朴容福さん2008/05/09

 「第75題 出生届を出さない親」で、朴容福さんという活動家の主張と行動を評しました。 http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainanajuugodai

 彼のその後について、統一日報が2008年1月1日付けで記事にしています。

「娘は戸籍ないまま育った  朴容福さん(自営業・55歳) ◆親の口惜しさ知って

 「昔は、帰化問題が深刻な悩みだった。1世の親を裏切るか裏切らないかという切実な問題意識があった。親とどう向き合うか。帰化は2世の悩み、苦しみでもあった。帰化は今、選択の問題になっている」  東京・三鷹に住む市民運動家、朴容福さん(55)=自営業=は語る。日本人女性と結婚し、娘が生まれた。娘の朴姓を守るため戸籍法や行政と闘ってきた。   ○  ○  朴容福さんは言う。  「85年の国籍法改正が決定的な意味を持った」  娘の日本姓を拒否した朴さんは、国際結婚で生まれた子どもに父親である自分の姓を名乗らせるよう求める。父親姓の子どもの出生届は受理してもらえなかった。子どもはあくまで母親の戸籍に入るから、というのが役所の言い分だった。子どもの姓を決める親の権利が侵害されていた。「家族の尊厳の問題だった」。子どもの国籍と姓は守ったが、子どもは戸籍のないまま育った。  今、朴さんは、国籍は子どもの選択に任せている。本名だけは名乗るようにと伝えている。  「私は変えない」  朴さんにとって国籍とは、日本とどう向き合うかの問題。日本国家のあり方を問う問題に等しい。日本に対しては批判的にならざるを得ない。  「在日は100年の歴史がある。日本で生活を続けてきた重さや価値がある。在日の未来を見つめ続ける」。朴さんの信念だ。」 http://www.onekoreanews.net/past/2008/200801/news-tokusyu05_080101.cfm

この記事には、いろんな疑問が湧いてきます。

・まず朴さんの結婚した相手を「日本人女性」としていますが、彼自身の主張(1999年)では「日本国籍の在日」となっています。「日本国籍の在日」から「日本人女性」への変身は興味深いものです。あるいは別人なのでしょうか。

・「子どもの国籍と姓は守ったが、子どもは戸籍のないまま育った」 とありますが、韓国の戸籍に入らないと、韓国国籍は証明されません。これは日本でも同じです。もし韓国でも日本でもどちらの戸籍もないということでしたら法的には無国籍状態ですので、国籍を守ったことにはならないでしょう。どうも理解できません。  連れ合いの方はかつて韓国籍であったようですから、日本国籍を離脱して韓国国籍を回復することができます。そうすれば子供さん含めてすべての家族が韓国の戸籍に登載され、韓国国籍や姓を守ることができたのですが‥。

・「朴さんは、国籍は子どもの選択に任せている。」  戸籍がないのにどうやって国籍の選択ができるのでしょうか。韓国の戸籍はあるが、日本の戸籍はないということなのでしょうか。

・「朴さんにとって国籍とは、日本とどう向き合うかの問題。日本国家のあり方を問う問題に等しい。日本に対しては批判的にならざるを得ない。」 とありますが、彼にとって国籍は、日本よりも祖国である韓国あるいは北朝鮮とどう向き合うのかの方がより重要な問題であるべきでしょう。祖国を抜きにする志向、これも理解できるものではありません。

 朴容福さんの主張と行動については、「親の執念、子の迷惑」「日本に対し闘いたいだけ」と評しましたが、この感想は今も変わりません。