学術集会に荒唐な現代政治を持ち込む2018/04/18

 25年前の古い話ですが、韓国で甲午農民戦争(東学党の乱)に関する学術集会が開かれました。 これに参加した朝鮮史研究者の中塚明さんが、『朝鮮史研究会論文集 №32』(1994年10月)で次のように報告しています。

1993年10月末、私は韓国で開かれた「東学革命百周年記念国際学術大会」に出席しました。 その開会式の挨拶でオ・イクジュ氏はつぎのようにいい、参加者を激励しました。

日本はわが国をみくびっています。 日本のPKO海外派兵計画は韓半島進出を企図しています。 遠からず日本は世界最強の核武装軍事大国として21世紀には韓半島に日本軍が進出してアジアを支配せずにはおかない野望をもっています。 これをどうして防ぐことができるか、民衆の覚醒、決起とともに南と北が一つに統一しなければなりません――と。

学術集会の開会式の挨拶でこの発言があったことに私は強い印象を受けました。 そのことを皆さんにもお伝えしておきたいと思います。 (「日朝関係百年―日清戦争から今日まで」17頁)

 1993年といえば、北朝鮮の核開発が明らかになって問題化し、北朝鮮はNPT(核拡散防止条約)から離脱して核開発の継続を表明した時期です。 そんな時に、この北と一緒になって「日本の核武装」に対処しようという余りにも荒唐無稽な話が、国際学術大会の開会挨拶で出てきたのです。 

 さらに朝鮮史研究者として著名な中塚明さんが、この韓国人の挨拶に全く賛成し、帰国してから日本の学術誌に報告したのです。 ソ連や東欧の社会主義が崩壊して間もない時期に、日本は「世界最強の核武装大国」となって「韓半島(朝鮮半島)に日本軍が進出」し、「アジアを支配する野望」を持っていると大真面目に訴える韓国人がいたのです。 そしてその訴えをこれまた大真面目に受け取る日本人がいたということです。

 1990年代はそんな時代だったなあと思い出します。

 ところで現在の習近平政権の中国は「核武装大国」であり、「南シナ海に人民解放軍が進出」し、「東アジアを支配する野望」を持っていると見ていいでしょう。 25年前の韓国の学術集会における上記の挨拶は、「日本」を現在の中国に置き換えて次のように修正すると、言い当てていますねえ。

中国はわが国をみくびっています。中国は韓半島進出を企図しています。 遠からず中国は世界最強の核武装軍事大国として21世紀には韓半島に中国軍が進出してアジアを支配せずにはおかない野望をもっています。 これをどうして防ぐことができるか、民衆の覚醒、決起が必要です。

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