辺見庸さんの創氏改名論2007/10/06

 辺見庸さんは近著『いまここにあることの恥』(毎日新聞社 2006年7月)のなかで、創氏改名について次のように説明しています。

>朝鮮人から固有の姓を奪い日本式の名前に変えさせた政策。皇民化政策の一環であり、他民族への天皇制支配を体現化する蛮行と言える。1939年、朝鮮民事令改正という形で公布され、40年から施行された。>  (99頁)

 このような間違いだらけの解説が、著名な人による、しかも毎日新聞から出版される本にあるのですから、ビックリ!!  これでは辺見さんは歴史の勉強をしているとはとても思われないし、毎日新聞社の関係者も同様に歴史にあまりにも疎いとしか言いようがありません。

 一度定着してしまった虚偽の歴史は、なかなか直すことが難しいと痛感しました。

   http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daijuunidai    http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daisanjuudai    http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainanajuudai

京城と名前2007/10/13

>辻本氏は京城を差別語だと言いましたが、明らかに事実誤認です。>

 拙論を全く読まなかったようですね。このような人を何と呼べばいいのでしょうか?  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainijuuyondai  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dairokujuunidai  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainanajuukyuudai

>ソウルは本来「漢城」と呼ばれていました。>

 正確に言いますと、高麗時代は「漢陽」、その後の李朝時代から「漢城」です。

>それと朝鮮人の名前を奪ったと主張していますが元々名前があったのは両班など極わずかの人間だけです。>

 ならば両班以外の人は、どのように呼び合っていたのですか?  また当時の人々は本人の特定をどのようにしたのですか?

>日本が併合して日本人(一等国民)になれ(朝鮮人は四等国民だった)>

 植民地時代に「一等国民」「四等国民」という制度・呼称はありません。

>朝鮮人にも日本風の名前を名乗ることを許可したというのが歴史的事実。>

 創氏は届出制です。許可制ではありません。

 歴史の勉強があまりにも不足しておられます。

朝日の歴史無知2007/10/20

 朝日新聞記者の植村隆さんが、「新聞と戦争 植民地朝鮮で①」という連載の始まりのなかで、次のような歴史を解説しています。

>「京城」は、日本が漢城と呼ばれていた首都を改称した言葉で、現在のソウルだ。植民地時代、日本は「創氏改名」として、日本風の名前をつけるよう朝鮮人に強いた。「京城」はいわば都市の「創氏改名」にあたる。「朝鮮」を略した「鮮」という言葉も、侮蔑的に使われた。いずれも、今日では不適切な言葉だが、この連載では歴史的な用語として使用する。>

 この植村記者、いったいどんな歴史の勉強をしてきたのでしょうか。

 「創氏改名」は日本風の名前を強いるものではありません。これは故金英達さんが1990年代初めに立証され、その研究書も公刊されてきました。これを知らないとは、どういうことなのでしょうか。

 「京城」は古来朝鮮で使用されてきた首都名の一つで、これについては1997年に原田環さんが論文を公表されておられます。これはかなり有名な論文で、川村湊さんや黒田勝弘さんなどが紹介しています。これを知らないとは、どういうことなのでしょうか。

 あまりの歴史の無知さに驚かされます。

 (参考) http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daijuunidai http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainijuuyondai http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daisanjuudai http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dairokujuunidai http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainanajuukyuudai

韓国の古代的法規範意識2007/10/27

 韓国は、親日派とされた歴史上人物の子孫の財産を没収することを決めました。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%AA%E6%97%A5%E5%8F%8D%E6%B0%91%E6%97%8F%E8%A1%8C%E7%82%BA%E8%80%85%E8%B2%A1%E7%94%A3%E5%B8%B0%E5%B1%9E%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%B3%95

 これは「親の因果が子に報い‥」あるいは「罪、類九属に及ぶ」の世界ですねえ。  過去に法を遡及して適用し、財産没収です。近代社会の法規範からほど遠いものです。時代が逆戻りしたかのようです。

 このような前近代的=古代的な意識が、北朝鮮ではなく、近代化に成功したはずの韓国で今なお強く残っていることに驚かされます。

 朝鮮民族の法規範意識は、我々とは違うのではないか、ということは拙論で論じました。  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihachijuuichidai   http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daiyonjuugodai

 日本でもかつて故本田靖春さんが、従軍慰安婦問題に関連して、

「私の亡父は、初め朝鮮総督府の役人をしていて、後に新設の重工業会社へ移り、敗戦時には本社の筆頭課長をしていた。その次男である私は植民地支配に直接手を下したわけではないが、自分のことを朝鮮への侵略者であり、朝鮮民族に対する加害者であったと思っている。  その罪は四十七年間くらいでは消えない。私の子も、そして孫も背負うべきであろう。それが歴史認識というものではないか。」(講談社『時代を見る眼』1993 114頁)

と論じておられました。日本では左翼・革新系の人が同じような「親の因果が子に報い‥」の意識を持っているようです。  朝鮮民族と日本革新系の意識の共通性は、興味深いものです。