『労働新聞』の論説―朝鮮戦争70周年(4) ― 2023/08/08
http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/08/04/9607167 の続きです。
あまりに無内容なので、訳していきながら嫌になりますねえ。 読む皆様も食傷気味でしょう。 それでも北朝鮮を担当する公安・情報担当者たちはこれを丹念に読んで、北朝鮮のちょっとした変化を読み取ろうとしているというのですから、大変だろうなあと同情します。
ところで関西大学の李英和教授は1990年代に北朝鮮に留学し、北朝鮮の実情を目の当たりにして反北朝鮮へと立場を変えました。 そのために彼は朝鮮総連からかなり激しい批判を浴び、彼の身辺が危なくなった時期があります。 そこで日本の警察は李教授を常時警護したのですから、彼は警察官と顔馴染みとなります。 ある時その警察官が、北朝鮮担当の人から北朝鮮の文献でどういう意味か分からない言葉がある、李先生に聞いてみてくれと言われたといって、その文献を見せてもらったことがあるという話を聞きました。
今度の『労働新聞』論説でも、意味不明で辞書にも載っていない言葉が出てきますねえ。 私にはそれを説明してくれる知人がいなくなりましたので、そういう場合は〇〇としました。 なお分からない言葉があっても、前後から意味を解することができる場合、そのまま意訳しました。
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我が祖国と民族の運命開拓と人類の歴史発展に大きな貢献をした偉大な戦勝7・27は真理を刻んで、その生命力は永遠である、この真理を命のように心に刻み、その求めるままに闘争すれば、私たちはいつでも百戦百勝し、偉大な戦勝国、英雄朝鮮、英雄人民の名声と栄誉を後代にまで輝かさせることができる。我が党と人民が、毎年7・27を盛大に記念するのは、単に輝かしい過去を自分で祝っているのではなく、万金をもって買うことのできない心理をまた骨に刻み、より大きな勝利を抱くためである。
7・27が教えてくれる真理は、まず一番目に我が首領を絶対に信じて、その領導に忠実な人民はどんな強敵も退ける必勝不敗であるということだ。
首領の賢明な領導は、戦争勝利の決定的要因である。足のつま先まで武装した帝国主義反動勢力と闘わねばならない革命戦争で勝利しようとするならば、偉大な首領の領導を受けねばならない。首領の卓越した領導は、偉大な革命思想と信念、百勝の戦略戦術で武装した人民と軍隊を育てて、敵対勢力の数的、技術的優勢も打破する奇跡を生む。
あの祖国解放戦争のときに敵たちは、最新武装装備を持ち、物質的経済的潜在力も莫大だった。我が人民と軍隊はたとえ武器は劣勢であっても、強い自信があった。それは民族の伝説的英雄であり百戦百勝の鋼鉄の霊将であられる偉大な金日成将軍様が私たちを率いられる固い根性をもっておられるからだ。戦争の3年間はこの絶対的信念が科学であることを明らかに示した。
偉大な首領様におかれては、戦争の段階ごとに提示された独創的であり科学的な戦略戦術方針と戦法は、我こそは一番というブルジョア軍事家や戦略家たちが考案した多くの《軍事的攻勢》を水泡に帰させた。偉大な首領の崇高な愛と信頼は、未熟だった我が人民軍隊が必勝不敗の強力な軍隊として威容をとどろかせて、平凡な人民だけでなく若い青年達まで、郷土保衛で敵たちを戦慄させる無比の英雄性を発揮できるようになった源泉であった。
単に勇猛な気質というだけでなく、未来に対する信念でやり遂げるのが革命戦争だ。砲煙で浸かった我が祖国の土地では、戦後復旧建設のための計画図作成、科学院と工場大学創立、前線で大学生や体育選手の召喚、大果樹基地の創設と山林保護と関連した最高司令官の命令発表のような驚異的な事変が続けざまに起きた。偉大な首領様の革命的楽観主義と揺るがない度胸は勝利のレールを確信し、一つしかない祖国のために血まみれの胸で○○を防ぎ、手足が砕けたら顎で○○を押す不死鳥たち、敵たちの爆撃と砲撃の火の海の中でも戦争前より多くの穀物収穫をする農民たちの大部隊を生んだ。
〇〇は意味不明で訳せなかったところです。 前者は「적화점」、後者は「중기압철」です。 韓国の国語辞書には「북한어(北朝鮮語)」が採録されているのですが、「적화점」も「중기압철」も採録されていませんでした。 漢字語ならばそれぞれ「赤化点」「重機圧鉄」となるかも知れませんが、それでも意味が分かりません。
なお前者の「적화점」を検索すると、「적화점을 막은 첫 병사 공화국영웅 장태화(〇〇を防いだ最初の兵士の共和国英雄チャン・テファ)」という北朝鮮の動画があります。
事実、祖国解放戦争は二つの戦争、即ち正面で飛びかかってくる侵略者たちとの対決戦とともに、内部から悪辣に蠢動する反党反革命分子たちとの闘争を同時にせねばならない大変苦しい闘いであった。歴史には秘密のない戦争を行なわねばならない極難のなかでも強靭で豪胆な度胸と並外れて優れた知略でいつも主導権を引っ掴み、強大な帝国主義連合勢力に打ち勝った偉大な首領様のような伝説的な霊将はいない。
偉大な首領様だけを信じて従っていけば、生きる道も開け、首領様のお教えのままにさえすれば、打ち勝てない大敵も克服できない難関もない。これが我が人民が鉄火の中をくぐり抜けて体得した勝利の哲学である。確かに戦火の日々、我々人民と軍隊は首領の構想と意図、命令指示を徹底して貫徹することを、人生のこれ以上ない誇りと考え、犠牲的に闘ってきた。
今日も祖国解放戦争勝利記念館を訪ねる人たちに大きな衝撃と感動を抱かしめるのは、偉大な首領様におかれて戦闘最前線の勇士たちや後方の人民たち、少年近衛隊員たちが謹んで尽くした忠誠の宣誓文である。首領と人民の一致団結の縮図である歴史の証明物は戦争勝利の根本源泉がどこにあって、帝国主義が持つことも真似することもできない朝鮮の《絶対兵器》が何であるかを後世にまで伝えるくれる永遠の勝利の証明書である。アメリカ帝国主義は自分たちの敗戦原因について、不利な地形に当たってしまい、時期を間違えて選んだという風に弁明した。しかし敵たちは、昨日も誤算し、今日も誤算している。偉大な首領を奉る国。首領と一心一体をなす偉大な人民に敢えて手出ししようとする者たちは、いつであれどこであれ、敗北を免れない。 (続く)
【拙稿参照】
『労働新聞』の論説―朝鮮戦争70周年(1) https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/07/27/9605137
『労働新聞』の論説―朝鮮戦争70周年(2) https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/07/31/9606151
『労働新聞』の論説―朝鮮戦争70周年(3) http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/08/04/9607167