ラムザイヤーの部落論(3)―解同の不祥事はいっぱい2022/01/05

さらに悪いことに多額のお金は、「ヤクザ」と通称される犯罪組織を引き付けた。 犯罪組織に属する部落民は、部落民による市民団体を標榜する部落解放同盟(BLL)で主要な役職に就いた。 そこで、彼らは政策を主導し、行政当局を脅迫し、同和事業に反対する者の口を封じ、そして同和事業を彼らの私的財産に流用した。

 ここに書かれていることは、1970年~2000年代初めまでの30数年間の解放運動の実際の姿です。 つまり「同和問題の解決は国民みんなの課題」とか訴えていた解放運動の裏側では、このような実態がありました。 

 「犯罪組織に属する部落民は、部落民による市民団体を標榜する部落解放同盟(BLL)で主要な役職に就いた」とあるのは、今では信じられない人がいるかも知れません。 何しろ解放同盟は「人権団体」を自称し、また国や自治体からも認められてきたのですから。

 解同幹部に暴力団関係者が多く就任していました。 一番有名な人物は、解放同盟大阪府連飛鳥支部長の小西邦彦ですね。 暗殺された四代目山口組組長の愛人宅マンションの名義人として知られています。 このマンションが暗殺の舞台だったのです。 また飛鳥支部の建物は、山口組と中野会の抗争時に銃弾が撃ち込まれました。 小西は「飛鳥会事件」で逮捕され、控訴審中に死亡しました。 事件名を検索すれば出てくると思います。

 ところで1990年代に、解同幹部のうちの誰がヤクザなのか、その名簿が回っていたことを記憶しています。 かなりの数でしたね。

 ヤクザの悪事は当然のことながら、かなりなものです。 ところが、そのヤクザにもなれなかったようなチンピラというか、どうしようもない人物も解同幹部にいました。 典型例が解放同盟奈良県連古市支部長の中川昌史です。 「ポルシェ中川事件」で検索すれば出てくると思います。 ヤクザにもなれなかった悪人がどのような悪事を働いたか、上記の小西と比べると、よく分かりますよ。

 ラムザイヤー論文では解同の不祥事として、上記の「飛鳥会事件」や「ポルシェ中川事件」以外に、浅田満の「ハンナン事件」、入札不正で摘発された「大阪府同和建設協会談合事件」、134億円の公金が闇に消えた「芦原病院」事件、丸尾勇の「八尾市入札妨害恐喝事件」、覚せい剤等で逮捕者が続出した「京都市環境局不祥事事件」を挙げています。 論文では事件の概要を簡単に触れているだけですが、関心のある方はそれぞれの事件名を検索すれば、もっと詳しく分かると思います。

 なおハンナン事件で逮捕された浅田満は、保釈金20億円でした。 これは今なお破られていない史上最高額の保釈金です。 これも検索してみれば分かると思います。 浅田はこのことでも超有名人ですね。 ちなみに日産のカルロス・ゴーンの保釈金は15億円でしたから、浅田の20億がどれほどのものであるか、想像できるでしょう。 

 入札妨害恐喝事件で逮捕された丸尾勇は大阪の八尾市を中心とする工事に介入して、土建会社から多額の上納金を納めさせていました。 私の知り合いは大手ゼネコンの営業をやっていて、この八尾で21億円の工事を請け負いました。 そしてこの丸尾に6千5百万円を地域協力金として支払ったのです。 この時ばかりは問題になって新聞に報道されました。 知り合いに聞くと、八尾ではそれがルールのようになっていて、それに従って丸尾にお金を払っただけ、もし払わなかったら酷い目にあう、だからこちらは何も悪いことをしたとは思っていない、と言っていましたねえ。 

 解同の不祥事はそれ以外に、マスコミ報道されたもので私の記憶しているところでは、26億円が闇に消えた高知の「モード・アバンセ事件」、土地転売で17億円を不正に儲けた「北九州土地転がし事件」があります。 これも検索すれば出てくると思います。

 以上の解同不祥事はマスコミに報道されたことのある代表例で、その他にも報道されなかったような事件は、各地で多数起きていました。 調べればいっぱい出てきますから、関心ある方はお調べください。

【拙稿参照】

ラムザイヤー教授の部落論(1)―同和対策事業 http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/12/26/9450880

ラムザイヤー教授の部落論(2)―同和事業の裏では http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/12/31/9452108

飛鳥会事件―「心から謝罪」は本当か? http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2007/02/24/1206080

これが「真摯に反省」?       http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2006/05/27/382079

闇に消えた公金―芦原病院・同和行政   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2006/04/29/346418

【ラムザイヤー教授論文】

https://jigensha.info/2021/10/16/ramseyer2018-1/

https://jigensha.info/2021/10/23/ramseyer2018-2/

https://jigensha.info/2021/10/30/ramseyer2018-3/

https://jigensha.info/2021/11/06/ramseyer2018-4/

コメント

_ 海苔訓六 ― 2023/01/04 10:16

今は便利な時代で『地方議会議事録横断検索』というデータベースがあったので"中川昌史"で検索してみました

https://chiholog.net/chiholog/search.html?start_date=&end_date=&lg_code=&meeting_name=&meeting_text=%22%E4%B8%AD%E5%B7%9D%E6%98%8C%E5%8F%B2%22&submit=%E6%A4%9C%E7%B4%A2
奈良市の議会でしか話題になってないのか?と予想していましたが、あにはからんや
埼玉県美里町、兵庫県たつの市、大阪府八尾市で議題として取り上げられていましたね。
これらの地方都市(埼玉県、兵庫県、大阪府)でも似たようなことをやっている悪人がいるということは想像がつきましたし、黙認するのではなくて何とかしようと頑張っておられる地方議員の先生が議題に挙げて問題提起していることも伝わってきました。
議員なんて偉そうに上から言うしか能がないなんて思っている世間の人も多いかもしれませんが、こうやって頑張っておられる先生もいるのだということを知ってもらいたいです。

_ 海苔訓六 ― 2023/01/04 19:46

奈良県に限らず関西圏は清掃関連の利権があるのか?『地方議会議事録横断検索』で広島県福山市の"備掃社"と検索すると塩村という男が暴行脅迫した事件が出てきますね。
https://chiholog.net/chiholog/search.html?start_date=&end_date=&lg_code=&meeting_name=&meeting_text=%22%E5%82%99%E6%8E%83%E7%A4%BE%22&submit=%E6%A4%9C%E7%B4%A2
嘘か本当か知りませんが議員をしている塩村文夏さんはこのときに暴行脅迫事件起こした塩村の娘だとかいわれてますね。

_ 海苔訓六 ― 2023/01/06 21:40

秋篠宮さんが自宅を作る際にアラブの王族など海外の要人接待にも使うので30億円かけたことが週刊紙で叩かれました。
ところで示現舎の『部落ってどこ? 部落民ってだれ?』を読んだら、被差別部落問題の解消のために使われた税金は表に出た数字で分かっているだけで15兆円くらいであると書いてありました。
それだけの税金使って被差別部落問題が解消したのか?といえば全然そんなこと無くて今回の記事でも言及されているように、ケシカラン人間が私腹を肥やすのに悪用されています。
そういうことを考えると秋篠宮さんの要人接待に自宅を30億円かけるのは15兆円もかけてないし、私腹を肥やしているわけでも無いから悪くないように思えました。

_ 辻本 ― 2023/01/07 03:48

>被差別部落問題の解消のために使われた税金は表に出た数字で分かっているだけで15兆円くらい

 15兆円は同和対策事業として33年間に渡って支出された金額です。 下記をご参考ください。  
https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2021/12/31/9452108

_ 辻本 ― 2023/01/07 04:40

>それだけの税金使って被差別部落問題が解消したのか?といえば全然そんなこと無く

 そう考えるのではなく、もう問題が解決したのに、さらに税金を投入したと考えるのが正しいでしょう。

_ 海苔訓六 ― 2023/01/09 16:31

33年間で15兆円ということは一年間で4500億円ですか。
秋篠宮さんが海外要人接待でつくった自宅が30億円と考えても凄い金額だと思います。
似たような金額だと一九九三年に合意した関税貿易一般協定(ガット)のウルグアイ・ラウンドが想起されますね。

保護するべき分野と位置付けたコメの部分的な
開放や農産品の関税引き下げ。

事業費は八年間で六兆円。一年間で少なくても七千億円。
これも農業とは関係ない温泉施設やギャラリーの建設など公共事業 に使われ、農業強化にはつながらなかったという批判があるみたいですね。

_ 海苔訓六 ― 2023/02/03 15:45

被差別部落問題に関して『もう問題が解決していたのに、さらにそこにお金を投入し続けた』という認識に関連して、どの時点で解決したのか?と思いましたが、
同和対策事業が行われて10年目の1979年に曹洞宗の町田さんが『日本には被差別部落問題はすでになくなった』と発言して部落解放同盟から糾弾された事件が起きたらしいので、解決したのはだいたい1979年くらいかな?と見当つけました。
ここでやめておけばポルシェ中川事件も森山栄治の事件も防げたかもしれないと思いました。

_ 辻本 ― 2023/02/03 18:34

同和対策事業は当初10年間だけの特別事業だったのですが、解放運動からの「まだ差別は残っている」という圧力のために1979年に終わらせることができず延長を重ね、2022年にようやく終了したものです。
1979年に特別事業を終わらせて、もうこれで特別扱いはしないとして、一般事業にしておけばよかったと思います。
そういう意味で、1979年に解決したはずなのに、まだ解決していないという主張が通ってしまったと言えるでしょう。

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