『新版 韓国・朝鮮を知る事典』-金教臣はキムギスか ― 2014/07/14
最近出た平凡社『新版 韓国・朝鮮を知る事典』(2014年3月)で、漢字の読み方がハングル読みか日本語読みか一貫していないと論じました。 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/07/10/7384586
ところで、この事典の人物名の読み方で最も理解できないのが「金教臣」です。 彼は日本の内村鑑三の影響を受けた無教会派のキリスト教指導者として有名な人です。 事典ではこの人物名を「キム・ギス」としています。 しかし金教臣はハングルで「김교신」と書き、「キム・ギョシン」と読むしかなく、「キム・ギス」とは読めるものではありません。
何かのミスだろうと思いきや、「矢内原忠雄」の項目のなかでも「金教臣 キムギス」とあり、また事典の最後にある索引でも金教臣は「キム・ギス」です。 つまりこの事典の93・123・548・679・680頁の五ヶ所でこのように記述されているのですから、ミスではありません。
事典作成に関わった人たちは当然ハングルに熟達しているはずですから、「교신」を「ギス」なんて間違えるはずもありません。 従って何かの根拠があるものと思われます。
キム・ギスは幼名か字もしくは雅名なのだろうかと色々調べてみましたが、どうも分かりません。 この読み方をした理由を提示すべきだと思うのですが、それが記述されていないのは残念です。
コメント
_ 日本国公民 ― 2014/09/08 17:38
_ 日本国公民 ― 2014/09/11 12:46
◯金九の項 「1896年、日本人による閔妃虐殺事件を憤り、日本人陸軍中尉を斬殺して投獄されたが」(94頁)この記述のみでも3つの誤りに満ちていますね。
1.動機は宿屋で女給が自分より先に食事を出したのを憤慨したから。
閔妃殺害とは何の関係もありません。
2、被害者は日本陸軍中尉ではなく、商人。
3.殺害方法は、斬殺でなく撲殺。
ついでに、この時の殺人で、被害者から金品を奪っています。つまり、義憤にかられた行為ではなく、単なる強盗殺人にすぎないわけです。
◯創氏改名の項「日本の植民地支配下の、朝鮮人から固有の姓を奪い、日本式氏を名乗る様に強いた政策」(291頁)2014年にもなってこんな実証無視の論を臆面もなく出すのには、驚きですねぇ。日本名への改正は、法的強制ではありませんでした。自発的に改正した人も入れば、そのまま民族名を維持した人もいました。例:供思翊中将
それに、固有の姓は、抹消されませんでした。(本貫と姓は戸籍に残されました) この項目の執筆者の宮田節子氏は、持論を開陳するばかりで(創氏改名は、徴兵制準備の一環など)創氏改名の歴史的経緯をほとんど書いていませんね。これは、事典で事実を簡潔に知りたいのにね。
その他、在日朝鮮人や土地調査事業、サハリン朝鮮人等の項にも首を傾げる様な記述がありますが、この事典が、改訂、新版と経ても、信頼性があまり高まっていないと思いますねぇ。
_ (未記入) ― 2014/09/12 03:37
もう一つ、日本の朝鮮史研究者の特徴として、こういった事典を執筆する際、自分のイデオロギー立場をそのまま表す研究者が多いということ。 だから客観的記述をしようとしない人がいる。
事典の監修者6人のうち、二人はその傾向が強い。 だから執筆者にも、その傾向を持つ人が多くなる。
それでも客観的記述をしようとしている実証主義者も執筆しているから、その点も考えながら事典を利用すべきだろう。
_ 日本国公民 ― 2014/09/13 10:55
_ (未記入) ― 2014/09/13 20:40
しかし、こういった人たちがこれまでの日本における朝鮮史研究をリードしてきたのだよ。
>もう、詳細は書きませんが
ここで書かなくても、どこかで書くべきだろ。
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