李洛淵首相のツイッター発言―天皇は指導者2019/05/01

 明仁天皇が退位し、新たに徳仁天皇が即位され、元号が「令和」に変わりました。 韓国の李洛淵首相がツイッターで次のように発言したと毎日新聞が報道しました。

日本、5月1日より『令和』時代。韓日関係を重視なさってきた明仁天皇に感謝申し上げる。即位される徳仁天皇は、昨年3月ブラジリアの(世界)水フォーラムでお会いし、かなり深い対話をしてくださった。韓日両国の新しい友好協力関係を構築するよう一緒に努力しましょう。

https://mainichi.jp/articles/20190501/ddm/007/040/046000c

 これを読んで、あれ!? 最後の部分がちょっと違うのでは?と疑問を感じました。

 実際の李首相のツイッターでは次の通りです。

일본, 5월1일부터 '레이와' 시대. 한일관계를 중시하셨던 아키히토 천황님께 감사드립니다. 즉위하실 나루히토 천황님께서는 작년 3월 브라질리아 물포럼에서 뵙고 꽤 깊은 말씀을 나누게 해주셔서 감사드립니다. 한일양국이 새로운 우호협력관계를 구축하도록 지도자들이 함께 노력합시다.

https://twitter.com/nylee21

 直訳すると、次のようになります。

日本、5月1日から「令和」の時代。韓日関係を重視されました明仁天皇様に感謝申し上げます。 即位される徳仁天皇様におかれましては、昨年3月のブラジリア水フォーラムでお会いして、かなり深いお言葉を交わしていただき、感謝申し上げます。 韓日両国が新しい友好協力関係を構築するように、指導者たちが一緒に努力しましょう。

 最後の部分で、毎日新聞は「指導者たちが」を省いているのが分かります。 つまり李首相は天皇を日本の「指導者」と考えてツイッターを書いたのですが、毎日はそれを抜いたために、李首相の天皇観が伝わらないこととなったわけです。

 李首相のブラジリア水フォーラムでの、皇太子(今度の新天皇)との「かなり深いお言葉を交わした」内容というのは、以前に拙ブログで取り上げたことがありますので、ご参考ください。     http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/03/20/8807181

 韓国では日本の天皇を「指導者」としてとらえて、日本の政治に影響を与える存在というイメージが強いということです。 だから韓国では日本に対して、平和主義の天皇と軍国主義の安倍首相という対立的な構図を描き、憎き安倍を叩く天皇を期待するような発言が出てきます。 

 これまでの李明博大統領の天皇謝罪要求発言(2012)や文喜相国会議長の天皇戦犯発言などを考えてみても、韓国では日本における天皇の存在がどういうものなのか、理解されていません。 

 韓国人の天皇観について、何も分かっちゃいないと突き放すのではなく、何故どのようにしてそんな天皇観を有するようになったのかを冷静に見る必要があると考えます。

 韓国人の天皇観は日本の革新・左翼諸君の反天皇論の影響を受けていると、私は考えています。

【拙論参照】

韓国首相が皇太子に自国支持を求める http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/03/20/8807181

文喜相議長の天皇戦犯・謝罪要求発言  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/02/14/9035898

李大統領の発言    http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/08/18/6546033

『朝鮮日報』李河遠記者の天皇戦犯論   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/08/24/6553068

『朝鮮日報』記事に出てくる若宮啓文のコラムとは http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/11/18/6636750

灘本・師岡論争―部落差別と天皇制  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daigojuukyuudai

名目的権力と実質的権力  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daiichidainoni

天皇制と首領制の比較  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daiyonjuugodai