雑感-GSOMIA問題と『反日 種族主義』2019/12/11

 先月は、①GSOMIA問題と、②『反日 種族主義』日本語版の発刊で、日韓関係のニュースが賑やかでしたね。

 ① GSOMIA問題は多くの人が関心を寄せていて、それなりに的確な解説・論稿も多かったですから、私としては見守るしかなかったところです。 感想としては、韓国側が混乱した様相を呈し、日本側は比較的余裕を持っていたという感じですねえ。

 ところで韓国は日本や米国を相手にする時の発言と、そこから離れて国内向けにする発言とが違うことがよくあります。 だから日米から聞いた話を、自分の都合で勝手に解釈したりします。 例えば今度のGSOMIA問題では、破棄はアメリカが了解したとか、破棄を止めたのは日本が謝罪したからとか‥。 これは自国民に対して、わが国は相手方を動かしているのだ、主導権は我にありと格好よく見せようとしたのでしょう。

 しかしアメリカからも日本からも、そんなことは言っていないとすぐさま反論されました。 これが周囲から、韓国は嘘つきだという印象につながっているようです。 これからこの問題がどう展開するか分かりませんが、当分は日韓関係の修復は難しいでしょうね。

 ② 11月半ばに発売が開始された日本語版の『反日 種族主義』(文芸春秋)。 かなり売れているようで、たちまちベストセラーに上がっています。 私は原本の韓国版の方を購入し、読んでみました。 特に新しい事実は出て来ず、日本の嫌韓論調そのものという感じでした。 嫌韓論者でお馴染みの西岡さんは「名著」と評価していましたが、いくらなんでも言い過ぎですねえ。 韓国で出版したという勇気は尊敬に値しますが、内容はいかがなものでしょうか。

 またこの本は韓国進歩派に対する敵意に満ちていると解説する人がいましたが、これは確かにそう思われます。 おそらく著者たちは、これまで彼らから人格攻撃的な批判を受けてきたのではないかと想像しました。 

 韓国では7月に発売されて、11万部ほどが売れたといいます。 しかし今はもう、その勢いがありません。 だから韓国では一段落したと言えますが、進歩派から著者への激しいバッシングは続きそうです。

 なお反日という点では、韓国では進歩も保守も違いは大きくないことに注意が必要です。 ですからこれからは保守派からのバッシングも起きるのではないでしょうか。 たとえそれが起きなくても、保守派が著者たちを擁護しないのは確実です。 著者たちは韓国で孤立無援となり、日本の嫌韓派からの熱烈な支持だけが残ると予想します。

 ところでこの本は学術書ではなく一般向けに書かれているので、読みやすいですね。 しかしごくわずかですが意味がとれず、韓日辞書にも載っていない単語がありました。

 昔はこういう言葉が出てくると、気になって気になって調べたものですが、このごろは根性がなくなってきたのか、前後から意味が分かればそれでいい、という風になってきました。 それよりも本を読むのが段々と億劫になってきています。 これも人生の一過程で生じた変化=退行でしょうねえ。 最後は私事で終わります。