「演歌の源流は韓国」論の復活2012/01/10

 演歌の源流は韓国であるという俗説が復活しているようです。40年も前の、しかも全く根拠のない俗説が再び登場するとは、興味深い現象です。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120110-00000076-scn-kr

 1970年代に韓国の李成愛(イ・ソンエ)が日本で「カスマプゲ」という演歌を出して、大ヒットしたことがありました。  当時はカラオケが始まった頃で、あちこちの飲み屋では「カスマプゲ」を歌う人が多かったものでした。

 この時に発売されていたレコードには「演歌の源流」というタイトルが付けられていたのです。

 李成愛は「イ・ソンエ」と韓国読みでデビューしました。当時は、日本人は本名を名乗る韓国・朝鮮人に強制的に日本名を名乗らせて、民族を否定しようとする差別的体質があるという説がまかり通っていた時代でした。  だから彼女が本名で、しかも韓国読みで大ヒットしたことは、ビックリというか、新鮮な感じを持ったものでした。

 これを機に、演歌の源流は韓国だと主張する在日が多くなりました。その一人の梁泰昊さんという方に、何故なのかとお聞きしましたら、演歌の始祖である古賀政男は朝鮮で育っており、朝鮮の影響を受けているから、という答えでした。

 しかし、古来からある朝鮮のメロディー(アリランやトラジ、パンソリなど)と古賀メロディーは繋がらないでしょう、と尋ねても、朝鮮で育ったからには影響があったはずだということでした。  結局、古賀が少年時代を朝鮮で過ごした以外に根拠はないということです。

 古賀は朝鮮で育ちましたが、朝鮮人との付き合いは特にはなく、本格的な音楽活動は東京の明治大学に入学してからのことです。  従って古賀が朝鮮から影響を受けたというのは、かなり無理がある説だと思います。

 こんな議論をしたのが1970年代。  それから40年経って、またこんなことを言う人が出てきたのか、しかも今度は古賀政男が韓国人だという珍説まで登場しています。

 こんな馬鹿馬鹿しい俗説が登場するという現象が、突発ではなく数十年を置いて繰り返すという点で、研究対象としては面白いかな、と思います。