韓国の教育事情―留学生から聞く2014/07/18

 これまで韓国からの留学生と何人か話す機会があった。 彼らは日本に留学に来るぐらいだから、日本に対しては比較的好意的である。

 ある留学生は、結婚して子供が出来たら日本で育てたいという。 何故か?聞くと、韓国の凄まじいまでの教育環境を話してくれた。 小さいときからたくさんの学院(塾のこと)に通い、毎晩11・12時に帰宅するぐらいに勉強をさせられるのが普通だそうだ。 だから母親は朝子供に弁当を三つ持たせる。昼食・夕食そして夜食である。 これが自分だけでなく、みんながやっているという。それに比べたら日本はゆったりとしていて、子供にはこちらの方がいい、という。 毎日夜遅くまで勉強させられてきたが、日本に来てそこまで勉強せずにやってきた日本の学生と学力が変わらないことを知ったそうだ。

 また韓国では荒れた学校が急増しているという。 そのきっかけとなったのは、体罰の絶対禁止であったという。 それまで韓国の学校では、教師による体罰はごく当たり前であった。 またこれによって教師は怖いものだとして権威があった。 しかしこれがいきなり禁止されたから、教師たちは自信を失ったそうである。 例えば学校内でタバコを吸っている生徒がいたら、先生が制止して取り上げるのであるが、体罰禁止以降は生徒が反抗するようになったという。 当然揉み合いになるが、それを周囲の生徒たちがスマホで撮影して、すぐさまインターネットで流すことになる。 具体的な学校と先生の名前をつけて、こんな体罰をする暴力教師がいたという画像が世間にすぐさま流れるのである。 教師は学校内でタバコを吸っている生徒を見ても、見ぬ振りをするようになったという。

 韓国の新聞で2年ほど前だったか、ある高校で授業中に生徒十数人が校庭に抜け出て、集団でタバコを吸っている写真が掲載された。 生徒たちは外部から見えることを知っていながらタバコを堂々と吸っているのである。 そして当然教師たちはそれを知っているはずだが、誰も出て来ようとしない、という記事であった。 タバコだけでなく、生徒が何か悪さをして教師に注意されても、逆に‘殴ってみろよ’と顔を差し出して挑発するようになったから、教師は指導すらしなくなり、学校が荒れ放題になっていったのである。 これが一部の学校ではなく、韓国ではかなり広まっている現象だということを知った。 留学生の話は例外的ではないのであった。

 またある生徒に悪いことをしたからと叱ったら、それを知った親が学校にのりこんできて、教室で授業をしているその教師を他の生徒の見ている前で殴るという事件も珍しくないそうだ。 韓流ドラマではこういう場面が出てきてビックリすることがあるが、ニュースにもならないという。

 日本でも1970年代後半から80年代に校内暴力等、荒れた学校が大きな社会問題となった。 その時の教育問題が、2000年代になって韓国で再現したかのような観がある。 ただし荒れ方の中身には日韓の違いがありそうである。

 日本でも教育ではいろいろ問題が山積みしているが、それでも今は落ち着きを取り戻してきている。今の日本は韓国に比べればマシだと言えるのかも知れない。

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