当然子供である彼女も知っていたし、どうやらそれを隠さずに大きくなったようです。 つまり23歳から10年間の二重国籍状態は、本人は自覚していたし、当然法律に反することも知っていたと推定されます。 

 ここが蓮舫との違いですねえ。 蓮舫は17歳で日本国籍を取得した際、自分も両親もこれで単一日本国籍になったと思い込み、「二重国籍」であることを自覚していませんでした。

 なお繰り返しますが、蓮舫の場合は、日本が中華民国の国家承認を取り消しましたから台湾=中華民国籍は「国籍」ではありません。 従って蓮舫は日本における法律上の二重国籍者ではありません。 日本にとっては、我が国の南方に所在する集団のメンバーとして登録されているようだが、そんなことは我が日本には関係ないし知る必要もない、となります。 こんなことを書いたら、台湾の方の気分を害するかも知れませんねえ。

 そんなことよりも、当事者でない他人が人の国籍を問題にすること自体が間違いです。 日本においては日本国籍を有しているかどうかが唯一最大の問題とすべきものなのです。 蓮舫も小野田もどちらも国籍を問題にするものではない、が私の考えです。

【拙稿参照】

蓮舫二重国籍問題         http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/07/14/8620041

蓮舫二重国籍問題のまとめ (再掲) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/07/15/8620565

外国籍が輝いて見えた時代があった http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/07/19/8623371

国籍を考える―ケンブリッジ飛鳥の場合 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/07/21/8624643