これは民族名と言えるのだろうか(1)2022/11/10

 ここ何年間か、ヘイトの被害者として「崔江以子」さんという在日女性の名前がマスコミにしょっちゅう出てきます。 彼女は自らを「チェ・カンイジャ」と名乗っています。 ここで違和感を抱きます。 余りに日本風の名前である「江以子」をハングル読みすれば確かに「カンイジャ」ですが、こんな名前を「民族名」と言えるのだろうかという疑問です。

 同じような例として、去る8月の毎日新聞に、在日の男性で「金竜太郎(キム・ヨンテラン)」という方が出てきました。 https://mainichi.jp/articles/20220812/k00/00m/040/004000c   「竜太郎」というこれもまた余りにも日本風の名前をハングル読みした「ヨンテラン」は、はたして民族名と言えるのであろうかということです。

 そういえば1970年代に在日の「本名を呼び名乗る」運動が起きた時、ある学校の先生から、本名が「一二三」という在日の子がいるが、これをハングル読みした「イリサム」と呼んでいいのか、韓国ではあり得ない名前だと言われているのだが‥‥という提起がありました。

 また1990年代になって従軍慰安婦問題が大きく取り上げられ始めた時期に、この問題に取り組む活動家の「金伊佐子」さんは自分の名前を「キム・イサジャ」と名乗っていました。 「伊佐子」という三文字の名前自体が日本風なので民族名といえるのか疑問なのですが、これを「イサジャ」と一見ハングル読みしているかのように言っていることにビックリしました。 実は「佐」はハングルでは「좌(チョア)」と読むのであって、「サ」とは読みません。 つまり「イサジャ」は日本語とハングルのチャンポン読みなのです。 こうなると、民族名とするには更に違和感が強くなります。

 下の名が漢字三文字で「江以子」「竜太郎」「一二三」「伊佐子」のような日本風の名前は韓国・朝鮮の民族文化に馴染まないと思うのに、それを更にハングル風に読むことに何の意味があるのだろうかと思った次第です。 本人に聞くしかありませんが、自分の民族的アイデンティティということであれば、大いなる疑問を感じます。

 在日は日本で生まれ育っていますから民族文化を知らず、名前が日本風になる場合が出てくるのはやむを得ないでしょう。 しかしそんな日本風の名前を敢えてむやみにハングル読みをするのは、民族文化への冒涜のような気がするのですが、いかがなものでしょうか。 (続く)