金正恩2024年1月15日施政演説(2)―韓国は敵 ― 2024/02/03
http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/01/30/9654884 の続きです。
次は韓国に関係する部分となります。 何をすべきかについて具体的な内容が含まれています。
この部分はこれまでの北朝鮮の主張と違っているので、物議を醸しました。 翻訳を掲載するにあたって、これまでと同じように抜粋とか省略とかせず、そして直訳のまま載せました。 ただし私なりの解説と感想を挟み込んでいます。
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代議員同志たち!
今日の最高人民会議では、この80年間の北南関係史に終止符を打ち、朝鮮半島に併存する二つの国家を認めた○○(기초우)で、我が共和国の対南政策を新しく変わりました。 党中央委員会2023年12月全員会議でも厳粛に明らかになったように、我が党と政府と人民は流れて来る歴史の長久な期間、いつも同族、同胞という観点から大きな包容力と変わらぬ忍耐力、誠意ある努力を傾け、大韓民国と祖国統一の大義を虚心坦懐に論じたりしました。 しかし心痛む北南関係史が与える最終結論は、《政権崩壊》と《吸収統一》を夢見て我が共和国との全面対決を国策としていて日々邪悪になっていき、傲慢無礼になる○○(대결광증속-対決狂症の中?)で同族意識が去勢された大韓民国の輩たちと民族中興の道、統一の道をともに歩むことができないのです。
北朝鮮はこれまで韓国を「南朝鮮」と言ってきたのですが、ここでは明確に「大韓民国」と正式名称を使っています。
北朝鮮はこれまで、南北問題は同じ民族内の内政問題であって南朝鮮は国家でないのだからとして「大韓民国」と呼ぶことはありませんでした。 これに対して韓国は、半島には二つの国が実際にあるのだから南北問題は国家間の問題として取り上げねばならないと主張してきました。 しかし昨年に金正恩の妹の金与正が「大韓民国」と呼称したので、北朝鮮は韓国の主張に歩み寄ったのかと一時取り沙汰されました。 今回の演説で金正恩自体が「大韓民国」と呼称したので、北朝鮮が南朝鮮を国家として認めたことは確定ですね。
ところがこれは韓国側の主張に歩み寄ったのではありませんでした。 韓国は「邪悪」であり「傲慢無礼」と非難し、また国家といっても後述するように「敵対国家」なので、そんな韓国とは統一の道を歩めない、ということです。
北南関係がもはや同族関係、同質関係でない敵対的な二つの国家関係、戦争中にある完全な二つの交戦国家関係という現実は、外勢の特等走狗集団である大韓民国が極悪でありながらも自滅的対決妄動をそのままにした北と南の明白な現況であり、世間に向かってためらわずにベールを剥がした朝鮮半島の実像です。 今度我々が朝鮮民主主義人民共和国の国法を論じる最高人民会議で、北南関係と統一政策に対する立場を新たに定め、平和統一のための連帯機構として出してきた我々の関連団体をすべて整理したことは、必ず指摘しておかねばならない必須不可欠の工程だと言うことができます。 我が国家の南側国境線が明白に引かれた不法無法の《北方限界線》をはじめとするどんな境界線も許容することができず、大韓民国が我々の領土、領空、領海を0.001㎜でも侵犯するならば、それは即ち戦争挑発と見なされるのです。
韓国は「外勢の特等走狗集団」「極悪」だと、厳しいですね。 「平和統一のための連帯機構として出してきた我々の関連団体をすべて整理した」というのは、韓国との交渉窓口となってきた北側の機関をなくすということのようです。 具体的には党統一戦線部や祖国平和統一委員会といった組織のようです。
これと関連して、朝鮮民主主義人共和国憲法の一部の内容を改定する必要があると見ます。
すでに私はこの前の全員会議で、大韓民国憲法というものに《大韓民国の領土は朝鮮半島とその付属諸島とする》とはっきりと明記されている事実について想起しました。 今度一部他の国の憲法資料を見てみると、国家主権が行使される領域部分、もう一度言うと自国の領土、領海、領空地域に対する政治的および地理的な定義を憲法に明確に規定しています。
現在我が国の憲法には上記の内容を反映した条項がないが、我が共和国が、大韓民国は和解と統一の相手であり、同族という現実矛盾的な既成概念を完全に消してしまい、徹底した他国として、最も敵対的な国家として規定した以上、独立的な社会主義国家としての朝鮮民主主義人民共和国の主権行使領域を合法的に正確に規定づけるための法律的対策を立てる必要があります。 朝鮮半島で戦争が起きる場合には、大韓民国を完全に占領、平定、修復し、共和国領域に編入させる問題を反映させることも重要だと見ます。
韓国をはじめ各国の憲法には、自国の領土範囲を明記しているのに、我が北朝鮮の憲法にはそれがない、だからそれを定める必要がある、としています。 これは朝鮮民主主義人民共和国の領土が朝鮮半島全体であることが余りに明白であったので、憲法にわざわざ記すこともなかったのでしょう。
その上で、韓国は和解と統一の相手ではなく、「最も敵対的な国家」と規定し、もし戦争が起きたら「大韓民国を完全に占領、平定、修復し、共和国領域に編入させる」と言っています。 北朝鮮は今は半島北半部の領域だが、いずれ南半部にある大韓民国を自国に編入するということですから、もともと半島全体が領土であったのだという建前に復帰したと見ることができます。 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/11/21/9636056
そして我が人民の政治思想生活と精神文化生活領域で《三千里錦繡江山》、《8千万同胞》のように北と南を同族として誤導する潜在的な単語を使用しないということと大韓民国を徹頭徹尾、第一の敵対国として、不変の主敵として確固として見なすように教育教養事業を強化するということに、該当条文に明記することが正しいと考えます。 その他にも憲法にある《北半部》、《自主、平和統一、民族大団結》という表現が、今は削除されねばならないと見ます。 私は、このような問題を反映して共和国憲法が改定されねばならず、次の最高人民会議で審議されねばならないと考えます。
韓国とは同族でなく「第一の敵対国として不変の主敵」見なさねばならないとしています。 そのため北朝鮮憲法にある「北半部」「自主、平和統一、民族大団結」という言葉を削除するそうです。 この憲法の条項については下記をご参照ください。 (続く)
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【参考】
朝鮮民主主義人民共和国憲法
第九条 朝鮮民主主義人民共和国は、北半部において、人民政権を強化し、思想、技術、文化の三大革命を力強く繰り広げ、社会主義の完全な勝利を成し遂げ、自主、平和統一、民族大団結の原則から祖国統一を実現するために闘争する。
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