徐正禹さん2008/07/12

 長年民族差別撤廃運動の中心として活動してきた徐正禹氏が、「論文」を執筆し、公表しています。 http://koreanshr.jp/kenkyukai/index.html http://koreanshr.jp/kenkyukai/resume1/index.html

 このうちの活動資金に関して、非常に驚くべき論を展開していることについては、先に紹介しました。 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2008/07/05/3611255

 今度は論文内容を詳しく検討しようと思ったのですが、「要旨」でいきなり次のような記述に出くわしました。

「1970年日立就職差別裁判に始まる民族差別撤廃運動は、1980年代に最も高揚したが、1990年代後半以降、今日に至るまで停滞状況にある。停滞の契機となったのは、地方参政権獲得運動に対して、政府与党のプロジェクトチームが発表した日本国籍取得特例法案である。」(要旨の冒頭) http://koreanshr.jp/kenkyukai/resume1/outline.html

 ところが、停滞の契機となった日本国籍取得特例法案について、第4章には次のように記されているのです。

「2001年政府与党に「国籍等に関するプロジェクトチーム」が、結成され「特別永住者等の国籍取得の特例に関する法律案(以下国籍取得特例法案)」が発表された。この法案は在日朝鮮人団体に強烈な衝撃を与えた。」(第4章4.1参政権と日本国籍) http://koreanshr.jp/kenkyukai/resume1/chapter4.html#4_1

 つまり筆者は、1990年代後半に民族差別撤廃運動の停滞の契機となった年代は2001年である、と自ら論じているのです。全くの矛盾です。  冒頭からこんな具合ですから、後は推して知るべし、でしょう。  あまりにも疑問点が多い論文です。そもそも「註」がなく、事実関係の検証すらできません。  この論文は「修士論文」ですから、本来は研究論文であるはずなのですが‥‥。指導教員はこれを

「質の高い修士論文を作成することに成功している」 http://koreanshr.jp/kenkyukai/resume1/evaluation.html

と評していますので、更にビックリします。この教員の方については http://www.shse.u-hyogo.ac.jp/katutugu/ 参照。