蓮舫は国籍選択宣言をしていないのでは?2016/10/07

 私は15年前に二重国籍について論じたことがあります。 また在日韓国人から国籍について相談を受けたこともありましたので、蓮舫代表の二重国籍問題に関心があります。

 この問題について、産経新聞が蓮舫代表に対して批判的に報道していますが、ちょっと首をひねるものがあります。

http://www.sankei.com/politics/news/161006/plt1610060046-n1.html

 民進党の蓮舫代表は6日の記者会見で、日本国籍の選択を宣言した日が明記されている自らの戸籍について、「極めて私の個人的な戸籍の件に関しては、みなさまの前で話をしようとは思っていない」と述べ、内容を説明しない考えを明らかにした。‥‥日本維新の会の足立康史衆院議員が3日の衆院予算委員会で、「蓮舫氏が国籍法で定めた『国籍の選択宣言』をしていない疑惑がある」と指摘。(2016年10月6日付け)

 国籍法の該当条項は次の通りです。

第十四条     2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。

 つまり二重国籍者は国籍を選択しなければなりませんが、日本国籍を選択する場合の方法は二つあって、①外国籍の離脱をする、②国籍選択宣言です。

 蓮舫代表の場合、「私は日本国籍を取得した時点で、全ての事務作業が終わったと思っていた」と語っていますから、これが事実なら国籍選択そのものを行なっていないことになります。 つまり上記の①も②もしていないということです。

 ということは、産経新聞が「日本国籍の選択を宣言した日が明記されている自らの戸籍について」と記していますが、実は選択宣言したことがなく従って戸籍にはこの記載がないということです。従って産経新聞の記事は間違いだと言えるでしょう。

 ところで二重国籍者が国籍選択をしなかったらどうなるか。国籍法第14条では、22歳までに国籍選択をせねばならないとありますが、実はこれをしなくても支障がありません。

 国籍選択をしない二重国籍者に対し、法務大臣は国籍選択しなさいと催告し、それでも選択しなかったら日本国籍を失います。(国籍法第15条) しかし蓮舫代表にはこの催告はされていません。

 以上から蓮舫代表は、17歳の時に日本国籍を取得して二重国籍となって以来、国籍選択をせずに過ごしてきた、今回問題になったので、国籍選択の方法の一つである①外国籍の離脱を行なった、という経過になります。 

 日本の法律は二重国籍を認めていないとありますが、蓮舫代表の例でも明らかなように、二重国籍のまま過ごしても生活に支障をきたすことはない、ということです。 日本のパスポートは発給してもらえるし、日本の参政権も行使できます。 ペナルティはありません。

 もし不都合が生じるとしたら、日本の外交官になれないこととか、外国でゲリラの人質になった時にどちらの国が救出するかで揉めることとか、或いは両国が戦争になった時に立場を問われることぐらいでしょうか。

 日本は建前上二重国籍を認めていませんが、実際には容認していると言っていいでしょう。

【拙稿参照】

蓮舫の二重国籍疑惑  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/09/09/8176022

蓮舫の過去の「国籍発言」 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/09/16/8190975