韓国の反日外交の定番2015/01/22

 日本経済新聞の「早読み 深読み 朝鮮半島」は鈴置高史さんが担当するコラムで、なかなか鋭い分析をしてくれるので大いに参考になります。 最近では韓国政府の反日外交に関して、次のような発言をしておられます。

鈴置: 韓国人にとって「事実」よりも「韓国の味方になってくれる日本人」が大事なのです。だから冒頭で紹介した記事も「反アベの韓日の歌手が出演する合同コンサートをソウルと東京で開こう」と訴えたのです。       真実がどうであれ、要は反安倍のムードを日本でも盛り上げ、謝罪を引き出せばいいのですから。         日本のリベラルが「日本の悪行」を暴く。すると韓国政府がそれを外交問題化し、日本政府に対し高みに立って何かを要求する――というのが日韓関係の定番でした。「慰安婦」に限りません。「偏向教科書」も「政治家の歴史認識」もそうでした。        ことに内政問題で立ち往生した時は必ずといっていいほど、韓国政府は「日本の悪行」に飛びついて外交問題化し、国民の批判を交わそうとしました。         盧泰愚(ノ・テウ)政権(1988―1993年)が後半期に入った頃の話です。韓国政府高官からわざわざ呼び出され「何かいい反日の材料はないか」と聞かれたことがあります。           レームダックに陥り始める中、政権への批判が盛り上がってきたので「国民の目をそらす反日カードを発動することにした」というのです。

何と答えたのですか?        鈴置: 「日経新聞に反日を求められても……」と答えました。私のこの体験とどれだけ関係があるかは分かりませんが、「慰安婦」はこの後に政治問題化していきました。          いずれにせよ、日本と外交戦争をする時は日本国内で呼応する勢力を確保しておく――というのが韓国の対日工作の基本です。           朝日新聞だけではありません。謝罪関連では左派の政治家が頼りになりますし、自民党の政治家の一部も状況によっては韓国の熱心な支持者になりました。              朴槿恵(パク・クンヘ)政権も「『首脳会談はしない』とそっぽを向いて見せれば、謝罪派なり親韓派が『日本は譲歩すべきだ』と言い出し、その圧力に負けてアベは言うことを聞くだろう」と考えたのでしょう。        でも、普通の日本人は「何度でも謝罪を要求してくるしつこい韓国」に嫌気しました。日韓議連に所属する国会議員に対し、支持者から「脱退せよ」と抗議の電話がかかってくる時代になったのです。

「うるさい韓国は放っておけばいい」との思い。国民的合意に昇華したように見えます。        鈴置: いまだに「韓国の言い分も聞こう」と主張するリベラル派もいます。でも日本では、彼らの説得力は劇的に落ちました。韓国にとって「日本のリベラル頼み」は限界に達したのです。          韓国人の一部もそれに気がつき「対日新思考外交」が唱えられ始めました。2014年末から2015年初めにかけてです。        「アサヒ」にも「クワタ」にも頼らない、新しい外交スタイルの模索が韓国で始まったのです。

 韓国にはもともと反日情緒がありましたが、日韓の交流が深まるとともに消えていくだろうと思われていました。 しかし実際にはそうならずに反日はエスカレートし、冷静であらねばならない政府までもが反日に熱を上げています。 そしてついには1965年の国交正常化以降最悪の日韓関係になりました。

 この韓国の反日の震源地は、鈴置さんが 「日本のリベラルが『日本の悪行』を暴く。 すると韓国政府がそれを外交問題化し、日本政府に対し高みに立って何かを要求する――というのが日韓関係の定番」 と論じたように、日本の革新・左翼にあります。

 ならば日本の革新・左翼の諸君は何故このような行動をしたのかということですが、それは彼らの「アジア人民との連帯」思想です。これについては拙稿で3年ほど前に論じたことがあります。        http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2012/08/11/6538315

 なおこれは革新・左翼だけでなく、執権与党の自民党内にも韓国の反日に肩入れする政治家がいました。 これについて鈴置さんは「自民党の政治家の一部も状況によっては韓国の熱心な支持者になりました」と論じています。

 これは、日本は大国・強国なのだから日本の方が遠慮せねばならないという、韓国に対して高みに立つ思想が内包されているものです。そしてこの思想は自民党だけでなく、民主党や日本のマスコミにも広く見受けられるものです。これについても拙論で論じました。

中韓は子供と思って我慢-藤井裕久  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/12/27/7157809

実は韓・中を見下している「毎日新聞」社説  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/02/19/7226754

毎日新聞 「“強い国”こそが寛容に」  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/06/15/7344974

コメント

_ 大森 ― 2015/02/05 10:36

日韓関係にとって日本の革新・左翼が癌だというのには全く賛成です

彼らはかつては反韓・親北だったわけですが、1980年代以降韓国の発展と北朝鮮の不振を目の当たりにして両者との関係を調整するためにことさらに歴史を利用しました
左翼史観に基づいて日本の歴史を叩けば韓国に対しても北朝鮮に対してもいい顔を出来、さらには体制選択で優位に立った自民党政権に対しても批判的ポーズを維持できる
おかげでかつては「反韓新聞」と見做されてた朝日新聞などいつの間にか韓国で良心的メディアと認定されるようになっています
旧社会党系などの政治家のやり口もも全く同じですね

かれらは実に政治的な人達です

_ (未記入) ― 2015/02/05 19:25

>日韓関係にとって日本の革新・左翼が癌だというのには全く賛成です

 癌は革新・左翼だけでない。 ブログ記事にあるように自民党や民主党内にもいる。

 政権与党内の癌は権力を握っているだけに、万年野党の共産党よりも始末が悪い。

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