差別問題の解決とは? ― 2020/07/09
アメリカで黒人が白人警官に殺される「ジョージ・フロイド」事件を契機に、アメリカにおける人種差別の深刻さを論ずる人がたくさんいます。 それはそれでいいのですが、私にはちょっと疑問を感じます。 それは白人=差別者=悪、黒人=被差別者=善と単純化して論じるものが余りに多いからです。 差別をしてはいけませんと訴える時、どうしてもそういう構図になるのでしょうが、私には何故被差別者側の問題を取り上げないのかという疑問を抱くのです。
30年以上前ですが、いわゆる同和研修を受けた時、講師の方が「同和の人たちはみんな立派な方です」と発言されたのを聞いてビックリというか、この人、同和のことを何も知らないのだなあと思いました。 「同和問題の解決」「差別はダメ」ということを分かりやすくするために「立派な同和の人を差別するのは間違いです」と言おうとしたのでしょうが、私には後味の悪いものでした。
実はその10年ほど前(1970年代)に、私は同和地区にあるいわゆる同和企業でアルバイトを何ヶ月かしたことがあります。 その時に同和地区の人々が実際にどのような生活を送り、どのような考え方をしているのかを実見しました。 その体験からすると、「同和の人たちはみんな立派な方です」とは決して言えるものでありませんでした。 むしろ、これでは差別されても仕方ないなあ、という感想を抱くばかりでした。
まずはその同和地区にはヤクザ、もしくはその関係者が多いという事実です。 家族・親戚に本物のヤクザがいるという話はしょっちゅう出てくるし、それを誰も恥ずかしいと思わない風潮が確かにありました。 いつだったかあるヤクザが、一般地区に住んでいたら一歩外に出ると周囲の人が自分を警戒するような目で見るので嫌だった、しかしこの地区ではそんな目で見る人がいないので暮らしやすいと発言していたのを思い出します。 また解放同盟飛鳥支部長の小西の言葉だったと思いますが、ヤクザをやるより解放運動の方が儲かるというのがありました。
十数年前に解放同盟の不祥事が明らかになった時、同盟幹部に暴力団が入り込み、ヤクザにもなれないようなチンピラまでが解同幹部を務めていることが世間を騒がせました。 私はこの時、これは昔からあったことで、今やっと世間に周知されるようになったのかという感慨を持ちました。
それから同和地区の人々の口の悪さ。 「品」というものから余りにもかけ離れたものの言い方に、初めて接した時はビックリしたものです。 それは漫才言葉よりももっとはるかに悪い言い方です。 これは経験した人でないと、ちょっと理解してもらえないでしょうねえ。 文章化しても、そのニュアンスが伝わらないものです。
口の悪さだけでなく、「みがち」という同和地区独特の言葉があるのも知りました。 漢字でおそらく「身勝ち」じゃないかと思うのですが、自分たち同和地区の人間ばかりを優先するという意味です。 例えば公園で子供たちが遊んでいる時に、お菓子あげるからおいで!と言えばそこの子供がみんな来るのですが、そのうちの同和地区の自分の身内の子供だけを選んでその子だけにお菓子をやるのです。 それが余りに露骨すぎて、今度は子供たち同士で仲が悪くなり、同和地区の子供が浮いた存在となるのですが、それが何故悪いのかが分からないというのが「みがち」です。 ところで「みがち」は「ムラ(同和地区の自称)」と同じく、今では死語でしょうねえ。
さらに中学・高校生のワルぶり。 いかにも不良少年少女という姿の生徒が闊歩していました。 こういった子供たちが黄色いゼッケンを胸につけて狭山差別裁判糾弾闘争に参加していましたねえ。
家庭をのぞかせてもらう機会がありました。 その時に気付いたのですが、文字というものがない家が多かったです。 つまり本はもちろんのこと、新聞雑誌がないのです。 あっても競馬新聞かスポーツ新聞くらい。 子供がいるなら児童書や絵本があるとおもうのですが、それも見当たらない。
こんな経験をしましたから「同和地区の方はみんな立派です」という発言にびっくりしたのです。 後日ですが、解放同盟の幹部の方が「差別者の方はいつ差別を止めてくれるのですか? 差別を止めてくれたら差別問題は解決するのです」と言っていたのを思い出します。 差別者=悪=不正義、被差別者=善=正義と単純化する考え方は、非常に分かりやすいし根強いものがあると思われます。
私は、差別は差別者側だけの問題ではない、差別者が心を入れ替えても解決するものではない、被差別者側にも大きな問題があり、これを取り上げない限り解決はあり得ない、と常々思ってきました。 だから差別問題は、差別者と被差別者とが共同作業してこそ解決するものだということを確信しています。 ですから冒頭にあるアメリカの人種差別事件に関連して差別がどれほど過酷かを語る論者が、被差別者の黒人の問題に全く言及しないところに、私の大きな違和感があるのです。
【拙稿参照】
社会的低位者の差別発言 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/05/09/9244588
解放運動の闇専従-森山栄治 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/12/18/9190648
医大の不正入試 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/03/05/9043516
柳田邦男のビックリ部落認識 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/12/25/8290405
解放運動の力が落ちたこと http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/01/08/7533867
解放運動 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/05/02/7299711
「原子力ムラ」は差別語では‥ http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/09/22/6580751
郵便ポストを設置させた解放運動 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/07/07/6502784
同和地区の貧困化 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/07/29/6525302
かつての解放運動との交渉風景 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2011/08/27/6074508
同和教育が差別意識をもたらす http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2010/12/29/5614412
差別の現実から学ぶとは? http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2010/12/19/5589789
被差別正義 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2010/08/06/5270853
活動家の転落 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2008/05/17/3518593
松岡徹氏に関する拙稿が役立った http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2008/02/23/2653204
弱者の腐敗 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/12/29/2534690
差別と闘うことへの疑問 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/12/15/2513505
解放運動の「強姦神話」 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/07/28/1685192
部落(同和)問題は西日本特有の問題 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/07/14/1652936
水平社宣言 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/07/07/1631798
同和地区の低学力 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/05/18/1515064
解放運動に入り込むヤクザ http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/05/04/1482616
飛鳥会事件―「心から謝罪」は本当か? http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/02/24/1206080
これが「真摯に反省」? http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2006/05/27/382079
松岡徹さん http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2006/05/26/381520
闇に消えた公金―芦原病院・同和行政 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2006/04/29/346418
差別問題の重苦しさ http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainanajuunanadai
(続)差別問題の重苦しさ http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainanajuuhachidai
同和地区における不動産価格 http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daisanjuukyuudai
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