私の国籍研究史(2) ― 2017/08/03
二重国籍者は両方の国民の権利を有しますから、単一国籍者の倍の権利を持つことになります。 さらに単一国籍者ではあり得ない権利もあります。 例えば婚姻などの身分行為を重複(いわゆる重婚)できますし、また複数のパスポートを持つことが出来ますからある国で犯罪を犯して国外追放されても、もう一つのパスポートを持って再入国できます。 二重国籍者は二つの国籍を自分の都合によって使い分けることが出来るのですから、それだけ権利の幅が大きいということです。
しかし二重国籍であるが故の問題もあることを知りました。 例えば二重国籍者が第三国でテロに遭って人質になったとしたら、どちらの国が救出に乗り出すのか? 当然のことながら面倒なことはお互いに押し付け合うものですから、結局どちらの国も救出に行かない可能性が高いです。 また離婚・相続等は単一国籍者でもよく揉めますが、二重国籍者は依拠する民法が二つあるのですから、さらにややこしくなります。 それ以外にもいろいろ問題がたくさんありますが、いずれにしろ二重国籍者はこれを覚悟しなければなりません。
どの国でも二重国籍よりも単一国籍が望ましいとしています。 それでは二重国籍を認めている国はどう対処しているのか。 どこの国か忘れましたが仮にA国としましょう。 A国では二重国籍者は単一国籍者として行動することを強制していました。 A国で自国民として行動した人はその後もその国民として行動し、出入国も自国民(A国パスポート)として行なわなければならず、もう一つのB国籍者としての行動(B国のパスポートを提示するなど)を禁止するというものでした。 逆にB国籍の外国人として入国したら、ずっと外国人として行動せねばならず、自国民として振る舞うことが許されないのです。 もしそれが発覚したらA国籍を剥奪するというのですから厳しいです。
二重国籍を取ることは自由だが、自国内では単一国籍であらねばならない、二重国籍を自分の都合によって使い分けるなんてことをしてはいけない、ということですね。
またフランスでは、二重国籍者がフランス国籍から離脱することを厳しく制限しているそうです。 これは兵役と関係があります。 二重国籍者は兵役を済ませなければフランス国籍からの離脱を認めないというものです。 今は兵役義務がなくなりましたが、兵役に就いたことのない者は国籍離脱が困難なのは、今も変わらないとのことです。 日仏の二重国籍者はフランスの兵役に就かない限りフランス国籍を離脱できませんので、日本国籍単一化ができずに二重国籍のままとなります。
二重国籍だからといって兵役忌避のような‘いい目’はさせないぞ、ということです。 そういえば二重国籍を認めろと主張する人は‘いい目’ばかりを言って、国民の義務について言っていませんでしたねえ。
私の国籍研究史(1) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/07/30/8630904