「強制徴用犠牲者の遺骨」返還記事の違和感 ― 2018/08/15
ハンギョレ新聞によると、植民地時代に日本各地で亡くなった朝鮮人の遺骨が73年ぶりに返還されたというニュースが報道されました。 http://japan.hani.co.kr/arti/politics/31360.html
光復73周年を迎え、強制徴用犠牲者の遺骨35柱が韓国に帰って来た。
遺骨が到着した14日、金浦(キンポ)空港入国場では、英霊たちのための還郷儀式も開かれた。ソウル市は、遺骨35柱がソウル市立竜尾里(ヨンミリ)第2墓地公園に安置されると発表した。「強制徴用犠牲者遺骨奉還委員会」がDMZ平和公園に推進中の海外同胞墓地が完成するまで、委員会の要請で遺骨は臨時安置される。
埋葬式は16日午後2時に行われる予定だが、埋葬式前日の15日午前11時には光化門広場で、第73周年8・15光復節の民族共同行事兼遺骨奉還国民追悼祭が行われる。ソウル市は昨年の光復節と今年の三・一節にも33柱ずつ合わせて66柱を奉安した。
かつて日本では朝鮮人強制連行の真相を解明する運動が盛んでした。 私はこれには関わりませんでしたが、彼らから話を聞くことがありました。 思い出話ですので、正確性には自信がありませんが。
朝鮮人の遺骨はほとんどがお寺に保管されています。 なぜこれまで返還されなかったのかと聞くと、お寺によると遺骨は遺族の元に返されるべきものだから、遺族が返してほしいと言われれば返してきたそうです。 しかし遺族が来られないので、寺ではそのまま保管してきたということでした。
だったら遺骨に記録される名前や本籍地などの情報をもとに、遺族を探してあげてはどうかと聞くと、それはかなり難しいということでした。
遺骨に名前等の記録がありますが、その名前が戸籍にある名前なのかどうかの確認が難しいようです。 日本名の場合でしたら創氏改名の名前でしょうが、必ずしもそうではなく、通名として日本名を名乗っていることもあったようです。
創氏改名の日本名でも、本国の遺族にはその名前の人が当人であるかどうか、当時を知るお年寄りがいなければ確認が難しいとのことでした。
韓国では朝鮮戦争で戸籍そのものが焼失した場合が多く、新たに作成された戸籍は不正確だったといいますから、遺骨の名前を手掛かりに遺族を探すのは困難だそうです。
結局、かつての朝鮮人強制連行の真相を解明する運動では、遺骨の返還はなされなかったようです。 日本の戦争犯罪を糾弾することに重点が置かれていましたから、そういった方向には動かなかったのかも知れません。
ところで今回の遺骨返還では、結局遺族を探さずに、ともかく祖国に戻すことが優先されたようです。 引き取り手のない遺骨をいつまでも置いておくことは出来ないでしょうから、今回の返還は意味あることだと思います。
なお今度のハンギョレ新聞の記事で違和感を覚えたのは、この遺骨を「英霊」と表現したこと、および遺骨を73年間も保管してきた日本のお寺等への感謝の言葉がないことです。
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