朴大統領は退陣・弾劾できるのか?2016/12/02

 この間の韓国の事態は、われわれ日本人には所詮対岸の火事で、テレビのバライエティ番組に取り上げられているレベルのものです。

 四年ほど前までの韓流ブーム全盛時代では、韓国ドラマやK‐POPにはまった女性たちが韓国を理想化するような発言をしていたのをよく聞いたものでした。 今度の事態で、今ただでさえ減っている韓流ファンが、さらに減っていくものと思います。

 ところで朴大統領に対して、野党は弾劾を主張し、与党は四月の退陣を主張しているようです。

 野党は当初早期退陣を要求して、時間のかかる弾劾に否定的だったのですが、今ようやく弾劾でまとまってきているようです。 弾劾は憲法に定められているので、あとは憲法に沿った手続きをすればいいだけです。

 問題は、議会の三分の二の賛成を得られるかどうかと、憲法裁判所の弾劾審判が下りるかどうかです。 弾劾は大統領が法に違背した場合のみで、国民の支持がないのは理由になりません。 大統領がどの法にどのように違背したか、野党はそれを立証する必要があるのですが、果たして出来るのでしょうかねえ。 今の状況では違法行為を立証するのにかなり時間がかかるように思えるのですが‥。

 与党は、四月に退陣して六月に大統領選挙の主張でまとまったそうです。 しかし韓国の憲法を読めば、大統領の任期途中の辞任が可能なのか、疑問です。 憲法の当該条項は次の通りです。

第68条 ② 大統領が欠位となったとき又は大統領当選者が死亡し、若しくは判決その他の事由により、その資格を喪失したときは、60日以内に後任者を選挙する。

 このように憲法は任期途中の辞任の場合を定めていませんので、その方法・手続きもありません。 無理やり言えば「その他の事由」でしょうか。 今度の場合でしたら与党は、大統領が「今は辞めないが、四月に辞めます」と宣言することを想定しているようです。

 しかしこれで「資格喪失」になるのでしょうか。 またその時なって「やはり四月に辞めることは出来ません」となったら、どうなるのでしょうか。 方法・手続きの定めがありませんから、これも考えられることです。 定めのないことを敢えてしようとすると、かえって混乱するように思えるのですが‥。

 他国のことはいろいろ考えても仕方ありませんねえ。 冒頭に書いたように所詮対岸の火事ですから。