韓国語の雑学―東方礼儀の国 ― 2021/06/17

韓国の『中央日報』6月14日付に「21세기 동방예의지국의 ‘도리’」というコラムがありました。 https://news.joins.com/article/24081254
日本語版は、「21世紀の東方礼儀之国の『道理』」という標題です。 https://japanese.joins.com/JArticle/279632 この最後にある一節に「東方礼儀の国」が出てきます。
新型コロナ状況でも飛行機に乗ってきて道理を示し、怒る時さえも道理を心配しなければならない21世紀の東方礼儀之国の姿が苦々しい。
この記事にある「東方礼儀の国」は、“わが韓国はアジアの東にあって人として行なうべき道である礼節や礼儀作法をよく守って実行している国”という意味で使われています。 しかし「東方礼儀の国」は、本来そんな意味ではありません。 それは屈辱的で不名誉な言葉なのです。
それを説明しているのが、『국어대사전(国語大辞典)』(省安堂 1997年10月)にある「東方礼儀の国」の項目です。 スキャンして↑のように掲示しました。 訳しますと、次のようになります。
東方礼儀の国 {名詞} 「東方にある礼儀を知る国」という意味で、「我が国」を指し示す。<参考:我が国が昔から中国で「事大の礼」を非常によく守っているために、中国人たちから得るようになった不名誉な名前である。今日、むやみに使ってはならない言葉である。
最近では、昨年11月に『朝鮮日報』が「『東方礼儀の国』は称賛ではなく侮辱の表現」と題する記事を出して注意を呼びかけました。https://www.chosun.com/politics/politics_general/2020/11/21/XTJGX6CCFNHALGZQWS6ZOBKPP4/
『中央日報』は国語大辞典の↑や朝鮮日報の記事を知らなかったのでしょうか、それとも無視したのでしょうか、そこは分かりません。
もし周囲の韓国人が自国を「東方礼儀の国」だと自慢するようなことがありましたら、本来の意味は次の通りですよと教えてあげてくださいね。
「東方礼儀の国」とは、中国人が朝鮮について、東に位置する朝鮮は小国でありながら我が中国皇帝によく仕え、またよく言うことを聞く国である、礼儀をわきまえており感心なことであるという上から目線で見た称賛であって、実は朝鮮を見下すものである。
【拙稿参照】
「東方礼儀の国」と「独立門」 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/11/25/9320164
「東方礼儀の国」は屈辱的な言葉だった http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/11/22/7064872
韓国語の雑学―将棋倒し http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/04/15/9235466
韓国語の雑学―下剋上 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/04/22/9237987
韓国語の雑学―「クジラを捕る」は包茎手術の意 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/12/10/9325273
韓国語の雑学―내로남불(ネロナムブル) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/01/04/9334079
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