創氏改名の誤解―「世界史の窓」2017/03/26

 創氏改名については、それまで 「朝鮮人から固有姓を奪い日本式の名前に強制的に変えさせた。これを拒否しようとしたものは非国民とされ、様々嫌がらせを受け、結局は日本名に変えた」 というような誤解・間違いを指摘すべく、16年前に「創氏改名とは何か」を拙HPで発表しました。 http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daijuunidai

 これがきっかけになったかどうか分かりません(そうであれば嬉しいです)が、創氏改名について誤解はかなり減ってきたように思えます。 それでも間違い・誤解はまだまだ残っています。

 創氏改名について解説した「世界史の窓」というHPがありました。 http://www.y-history.net/appendix/wh1505-067.html 高校の授業用のテキストに使うそうですが、間違い・誤解があるのは困ったものです。 明確な間違いから指摘していきたいと思います。

その内容は(1)2月11日から6ヶ月以内に氏を設定し届け出ることを義務とする‥‥つまり、氏の設定は義務であり届け出なければならず、改名は任意で許可を受ける、というものであった。

 ここでは創氏の届け出が義務だと書かれていますが、正解は、氏の設定を届け出るかどうかは任意であって義務ではなかった、です。  届け出すれば「設定創氏」、届け出しなければ「法定創氏」で、どちらも有効です。

朝鮮では個人(男性だけだが)は宗族の原簿である「族譜」に記載されるが、「戸籍」は無かったので、創氏と同時に戸籍制度が導入されたのだった。

 これにはビックリ仰天。 創氏改名は日韓併合から30年経った1940年に施行されますが、それまで「戸籍」がなかったとは‥‥!?。 正解は、日韓併合前の大韓帝国時代に「隆熙戸籍」が編成され、日韓併合後は朝鮮総督府がこれを引き継いだ「民籍法」、さらに1923年に日本の戸籍法に準じて「朝鮮戸籍令」が公布された、です。 「創氏と同時に戸籍制度が導入された」とは、本当にビックリです。

創氏改名と並行して、朝鮮では徴兵制が施行された

 これにもビックリ仰天。 創氏改名の施行は1940年、朝鮮での徴兵制の施行は1944年です。 並行していません。

【拙論参照】

創氏改名とは何か (00年4月1日) http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daijuunidai

創氏改名の残滓 (01年6月1日) http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daisanjuudai

創氏改名の手続き (04年10月1日) http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/dainanajuudai

コメント

_ (未記入) ― 2023/11/25 18:43

例えば、創氏の李と本貫姓の李は意味合いが異なる。
前者は日本式の命名規則に則っていて後者は朝鮮式の命名規則に則ってる。死亡者名簿に李某と書いてあったからと言って朝鮮式か日本式かの判断を直ちにできるとは限らないことに留意するべきである。それは、朝鮮戸籍を見ないとわこらないはず。

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