集英社新書『在日一世の記憶』(その5)2009/01/02

 この本は52人の在日一世の体験談とされているが、次の二人は「在日一世」ではない。

 22、平野八重子(315頁~)  50、石梨香(718頁~)

 平野さんは元々日本人で、日本で生まれ育ち、在日朝鮮人男性と戦後の1947年に結婚している。

 石さんも元々日本人で、日本で生まれ育ち、在日朝鮮人男性と出会って5年経て1959年に結婚している。

 彼女らは結婚後は日本人ではなく朝鮮人として生きてきたが、朝鮮の地で暮した事がない。結婚後も生活の場所はすべて日本であった。

 この本では在日一世を「植民地時代から南北分断時代にいたる民族受難の歴史を異国で生き抜いた在日韓国・朝鮮人」(761頁)としている。従ってこの二人が「在日一世」でないことは明白である。

  在日一世でない者を二人も『在日一世の記憶』という本のなかに入れたのは何故なのだろうか? その理由・意図は、この本のどこにも記されていない。