韓国の盗撮事件2013/07/02

 女性のスカート内をこっそり盗撮する事件は、日本ではしょっちゅう報道されます。一方韓国の報道ではこのような事件はなかなか見当たりません。韓国では盗撮事件はほとんどないのか、或いはあっても事件とされないのだろうと思っていたのですが、そうでもないようです。6月27日付の『朝鮮日報』で次のような記事がありました。

有名私立大学の教授、盗撮し検挙   映画館で女性のスカートの中 撮影           名門私立大学の教授が映画館でこっそりとカメラで女性の身体の特定部分を写した容疑で検察の調査を受けている。    26日ソウルの江南警察署などによると、ソウルの名門私立大学現職教授A(51)氏が先月18日ソウル市内のある映画館で、小型カメラが付いた腕時計で後ろの席の女性B氏のスカートの中を撮影した容疑で訴えられている。B氏は、しきりに体をひねるA教授を怪しいと感じ抗議し、これにA教授はあわてて席を離れたものと伝えられた。彼の盗撮行為は、映画館の座席に落とした名刺がB氏によって発見され明らかとなった。     捜査に着手した警察はA教授から撮影用の腕時計などを押収した。A教授は警察の調査で容疑の大部分を認めたものと伝えられた。警察は去る18日、性暴力犯罪処罰法違反容疑でA教授を検察に送致した。      本紙はこの日3回以上A教授に連絡を取ったが、電話には出なかった。この学校の広報関係者は「そのようなことがあったのかどうか、全く把握できない」と語った。

 何か月か前に、有名百貨店で外国人が盗撮して職員に捕まったが、百貨店は警察に連絡もせず身元も確認しないまま逃がしてやったということが発覚した事件がありました。この時は、韓国では盗撮は日本ほどに卑劣な行為とは見ていないのだろうと思ったのですが、そうでもないようです。また社会的地位の高い人がこのような破廉恥行為をやると報道されるのも、日本と同じようになってきているようです。

 ところで「盗撮」をハングルにすると「도촬」、これは日本の盗撮とは違って例えば性行為した際に相手方の裸の写真を承諾なく撮影することで、これを恐喝に使うことが多いものです。見知らぬ女性のスカート内をひそかに撮影するのは「몰래 카메라(こっそりカメラの意味。略して몰카)」と言います。日本と韓国で、同じ漢字言葉が違った意味になる例の一つです。

砧ー日本の砧・朝鮮の砧2013/07/05

 政治・社会問題と関係ない話題を出します。  本ブログでは定番の「砧」。

 分かりやすいように、図を多く使ってレジュメを作成しました。

 砧ー日本の砧・朝鮮の砧     http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihyaku18dai.pdf

【紹介】―砧について、かなり詳しく調べた方がおられます

   砧の伝承      http://www4.airnet.ne.jp/sakura/kinuta/kinuta_fr1.html

 砧とは何か?     http://www4.airnet.ne.jp/sakura/kinuta/kinuta_fr2.html

 残された砧      http://www4.airnet.ne.jp/sakura/kinuta/kinuta_fr3.html

 横槌の色々      http://www4.airnet.ne.jp/sakura/kinuta/kinuta_fr4.html

 砧打ちの跡      http://www4.airnet.ne.jp/sakura/kinuta/kinuta_fr5.html

 このHPの最後に、拙稿で勉強されたと記されています。拙稿が役に立って、嬉しいものです。

韓国の盗撮事件(2)2013/07/09

 韓国では盗撮事件は珍しいとばかり思っていたのですが、そうではなく結構多いことが分かりました。わが不明を恥じるのみです。

http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/07/02/6884663

 ところで、この記事中のなかで気になる点が一つあります。

警察は去る18日、性暴力犯罪処罰法違反容疑でA教授を検察に送致した。

 つまり、盗撮は韓国では「性暴力犯罪処罰法違反」になるということです。この法律は主に、日本でいうところの「強制わいせつ罪」を扱う法律なのですが、盗撮もこの法律が適用されるとあって、ちょっとビックリ。日本では盗撮は迷惑条例違反で、刑法の強制わいせつ罪には該当しません。

 そこで韓国の法律辞典で調べてみました。これによると盗撮は次に当たるようです。  (直訳ですが、意味は分かるでしょう。)

② 電話・郵便・コンピューター等の通信手段を利用した淫乱行為と、バス・地下鉄・劇場等、公衆密集場所での醜行(訳注-痴漢など)を処罰できるようにして、これを親告罪とすること(第13条、第14条、第15条)      

 盗撮は「バス・地下鉄・劇場等、公衆密集場所での醜行」に当たるようです。盗撮が「性暴力犯罪処罰法違反」に当たるとなると、韓国の犯罪統計における「強姦(性暴行を含む)」の件数は、刑法の強姦罪とこの「性暴力犯罪処罰法」の適用を受けた事件数ですから、盗撮もこれに入ることになります。

 一方日本では、盗撮は「条例違反」であって刑法ではありませんので、刑法の犯罪統計には表れないことになります。

 拙論ではこれまで、強姦罪と強制わいせつ罪の合わせた数字で日本と韓国とを比較してきました。

韓国の性犯罪  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/08/31/6560292

韓国における強姦と強制わいせつ件数  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/03/17/6748307

『韓国経済が崩壊するこれだけの理由』   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/03/09/6741409

 韓国では「性暴力犯罪」(強制わいせつ罪)に盗撮事件が入っているとしたら、そうでない日本とは犯罪統計数字の意味が違ってきますので、比較をしてはいけないこととなります。韓国の「性犯罪は日本の5倍」という数字は、かなり怪しいものだということです。

 こういう類の犯罪統計を国別に比較することは非常に難しいことを、改めて学びました。

鬼胎2013/07/13

 「鬼胎」という、聞き慣れない単語が韓国の政治を揺るがせています。

【ソウル聯合ニュース】韓国の最大野党・民主党の洪翼杓(ホン・イクピョ)院内報道官が11日の記者会見で、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に対し、「生まれてくるべきではなかった人の子孫」と発言したことが大きな波紋を呼んでいる。情報機関・国家情報院が昨年の大統領選に不当に介入した疑惑や2007年の南北首脳会談の議事録を与党議員に公開したことなどで与野党が対立している中、洪氏の発言で政局の混乱はさらに拡大しそうだ。        洪氏は会見で、安倍晋三首相の祖父の岸信介元首相と朴大統領の父の朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領を取り上げた書籍「岸信介と朴正熙」を引用し、「本に『鬼胎』という表現があるが、生まれてくるべきではなかった人が生まれてきたとの意味」と説明。「満州国の鬼胎、朴正熙と岸信介の子孫が皮肉にも韓国と日本の首脳となっている」と述べた。        また、「最近、朴大統領と安倍首相の言動が似ている。歴史の真実を否定し、旧時代に戻ろうとしている」と主張。「安倍首相は日本軍国主義の復活を唱えており、朴大統領は維新共和国(朴元大統領の独裁政権)を夢見ている」と批判した。        青瓦台(大統領府)や与党・セヌリ党は洪氏の発言に強く反発している。与党は12日の国会日程を中止し幹部会議を開くなど、対応に乗り出している。       青瓦台の李貞鉉(イ・ジョンヒョン)広報首席秘書官は12日の記者会見で、洪氏の発言について、「国民が選んだ大統領の正当性を否定するもの」「韓国の自尊心を傷つけ、国民を冒涜(ぼうとく)するもの」として、国民と大統領に謝罪するよう求めた。 

http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2013/07/12/0400000000AJP20130712002400882.HTML

 「鬼胎」とは、日本の辞典には  「1 (鬼胎)心配すること。心中のひそかな恐れ。「―を抱く」   2 ⇒胞状奇胎(ほうじょうきたい)」  の二つの意味があります。しかしこの記事のように「生まれてくるべきでない人が生まれてきた」という意味はありません。

 日本語でもほとんど使われていない漢語が、漢字を廃止した韓国で使われたとは、ビックリですね。しかも、韓国の一般的な国語辞典には載っていない単語です。国立国語院の標準国語大辞典には  「귀태01(鬼胎)[귀ː-]  「명사」  「1」두려워하고 걱정함.  「2」나쁜 마음.」 (鬼胎:名詞 1.恐ろしく心配すること 2.悪い心」  と説明されいて、やはり「生まれてくるべきでない人が、生まれてきた」という意味はありません。

 この「鬼胎」について、韓国の聯合ニュースが次のように解説しています。要約して訳してみました。(日本語版にはありません)

韓国系在日学者 姜尚中・玄ムアン教授の『岸信介と朴正熙』の本文内容を引用したもの‥この本は、日本語で出版された『興亡の世界史』シリーズのなかの満州部分だけを韓国語に訳した歴史書だ。 ‥‥ この本では「鬼胎」はいったいどのような意味で使われているのか。  著者は朴正熙前大統領と岸信介前総理をそれぞれ「独裁者」と「昭和の妖怪」と指称し、二人の根が日本帝国主義の分身である「満州帝国」であったと叙述し、二人を「帝国の鬼胎」と描写した。   また「彼ら(朴正熙と岸信介)は足のついた亡霊のように生き返り、「独裁者」と「妖怪」の子孫たち(朴槿恵大統領と安倍晋三総理)を動かしている」と叙述した。‥‥ 訳者は「鬼胎」について、作家司馬遼太郎の造語だとして‥‥   日本の有名な小説家、司馬遼太郎はいわゆる昭和時代である1905~1945(ママ)年を「鬼胎の40年」と定義した。昭和時代を規定するために「鬼胎」という言葉を作ったというのが定説のようだ。    しかし日本の文献と資料を調べてみると、司馬が「鬼胎」とともに「異胎」という表現を同じ意味で使っていた点から考えてみると、「鬼胎」を「生まれてはならない人」と単線的に定義できるのか疑問の余地がある。      司馬は日帝が日露戦争と太平洋戦争などに突っ走った時期である昭和時代を、本来の日本から逸脱した「変種の時代」「異質的な時代」という点を強調するために「鬼胎」または「異胎」という表現を使ったという指摘が多い。  ‥‥ 特に今度問題となった『岸信介と朴正熙』の共同著者である姜尚中教授が、『在日 姜尚中』という2004年出版された自伝的エッセイで使用している「鬼胎」の使い方にも注目する必要があるとみられる。姜尚中の使い方が司馬とは微妙に違う角度でなされているためである。      姜尚中は自分の叔父を回顧して「歴史が強要した過酷な人生だと語ってしまえば、それだけである。しかし歴史に振り回されながらも父と叔父はそれなりの方法で屈せず生き抜いてきたと考える。過酷な人生を生きぬいた「鬼胎」たちの記憶を、彼らの生きてきた場所を捉えてみたい」という題目を見れば、「鬼胎」が重層的な意味を持った単語として受け入れられている。‥‥」

http://www.yonhapnews.co.kr/bulletin/2013/07/12/0200000000AKR20130712163500001.HTML

 どうやら韓国の民主党は「鬼胎」を元々の意味から離れて解釈して、政敵を攻撃する言葉として使ったということのようです。

 相手を批判するのに、父親や祖父のことを持ち出すとはねえ。「親の因果が子に報い」という思想が日本の左翼に受け継がれていると論じたことがありましたが、韓国でも同様のようです。

http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/10/18/6605712

ある在日の通名騒動記2013/07/16

 二十年以上前の話ですが、金(通名は「長谷川」―仮名)さんという在日韓国人と知り合いになりました。アメリカで長年生活していて、永住権を申請しようとした時のことです。

 日本で生まれたこと、および日本での学歴を証明するもの等々の書類を準備せねばならないとのことで、日本に帰国した際に役所で出生証明書、各学校で卒業証明書を発行してもらいました。

 彼は幼い時からずっと「長谷川」という名前でしたので、各卒業証明書はすべて「長谷川」となっていましたが、出生証明書には「金本」という、それまで聞いたことのない名前となっていました。ビックリして母親に聞くと、昔はそんな名前だったが、死んだお父さんがいつの間にか「長谷川」に変えて、ずっとその名前でやってきたと言います。しかし改名がいつ頃で、また何故変えたのかについては知らない、もうお父さん亡くなっているから全く分からない、とのことでした。

 アメリカへの永住権申請には、出生時の通名「金本」、その後の通名「長谷川」という名前の書類が提出されることになります。次にこれが同一人物であることを証明せねばなりませんが、日本の役所は通名がいつ、どのように改名されたのかという証明を出してくれません。そういう書類自体が残っていないのでしょう。

 従って在日の登録通名の任意の変更の場合は、同一人物性の証明が意外と面倒なものです。これが例えば婚姻や養子縁組などによる改名でしたら、同一人物の証明は簡単なのですが、通名の変更の場合、特に本名を併記していない通名のみの書類は、同一人物性の証明がかなり難しくなるのです。本名併記のない書類は、面倒でも通名は違っても本名・生年月日・性別が一致するという書類を整えて、何とか証明できることになりました。

 ところが今度は何故改名したかの事情を説明する必要が出てきました。父親が亡くなっていて改名の実際の事情を知らないので、これが困ったのです。彼は仕方なく、日本では在日朝鮮人への差別が厳しく「金本」という朝鮮人らしい名前では差別を受けるので、「長谷川」という日本人らしい名前に変更したという理由を作りました。これで本当に永住権申請をしたのかどうかは、連絡がなかったので分かりません。

 以上のような経過を知って、私は二つの点で驚きました。一つは、当時は在日の通名(日本名)の淵源は戦前の悪名高い創氏改名政策にあり、日本は在日の民族性を否定し、同化を強要するため無理やり通名(日本名)を名乗らせているのだという通説がまかり通っていたからです。この通説に基づいて、民族差別と闘う団体は日本社会へ激しい闘争を繰り広げていたのです。

 しかし在日の通名(日本名)は創氏改名とは関係ない場合があるということ知ったのでした。当時の私は差別と闘う団体と同じく、在日の通名はすべて創氏改名によるものと思い込んでいましたから、驚いたものでした。

 また在日は通名(日本名)を強要されたのではなく、自ら進んで命名することができたという点にも驚いたのでした。   つまり在日の通名(日本名)は日本からの同化圧力によるものではなく自らの意志であり、或いは在日社会に「自分たちは日本に住んでいるのだから日本名を名乗るのがいい」という共通認識があったからだと分かったのでした。

 このような経験によって、民族差別と闘う団体が推進した「通名を捨てる」「本名を呼び名乗る運動」への疑問が湧き出てきたのでした。

 ところで今は在特会という団体が在日の通名禁止を叫んでいます。これは上述の民族差別と闘う運動と同じく、間違った認識に基づく主張であることは繰り返し説明してきました。

 かつての「左」がウソの知識を信じ込んで通名を捨てろと主張したのと同じように、今度は在特会という「右」がデタラメ知識で通名禁止を主張しているのです。

 左も右も、結局は同じ穴のムジナの存在です。

【拙稿参考】

第21題 「本名を呼び名乗る運動」考  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainijuuichidai

第85題 (続)「本名を呼び名乗る運動」考  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihachijuugodai

第84題 「通名と本名」考  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihachijuuyondai

日本への悪口言葉―韓国語の勉強2013/07/19

 『朝鮮日報』7月15日付に、チョン・ジョンソプ(ソウル大学教授・憲法学)さんの「日本の指導層、自閉孤立主義から抜け出さねば」と題するコラムが載っています。その後半部分が日本への悪口の連続です。特に最後の十行ほどがなかなかの悪口で、韓国語の勉強になります。

安倍内閣が小さな利益に陶酔して大義を捨てる行為や極右集団たちの野蛮な行動は、골목대장(ガキ大将の意)の水準で、過去の明治維新の志士たちのスケールには最初から到達することも出来ないほどに低級なものだ。   분탕질(焚湯―放蕩三昧の意)に近いこのような姿を見るに見かねた日本の知識界と政治圏でもこれを批判する声が出てきている。この知性の力が難局を克服することを期待し、これまでに韓・日間に志を持った人が苦労して作ってきた善隣と友好の塔が、衝突を繰り返す철부지(分別不知―世間知らずの意)によって壊されないことだけを願うのみである。

 こんな悪口言葉(골목대장、분탕질、철부지)があるとは知りませんでした。わが勉強不足を恥じるのみ。

 この文より前にも悪口表現がいろいろあって、勉強になります。

시대에 뒤떨어진 것 (時代に取り残されたこと)

자국 패권주의적 가치 (自国の覇権主義的価値)

패륜적인 죄악 (悖倫的―倫理に悖る罪悪)

천방지축으로 날뛴다 (天方地軸―バカが無茶なことをするの意―で跳ね上がる)

더욱 비열한 것 (さらに卑劣なこと)

자국 중심의 자폐적인 고립주의로 빠져들면서 나타난 현상 (自国中心の自閉的孤立主義に陥って現れた現象)

‘가라파고스화’의 길로 빠져들면서 (ガラパゴス化の道に陥りながら)

처방이 잘못된 것 (処方を間違ったこと)

일본 국민을 선동하고 왜곡하고 있지만 (日本国民を扇動し歪曲しているが)

야만성만 드러낼 뿐이다 (野蛮性をさらけだすだけである)

 この先生、授業でもこんな悪口を教えているのですのかねえ。

在特会を弁護する人たち2013/07/24

 在特会の「殺せ」「死ね」「ゴキブリ」といったヘイトスピーチに対して、「擁護しない」「賛成しない」「感心しない」と言いながらも、彼らを弁護する人が多いようです。これは私には既視感があります。そう! かつての極左過激派諸君の裁判において、弁護士の人たちが行なった弁論と同じなのです。

 弁護士ですから弁護するのは当然なのですが、その論理は「法に触れる行為ではあったが、彼らは純真な気持ちで社会に問い掛けたのである」とか「‘暴力革命’とか‘殲滅’‘鮮血の鉄槌’とかいうのは言葉の遊びと同じで、これを真剣に受け取る必要はない」「被告らは強力な警察や自衛隊に比べれば余りにも弱小である。被告らが呼号する‘革命’は実際に不可能であり、被告らもやる気がないのが明らか。児戯に等しい」というような論理で弁護していました。

 過激派諸君は革命運動を真剣にやっていたはずです。しかし裁判では、弁護士さんは彼らの罪を軽くしようと「児戯」「言葉遊び」扱いしたのでした。そして過激派諸君はこれを受け入れていたので、私はビックリというか、記憶に残っています。革命のためならそれは小事に過ぎないのだから、ブルジョワ裁判(当時よく使われた言葉)の茶番を早く終わらせて、革命に身を捧げたいという決意なんだと勝手に解釈しました。

 しかし過激派諸君は「児戯」「言葉遊び」とされた革命運動を本当に実行していき、多数の人の命を奪っていったのでした。

 今の在特会のヘイトスピーチもこのまま放置していたら、いずれ過激派諸君と同じ道を歩むものと思います。さらに彼らには本ブログのコメント投稿のように、「感心しない」「擁護しない」と言いながらも弁護する人が多数いるという事実があります。しかもこれら弁護者たちは弁護士のように報酬を得る業務ではなく、自ら進んで弁護しているところに事態の深刻さがあります。

 公安当局が在特会及びその弁護者への監視を強め、跳ね上がり行動をしないよう誘導してくれることを願うのみです。

通名・本名の名乗りは本人の意思を尊重せねば2013/07/28

朝日新聞に、こんな記事が出ました。

「社長が朝鮮名使用を強要」 在日韓国人が提訴 静岡         【上沢博之】勤務先で社長に在日韓国人であることを公表され、日本での通名ではなく本名を使うように繰り返し強要されたため、精神的苦痛を受けたとして、静岡県中部に住む40代の男性が、社長に慰謝料300万円を求める訴訟を静岡地裁に起こしたことがわかった。        男性は韓国籍で日本で生まれ育ち、通名を使用。訴状によると、男性社長から昨年11月と今年1月、勤務先の事務所で「朝鮮名で名乗ったらどうだ」と言われ、「このままで結構です」と拒否。2月にも「これからの時代は朝鮮名で生きた方がいい」といったことを言われ、4月には多くの社員の前で「この人は在日韓国人だ」と明かされた。さらに5月、「朝鮮名で名乗るなら呼んでやるぞ」と言われたという。男性は再三、本名を名乗るよう強要され、屈辱と精神的苦痛を味わったと訴えている。

http://www.asahi.com/national/update/0728/TKY201307270426.html

 この社長さん、1970年代以降に盛んとなった「本名を呼び名乗る運動」の実践者ですねえ。この時代には、在日の求職希望者の面接の際に、「採用されたら通名を使ってほしい」と言われたことが人権侵害だとして、訴えた人がいました。今回は、この逆パターンです。

 本名を呼び名乗る運動は解放運動の一環でした。その影響を受けて、教育委員会では通名を名乗る生徒に本名を名乗るとする指針を作って各学校を指導するところもありました。今もこの指針はあるようです。

 解放運動の盛んな学校では、通名の在日生徒に本名を強制していたものでした。今もやっているのですかねえ。

 某大学では通名で入学した在日学生を、本人の了解なしに、本名しかもハングル読みで登録し、使っていました。

 本名を名乗るか通名を名乗るかは本人の自由だし、周囲はこれを尊重すべきです。通名を希望する場合でしたら、周囲は「必要なら本名も使いますよ」で十分です。強要するものではありません。

 日本人でも、国会議員や知事等の公職にあって、本名ではなく、通名の人がいます。本人が通名を希望し、周囲もそれを認めているのですから、これと同じ扱いにすればいいだけです。

 なおこの裁判を起こした在日韓国人の方、自分の民族性を明らかにされることを「屈辱と精神的苦痛を味わった」としているのにはビックリです。それまでどのような社会生活を送ってきたのでしょうかねえ。運転免許、住民票、戸籍、パスポート等々、社会生活する上で本名=国籍=民族性を明らかにせねばならない機会はたくさんあるので、隠すことはないでしょう。

【拙稿参照】

第21題 「本名を呼び名乗る運動」考  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainijuuichidai

第85題 (続)「本名を呼び名乗る運動」考  http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daihachijuugodai

呉善花さん、韓国入国拒否されたニュース2013/07/28

 朝鮮日報に、呉善花さんが韓国に行こうとした際、入国拒否されたというニュースがありました。まだ日本語版には出てきていないので、ここで訳してみます。

嫌韓派、日本の呉善花、入国を拒否され‥‥「韓国に人権もない」と反発

日本で韓国を貶し、日本を美化する著述活動をしてきた日本の帰化韓国人、呉善花(56 女)日本の拓殖大学教授が27日、韓国を訪問して入国を拒否され、日本に戻って来たと日本の産経新聞28日報道した。     呉氏は最近日本の極右性向の雑誌に「韓国がハングルのせいでノーベル賞をとることができない」という放言をして論難を醸し出している。      産経新聞によると、呉氏はソウルで開かれる親族の結婚式に出席するために27日午前11時に仁川空港に到着したが、入国不許可となって日本の成田空港に戻っていった。     呉氏は入国審査の時に、隣の事務室に行けという指示を受けて、旅券を細かく調査され、1時間30分ほど経った後「入国を認めることはできない」という通知を受けた。      呉氏によると、入国不許可理由についての質問に担当職員は「上からの命令」という答えだけであったと産経新聞は伝えた。      呉氏は産経新聞とのインタビューで「文明国家として、あってはならないことだ。(韓国では)人権も何もない」「もっと冷静に対応してほしい」と韓国側を批判した。      日本の外務省は「事実関係を確認した後、対応を検討する」と話した。      呉氏は去る2007年10月、済州島で暮らしていた母親の葬式に参列するために済州空港に到着したら、一時入国を拒否されたが、「人道的配慮」で入国許可を受けたことがあった。      呉氏は1956年に済州島で生まれ、1983年に日本に渡った。1998年日本国籍を取得した呉氏は「反日の韓国には未来はない」「韓国併合の道」など日帝の韓国侵略を正当化する本を数十冊出版し、韓国に対してトンデモない偏見を繰り広げて、日本内の嫌韓論を広めたりもした。    呉氏は「創氏改名は、やりたい人がした」「強制連行した従軍慰安婦は存在しない」「靖国神社参拝は侵略戦争と関係がない」「日本の植民地統治が韓国を発展させた」などのゴリ押し主張をしてきた。       親日・反韓の評論家として有名な呉氏は去る25日、日本の極右性向雑誌『サピオ』に寄稿した「ハングル優越主義で漢字を忘れた韓国人‘大韓民国’すら書けない」という文章を通して「ハングルは、表意文字である漢字と違って文字だけで意味を知るのが難しい。だから分かり易いように言葉を変えねばならないが、そうすれば幼稚な表現になる」「‘世界で一番秀でた文字’を守らねばならないというハングル優越主義者のために漢字の復活ができないでいる。今教師たちに漢字を教える人材さえいないようになってしまった。だから韓国でノーベル賞はない」と主張した。       呉氏は「韓国では大学入試当日、飛行機の離着陸が禁止されて、道路の通行が禁止される程に受験戦争は激しい。韓国の大学進学率は2008年83.8%で、日本の50%台をはるかに超え、OECD諸国でも最も高い」「幼年期から塾にお金を注ぎ込むが、初等教育水準は国際的に高いが、歳が行くほどに水準が落ちる」と批判した。      呉氏はまた「学歴だけ手に入ればよく、もっと深い(学問の)意味を探りはしない」「韓国の書店では参考書を探す学生たちばかりがいるだけで、社会人はほとんどいない。韓国人は世界で読書量の最も少ない国民である。韓国人の40%以上が年間1冊の本も読まないという」と書いた。      呉氏は「私が韓国で中学生であった1970年の春、韓国は学校で漢字を教えることを中断した」「韓国語の語彙の7割は漢字語であるが、それを表音文字であるハングルだけで書くから同音異義語によってこんがらかることが増えている」といった。       ハングル優待政策が世代間文化の断絶を呼び起こし、韓国人がノーベル賞を受賞できない理由だというのである。        彼女は「(ハングルだけを学ぶ若い世代は)古典と史料を読めることができなくなり、大学の」研究者たちさえ60年代の、自分の指導教授が書いた論文を読むことすらできなくなった」「韓国人たちは、自分たちの大統領である‘朴槿恵’さえ漢字で書けない。過去の調査では、大学生の25%が‘大韓民国’を漢字で書けないことが分かった」といった。       呉氏は「(韓国人たちが)ノーベル賞受賞を逃すたびに、日本がお金で賞を買ったと悪口を浴びせるが、そういう時間があるなら漢字について真摯に考えねばならない」と主張した。

http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2013/07/28/2013072800517.html?news_Head1

 この記事で何が興味深いかと言えば、呉善花さんを感情的な言葉で厳しく批判しながらも、記事の半分以上を割いて彼女の所論を紹介していることです。この記事を書いた記者は、彼女に共感するところがあったのでしょうか。