李容洙さんのインタビュー―中央日報(2)2020/05/23

http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/05/22/9249249 の続きです。

--なぜ今になって問題を提起したのか。

「被害者が願っていないことはするべきではないのではないか。 私の考えでは歴史観を広げて教育観を作り、正しく教えることが重要だ。 一言で言っても、正しく教えることが重要だ。(水曜集会に)出たところで学べることは一つもない。 謝罪しなさい、賠償しなさいというが、何のためにするのか知っていて言っていることだろうか」

--前回の記者会見で水曜集会をやめるべきだと主張したが。

「学生たちは寒い日も暑い日もやって来て座っていて、貯金箱をはたいて持ってきたお金を疑いもなく受け取っていた。 私はその学生が本当に残念に思った。お金を受け取るのであれば、それに追加してお昼ご飯でも食べさせて帰らせるべきだ。 おばあさんをかわいそうに思って来る学生たちに正しい歴史勉強を教えるべきなのに、(挺対協は)自分たちの運営で忙しい。 そろそろ学生たちが正しい歴史を学ばなければならないということだ。大韓民国の学生たちが大韓民国の主人だ。 日本の学生たちと交流してみてこそ何が正しいのか、誤りなのかを知るようになるだろうと考える。 1993年度から(挺対協)証言集が出ているが6500ウォンで売って収入をあげている。 (その時は)証言集が何かも知らなかった」

--水曜集会には本当に行かないのか。

「今はもうとても気力がない。 行ったところで私しかいない。 被害者がいないデモ(集会)をなぜするのか。 被害者がいるから学生たちが来るのに、私はその学生をこれ以上苦労させたくない。 ないお金を受け取って使うのが嫌だ」

--慰安婦被害者を「性奴隷」と表現することをどう思うか。

「慰安婦という名称は変えてはいけない。 性奴隷というが、とても汚くて嫌で仕方ない。 尹美香に話した。 だが『こう表現してこそ米国が怖がる』と(言っていた)。 だから私が『その言葉はやめなさい』『とても恥ずかしい』『私はなぜ性奴隷なのか』(と言った)」(※正義連の正式名称に「日本軍性奴隷問題解決のための」という表現が入っている。)

--記者会見の背景をめぐって外部が介入したのではないかという疑惑も出ている。

「1年間、一人で悩んで決めたことだ。    崔容相(チェ・ヨンサン)(行こう!平和人権党代表)には記者を紹介してほしいと言っただけで、それ以外は何もない。(※尹氏と共に市民党は崔代表が比例代表公薦から落ちたことに不満を抱いて李さんが記者会見を開くように仕向けたと主張した。)チェ・ポンテ(弁護士)は(7日)記者会見以降は会ってもない。 その人がメディアのインタビューで、私が政府の無責任な態度のせいで記者会見を開いたというが、それもその人の意見にすぎない(※2011年憲法裁判所が日本軍慰安婦問題解決のために政府が努力しない不作為状況は違憲だと決めたが、当時訴訟を提起した当事者が李さんら慰安婦被害者で、チェ・ポンテ弁護士は訴訟代理人として参加した。チェ弁護士は李さんの記者会見の後、メディアのインタビュー等を通して『李さんが慰安婦請求権に無関心な政府に怒った』などの意見を出した。)」

--今の率直な心境は。

「私は長生きしすぎたのではないかと、そういう気がしながらも、金学順(キム・ハクスン、※91年に慰安婦被害事実を最初に公開証言した被害女性。97年に亡くなった)が始めたが、李容洙が終えなければなければならないと決心すると心が軽くなった」

--金学順さんが始めたことを李さんが終えるということはどういう意味なのか。

「運動を終わらせようというのではない。 安倍(晋三)首相の悪行を見ても日本に免罪符を与えることはできない。 安倍首相はいつも嘘をつく。独島(ドクト)はまたなぜ竹島(日本が独島領有権ごり押し主張をして付けた名称)と言うのか。 ただし運動する方法を変えなければならないということだ。 それでこそ私たち次世代が日本に対して堂々と声を出すことができる。 またそのようにしてこそ先に空に昇ったおばあさんに堂々と『私のやるべきことは終えた』と話せる」

--正義連や尹美香氏と会って誤解を解くつもりはないか。

「和解はしない。 和解はできない。 挺対協(正義連)は直して使えるものではない。解体するべきだ」

 以上で終わりです。 尹や正義連と和解しないのかという質問対しても「和解はしない。和解はできない。挺対協(正義連)は直して使えるものではない。解体するべきだ」と、これまた激しい批判です。 

 この13日のインタビューは当月の7日の記者会見と同じく、イ・ヨンスさん実際の声であり、また内容が一貫しています。 従って彼女の本当の気持ちが出たものと考えます。 しかしその間の12日に書かれたとされる「立場文」はその内容が余りにもかけ離れており、これを彼女の主張とすることは誤りと言っていいでしょう。 (「立場文」は拙ブログ http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/05/16/9247192 参照ください)

 彼女の本当の気持ちというのは、“支援団体は多額の寄付金を集めながら、その金を当事者である自分たちに回さずに勝手に使っている、私利私欲に走ったその団体代表が国会議員になるなんてトンデモナイことだ、そんな団体は潰してしまえ!” というところですね。 支援者が当事者をダシにして金儲けをし、さらには議員という地位まで手に入れたことへの怒りです。

 ところで彼女は日本に対して「安倍(晋三)首相の悪行を見ても日本に免罪符を与えることはできない。 安倍首相はいつも嘘をつく。 独島(ドクト)はまたなぜ竹島(日本が独島領有権ごり押し主張をして付けた名称)と言うのか。 ただし運動する方法を変えなければならないということだ。 それでこそ私たち次世代が日本に対して堂々と声を出すことができる」と主張しています。 

 つまり反日運動のためには挺対協・正義連や尹美香ではダメだという主張なのです。 この発想は韓国政府やマスコミなどが掲げる「道徳的優位性」と共通するものです。 わが国が日本を批判するには日本より道徳的に優位であらねばならない、そのためにはこれまでのような運動ではダメ、ということです。

 以上をまとめると、今回の騒動は反日運動を進める過程で、内部の利害対立が表面化したと見るべきものです。 私は「お金をめぐる内ゲバ事件」と評価するところです。

 彼女は変わらずに反日を続けるでしょう。 日本で慰安婦問題に取り組んできた人たちは彼女の変わらない反日言動を取り上げて、安倍政権批判でみんな団結しましょうと呼び掛けるものと予想します。

【拙稿参照】

李容洙さんのインタビュー―中央日報(1) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/05/22/9249249

やはり「立場文」は自筆でなかった―朝鮮日報 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/05/20/9248600

イ・ヨンス「立場文」を解説するハンギョレ新聞 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/05/19/9248282

李容洙さんのフェースブック   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/05/16/9247192

尹美香さんのフェースブック(1) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/05/12/9245806

尹美香さんのフェースブック(2) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/05/15/9246824