韓国の北朝鮮研究2011/02/22

 韓国で北朝鮮がどのように研究されているのか、気になっていたので、「北朝鮮の現代の歴史を客観的に述べようと試みた」(284頁)と自称する『写真と絵で見る北朝鮮現代史』(コモンズ 2010年12月)を購読しました。

 中身を読むと、疑問な点がかなりあります。「(北朝鮮)社会の肯定的な側面も見つけようとする」(280頁)に重点が置かれているのですが、それでも、何故これが「客観的」?かと思われるところが多々あります。

 例えば1956年から始まった千里馬運動。その説明に次のような説明をしています。

>設計図や専門設備もない状態で、輸入した自動車やトラクタ―を解体し、部品をひとつずつ図面に起こし、それに合わせて造っていく。この方法で、30日でトラクターを、40日で自動車を完成させた。住宅建設でも一大革新が起きた。住宅を14分で組み立てる奇跡が起き、これを「平壌速度」と呼んだ>(129頁)

>ある労働者はダムの建設現場で、70㎏の重さの砂袋580個を作るために、川から29時間も出ることなく働き続けたという。彼は予定された工事期間40日をたった5日に短縮し、「労働英雄」として称えられた。>(131頁)

 北朝鮮の宣伝本をそのまま引用したのでしょうが、こんな神がかり的な奇跡談を、「客観的」を自称する歴史の本に検証もせずに入れるとは!!

 もう一つ紹介しますと

>大衆は生命の恩人である首領に忠誠と真心を尽くし、逆に首領は人民に「以民為天」に基盤を置いた仁徳政治を行なわなければならない。それゆえ、金日成は存命中に1万8000ヶ所あまりの単位を訪れ、55万㎞に及ぶ現地指導をを行うほど、「現場政治」と人民とのふれあいを重視した>(193頁)

 某宗教の教祖様のお話のレベルですが、これが「客観的」な歴史の本に出てくるとは!!

 研究者ならば、設計図も設備もないなかで30日で作られたトラクターや40日で作られた自動車がどんなものなのか、14分で作られた住宅がどういうものか、金日成が現地指導したという1万8千ヶ所のリストを作成し、本当に見て回ることが可能なのかどうか‥‥を検証すべきものなのですがねえ。

コメント

_ katachi ― 2011/04/01 02:26

普通じゃないね。
近隣が異常だから、日本はしっかり筋の通った行動がどうしても不可欠です。
民主党も近隣と同類性がありトロイの木馬となっています。
火をつけて灰にすることです。

_ 緑 ― 2012/04/01 23:18

正しくは「以民為天」ですね。
引用元が間違ってるのかわかりませんが。

_ 辻本 ― 2012/04/02 19:33

緑様。
 こちらの引用ミスであることが分かりました。早速修正しました。
 ご指摘頂き、ありがとうございました。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック