外国人雇用に外国人登録証の提示は差別なのか2018/09/01

 毎日新聞の2018年8月31日付けの「ハラスメント 人種理由の嫌がらせ 防止取り組み急務」という記事の中に、気になる部分がありました。    https://mainichi.jp/articles/20180831/k00/00e/040/272000c

 記事は、企業向けの人権セミナーで「悪意がなくても深刻に受け止められる事例」を説明するというもので、その事例中に次のものが挙げられています。

兵庫県尼崎市の在日コリアンの女性(45)は以前、勤務先から外国人登録証明書(現在は特別永住者証明書)の提示を求められた。「特別永住者に外国人であることの確認を求める法的義務はない。会社に知識がなく、差別的という意識もないようだった」と振り返る。

 この女性は特別永住の韓国(あるいは朝鮮)籍で、国籍が日本でないことが確かです。 ところで外国人が国内で働ける資格を有しているかどうかは極めて重要な問題ですから、雇用者側は外国人に在留資格を確認する必要があります。 

 「特別永住者に外国人であることの確認を求める法的義務はない」とありますが、特別永住資格の有無の確認を求める必要があるのです。 2012年に法律が変わって住民票に在留資格が記載されていますが、それ以前は外国人には住民票がなく、在留資格は外国人登録証で確認するしかなかったのです。

 従ってこの人の場合、勤務先がそれを確認するために2012年以前であれば外国人登録証の提示を求めたのは当然なことです。 2012年以降ならば住民票によって外国籍か否か、そして在留資格は何かを確認する必要があるのです。

 国内で自由に働く資格を有する特別永住かどうかの確認は当然外国人であることの確認でもありますから、どうして「会社に知識がなく、差別的という意識もないようだ」となるのか、首をひねります。