在日韓国人政治犯2010/05/17

 1970~80年代に在日韓国人「政治犯」が北のスパイ容疑で逮捕・服役されたのは、冤罪だとして訴えておられるようです。

http://www.47news.jp/CN/201005/CN2010051701000856.html

 こういう記事を読むといつも疑問に思うのは、この人たちは政治信条を裁かれた本当の意味での「政治犯」なのか?ということです。

 70~80年代は、今では想像もできないでしょうが、韓国の北に対する警戒心はすごいものでした。在日韓国人が、親族訪問であれ、留学であれ、本国を訪れる時は、このことを常に気にしなければならなかったし、それが当然のことでした。

 具体的には、日本における朝鮮総連との関係を完全に切っておかなければ、韓国でいつ何時、北のスパイとして逮捕されるか分からない‥‥そういう時代だったのです。

 私の知り合いの知り合いですから、ちょっと遠い方ですが、1980年代に韓国に留学中に逮捕された在日がいました。彼は韓国滞在中に、「撮影禁止」と書かれた看板を含めて、基地周辺を写真に撮り、それを韓国の写真屋に現像に出したのです。当然のことながら、北の間諜ではないかと通報されました。

 彼は日本で生まれ育ったので、平和ボケしてたのでしょうが、韓国では容赦されません。さらに悪いことに、彼はその10年以上も前の高校時代に、朝鮮文化研究会(以下「朝文研」)に入っていたのでした。朝文研は、70年代では大なり小なり朝鮮総連と何らかの関係のあるもので、中には全くの総連下部組織のようなものもありました。

 彼自身は、政治的には右も左も分からない全くの能天気であったし、朝文研も軽い気持ちで入っていたようなのですが、この経歴が災いして「スパイ容疑」となり、1年数ケ月も臭い飯を食ったわけです。

 彼は政治的信条も何もない、大阪弁で言えば「ホンマにアホそのもの」だったにもかかわらず、それでもスパイ容疑となったわけです。

 この彼が政治信条を裁かれた「政治犯」では決してあり得ません。冤罪であることは間違いないのですが、その余りのアホさ故に、だからこそ当時の祖国の厳しい現実を知らなかったために、スパイ容疑となったわけです。彼を「政治犯」と呼べるものでは決してありません。

 ところで、上述の記事にある「政治犯」と称される方々は、一体どのような政治信条をもって韓国におられたのか? 疑問とするところです。

(参考)http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daigojuuhachidai