文在寅政権は反日ではない2021/01/19

 昨日(1月18日)に、文在寅大統領が新年記者会見を行ないました。 日本に関しては、日本の毎日新聞記者の質問に対して以下の通りの発言をしました。

韓日間には解決すべき懸案があります。まず、輸出規制の問題があり、強制徴用判決の問題があります。その問題を外交的に解決するために、両国が様々な次元で対話をしています。そのような努力の中、また慰安婦判決の問題が加わって、正直に言って、ちょっと困惑しているのが事実です。

しかし、私がいつも強調して申し上げたいのは、過去の歴史は過去であり、韓日は未来志向的に発展していかなければならないと考えています。私は過去の問題も事案ごとに分離して、お互いの解決策を見つける必要があると思います。すべての問題を互いに連携させて、ある問題が解決されるまで、例えば他の分野での協力を止めるとか、そのような態度は、決して賢明でない方法だと思います。

最近あった慰安婦判決の場合、2015年度に、両国政府間で慰安婦問題に対する合意がありました。韓国政府は、その合意が両国政府間の公式の合意だったという事実を認めています。そんな土台の上で、今回の判決を受けた被害者たちも同意することができるような解決策を見つけていくことができるよう、韓日間の協議をしていきます。

強制徴用問題も同様です。そのような部分が、強制執行という方法で、それが現金化されるとか、判決が実現される方法は、韓日両国間の関係において、好ましいとは思いません。そのような段階になる前に、両国間の外交的な解決策を見つけることが優先ですが、ただ、その外交的解決策は、原告たちが同意する必要があります。原告が同意することができる方法を両国政府が協議して、また韓国政府がその案を持って原告を最大限に説得する、そのような方法で問題を着々と解決していくことができるだろうと、私は考えています.

 このうち、「慰安婦判決の問題が加わって、正直に言って、ちょっと困惑しているのが事実」 「韓国政府はその(2015年の慰安婦)合意が両国政府間の公式の合意だったという事実を認めています」 「強制徴用問題が、強制執行という方法で、それが現金化されるとか、判決が実現される方法は、韓日両国間の関係において、好ましいとは思いません」 という発言を聞くと、文大統領は日本に対して少しは理解を示し歩み寄ろうとしているように感じられ、反日とは程遠いイメージを持ちます。

 従って文大統領がゴリゴリの反日主義者でないことは確かですが、といって親日でもあり得ません。 だったら何かと言えば、日本を軽視して日本に対して一貫した考えや方針がないということです。 

 反日であっても一貫していたら、何を考えているのかが明確ですので、それなりの対処が可能です。  しかし厳しい反日言動をしてきたかと思うと、今度は日本側にすり寄るようなことを言い出してきていますので、それこそ「何を考えているのか分からない」のです。 このように一貫性がないのですから、今回でももはや解決済みで協議する必要がなくなっている問題で「韓日間の協議をしていきます」「両国政府が協議して」と平気で言ったものと考えられます。

 なぜこのような重みのない発言になるのかと言えば、文政権にとって日本は重要な国ではなく、関心外と言ってもいいくらいの存在だからです。 ですから韓国は、日本政府の考えや日本国民の感情などの情報を収集し分析することを疎かにしてきたのです。

 文政権が日本に対して、例えば天皇訪韓を言い出すとか、素っ頓狂としか言いようのない対応をしてきたのは、日本なんか大したことがないのだからどうにでもなる、と常日頃から考えているからだと言えます。 要するに日本について深く考えず、従って言葉を選ぶこともなく、軽いノリで喋ってきたと言えるでしょう。

 文政権は「反日政権」だと言う人が多いようですが、「反日」ならば日本への関心はそれだけ強いことになります。 しかし実際はそんな関心すら持っていないということです。 今回の記者会見での発言も、その延長線上にあると考えます。

 このように文政権が日本を軽視することは、当初より継続してきたものです。 3年前に、私は拙ブログで当時の文政権の対日姿勢を次のように評しました。 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/02/17/8789342

日本では嫌韓雑誌等で、韓国はどれほど反日であるかを繰り返し論じられていますが、実は韓国は日本をそれほど気に掛ける存在とは考えていないことを示しています。 逆に安倍さんなどは韓国を「重要なパートナー」とか「日米韓の強固な連携」とか言ってラブコールを送っていますが、韓国側は日本について優先順位を高くせねばならない国ではないのです。

従って韓国政府は対日外交の明確な方針を打ち出すこともなく、国内の反日意見が強くなればそちらになびき、日本が弱気と見ればつけ込み、日本が強気になればそれに合わせ、国際的圧力を受ければ関係改善に乗り出す‥‥と、一貫性のない外交を展開するものと、私は予想しています。 反日一辺倒にすらならないでしょう。

 3年前の分析ですが、「反日一辺倒すらならない」という私の予想は的中していますね。

【文在寅政権発足以降の拙稿】

韓国では日本の存在感はない   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/02/17/8789342

韓国が天皇訪韓を望む!?-朝日インタビュー http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/09/23/8681910

慰安婦合意の検証 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2017/12/31/8758841

【朴槿恵政権時代の拙稿】

韓国の反日外交の定番      http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/01/22/7546410

慰安婦問題の日韓合意は混乱を呼ぶか http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2016/01/02/7968787

慰安婦問題―韓国政府には当事者能力がない http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/03/09/7586932

やはり韓国政府には当事者能力がない―慰安婦問題 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2015/11/13/7906094

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