“統一大当たり論”―バラ色の夢に酔う韓国(1)2014/06/21

 韓国の朴大統領が今年初めに「統一テバク論」を打ち出しました。 「テバク」とは韓国語で「대박」と書きます。最近流行した言葉ですので、韓国語辞典には採録されていないでしょう。 「大当たり、大儲け、幸運」の意味です。 一説では漢字語「大博」となり、博打で大儲けすることの意味だといいます。 言葉の由来はともかく、韓国では主に若者が使う流行語で、例えば新年の挨拶に「대박이 나세요(大当たりして下さい)」と言ったりします。

 この最近の流行語を朴大統領が南北統一問題に使ったので、ちょっとした話題になっていました。 それは、統一すればこんないいことがあるとバラ色の宣伝をして、統一に対して熱意を持たなくなって来ている自国民に関心を持たせ、更には北朝鮮を韓国主導の統一に引き込もうとする意図があるようです。

 こんなことは大統領の思い付きに過ぎないと思っていたら、そうではなく韓国政府内で真剣に議論されていると知って、ちょっとビックリ。

 国立外交院という部署が担当しており、この程報告書を出したそうです。『朝鮮日報』(2014年6月16日付け)に要約紹介の記事が出ていました。その記事の一部を訳してみました。

G7 統一韓国、国家ブランド価値も7位に上昇      人口8000万・世界第7位の経済国    2040年に北朝鮮住民所得5万6千ドルに    ドイツ統一より強い相乗効果    国立外交院は、南北朝鮮が2030年に平和的統一を成す場合、韓国の資本・技術力と北朝鮮の資源・労働力、ここに海外からの投資を加えて2040~2050年には人口8000万人の世界第7位の経済大国の座に上るという見通しを明らかにした。     国立外交院の『2040年 統一韓国ビジョン報告書』によれば、統一韓国はイギリス、フランス、ドイツなどG7国家の平均である人口8000万人の水準に上昇し、ここに海外の人材を積極的に迎え入れる“開かれた政策”を行なえば、現在の輸出依存型経済から内需が経済を引っ張っていくことが出来ると予測した。       また東アジア経済共同体構想を主導し、ITなど先端技術の力量と、ユーラシア大陸と太平洋を繋ぐ架け橋となる国家としての地政学的な強み積極的に活用すれば、世界第7位の経済大国として浮かび上がって来るとした。 北朝鮮の豊富な天然資源を開発し、内需の50%以上を国内で自給できるようになる。         また北朝鮮に押し寄せる海外投資が韓国の資本・技術力、北朝鮮の資源・労働力と結合して、ドイツ統一の時よりも強力な相乗効果が起きるというのである。     報告書は2040年代中頃になれば、北朝鮮住民の一人当たりGDPは韓国の70%水準である5万6000万ドルの水準に上昇するものと予想した。 2013年に854ドルの水準である北朝鮮の一人当たり国民所得は30年経つと65倍に増えるというのである。 韓国の一人当たりGDPも2万3838ドルから8万ドルに上っていく。 しかし統一が成されない場合、GDP基準で世界15位水準である韓国経済は、高齢化などで今よりもっと水準が下がるものと分析した。      国立外交院は、統一韓国が域内成長の牽引車の役割をしながら、ユーラシア大陸と太平洋の共同繁栄を先導することができるという。 中国・ロシアで塞がっていた鉄道・道路を連結し、電力網とガス管を連結することによって、中国・日本などと共に世界最大の経済圏である東アジア共同体を形成するようになり、東アジアの交通・物流・エネルギー観光の中心軸として跳躍するであろうと語った。       統一韓国が東北三省および沿海州、日本と連携すれば、3億~3億5000万人規模の実質的内需市場が開かれる効果が生まれるものと語った。       統一韓国の国際的地位も高くなり、国家ブランド価値が現在世界16位から7位まで駆け上るという見通しである。 非核平和国家、グローバル・ガバナンス先導国家、域内成長牽引車、ユーラシア大陸・太平洋の中心軸、分断克服など統一韓国の多様なイメージが融合し、国家ブランド価値が大きく上昇するというのである。 これはさらに有形無形の経済的価値を生み出すことに繋がるものと予想される。