任那は歪曲??2015/04/09

 日本の博物館の展示物や、学校で使う歴史教科書に「任那」が記載されていることに対し、韓国の首相が「歪曲」だと批判したそうです。

「古代史でも日本が歪曲」韓国首相、中学校教科書の「任那(みまな)日本府」記述を批判

【ソウル=名村隆寛】日本の文化庁がホームページで朝鮮半島由来の文化財について「任那(みまな)時代」と表記したり、6日に検定合格した中学校教科書に「任那日本府」が記載されたりしているとして、任那の存在を否定する韓国で「古代史でも日本が歪曲(わいきょく)」(韓国紙)との非難が起きている。         9日には李完九(イ・ワング)首相が、「事実に基づかない歴史歪曲をしてはならない。真実を隠すことはできず、厳しい歴史の評価を受けるだろう」と批判した。         任那は日本書紀にも登場し、4~6世紀に朝鮮半島南部にあり、倭(大和朝廷)の勢力圏だったとされる。中国吉林省にある好太王(広開土王)の碑文にも倭とともに任那の存在をうかがわせる文字がある。         旧日本軍による好太王碑文の“改竄説”があり、日本では一時期、任那存在説は後退。しかし、2006年に中国社会科学院の研究者の発表により、改竄説は否定された。         このため、日本では最近任那存在説が強くなっているのだが、韓国では06年以前の日本の専門家による「根拠がない」との説などを持ち出し、否定を継続。今回はこれに首相まで乗り出した形だ。

http://www.sankei.com/world/news/150409/wor1504090037-n1.html

 千数百年前の古代史について、現職の首相が口を挟むなんて、ビックリです。

  「任那」そのものは、『日本書紀』等の日本側資料だけでなく、『三国史記』等の韓国側の史料や『宋書』等の中国側史料にもあるのですから、存在していたのは確実です。

 一方「任那日本府」については、『日本書紀』にはありますが、それだけで、それを裏付けるものがないところから、存在したかどうか積極的に言えない、とするのが正解です。 だから「任那」はあった、しかしそこに「日本府」という日本の出先機関があったかどうかは不明、とすべきものです。

 こんな問題は本来は古代史の専門家に任せるべきものであって、現在や将来の問題ではあり得ません。しかし韓国ではなぜか現職の首相が口を挟みます。そして韓国のマスコミも国民も、これに疑問を持たないというのが理解できないところです。

【拙稿参照】

高句麗広開土王碑は全世界人民のもの   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/08/22/6954699