4・3事件に隠されている真実2026/04/03

 今からちょうど78年前の1948年4月3日に、韓国済州島で起きた事件です。 詳しい内容は「4・3事件」で検索してお調べください。 日本では毎年のように、この事件犠牲者の追悼集会が開かれています。 また今日から事件を扱った映画が公開されるとのことです。 https://hallan-movie.com https://www.asahi.com/articles/ASV3T4CPPV3TPTIL007M.html

 ところでいま世に出ている4・3事件の説明は、権力側(軍・警・右翼)による白色テロばかりがクローズアップされています。 しかし実際は、残虐非道な殺害は権力側の白色テロだけでなく、反権力側(南朝鮮労働党)の赤色テロにもありました。 何万人もの島民が犠牲となった責任は権力側にあるのはもちろんですが、島民を巻き込んで闘った反権力側にもあります。 しかし権力側の白色テロの残忍さばかりが強調されていて、反権力側の赤色テロの残酷さにはほとんど触れられていないのです。

犠牲者数や件数などにおいて、量的には白色テロが赤色テロよりはるかに多かったのは事実です。 最近の毎日新聞の記事 https://mainichi.jp/articles/20260401/k00/00m/030/230000c によれば、次のように記されています。

軍の「討伐隊」による殺害が86・1%、蜂起した「武装隊」による殺害が13・9%

 つまり86.1%が白色テロ、13.9%が赤色テロですね。 白色テロは赤色テロの六倍以上となります。 しかし多数だからと言って一方だけを表に出して、少数を無視するのはいかがなものかと考えます。 権力側も反権力側も互いに憎しみ合って悪魔と化し、相手側本人だけでなくその家族や島民をも殺戮していきました。 しかし韓国の歴代保守政権は「アカの暴動」として一方の白色テロを正当化しました。 そしてその反動でしょうか、金大中政権以降の2・30年間は白色テロの残虐性ばかりが取り上げられて、その不当性が叫ばれてきたのでした。 

 そこで拙ブログでは下記のように反権力側による赤色テロを取り上げました。 4・3事件だけでなく何事もそうですが、歴史的な事件を語る時は〝当事者でない者は対立する双方のバランスを取りながらそれぞれが主張する「事実」を調べた上で論じるべきである”というのが私の考えだからです。 しかも4・3事件は日本ではなく外国で起きたものであり、また日本人は事件に全く関係していなかったのだからこそ、感情移入せずに公平かつ客観的に見なければならないと考えます。

 事件を検索すれば白色テロばかりが出てきますが、皆さまには同時に赤色テロも知ってほしいと思います。

【南労党の4・3赤色テロ】

済州島4・3事件の赤色テロ(1)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/06/10/8890890

済州島4・3事件の赤色テロ(2)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/06/18/8896622

済州島4・3事件の赤色テロ(3)   http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/06/23/8900976

済州島4・3事件の赤色テロ(4)-警官家族へのテロ http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/06/30/8906338

済州島4・3事件の赤色テロ(5)―右翼家族へのテロ  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/07/05/8909472

済州島4・3事件の赤色テロ(6)―評価は公平に    http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/07/10/8912907

 

 世に出ている4・3事件の説明では、武装蜂起を計画し主導した「南朝鮮労働党(南労党)」の名がなかなか出てきません。 「島民の蜂起」のように、まるで一般人が武器を持って立ち上がったかのような説明が多いです。 しかし実際の事件は南労党が計画・準備して蜂起したもので、その実行部隊は「武装隊」「山部隊」「遊撃隊」などと呼ばれていました。 そしてそれまでの権力側の過酷な弾圧に反感を覚えていた多くの島民がこの部隊に協力したのでした。 事件は南労党が島民を巻き込んだ武装蜂起と言うことが可能でしょう。 南労党は武装蜂起と同時に赤色テロを実行していったのでした。 ところが南労党は事件の一方の主役であったにもかかわらず、事件の説明にはこの南労党が隠蔽されているのです。 皆さまには「島民の蜂起」というような言葉に惑わされないようにお願いします。

【南労党を隠蔽する】

4・3事件-南労党を隠ぺいする読売解説  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/11/19/9000560

4・3事件 南労党を隠ぺいする毎日新聞  http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2020/02/29/9218957

南労党を隠ぺいする韓国マスコミ     http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2019/04/04/9055271

4・3事件―ハンギョレ新聞も南労党を隠ぺい https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2022/11/03/9537878

韓国映画『チスル』           http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2014/06/01/7332806

 

 武装蜂起の目的は〝南朝鮮単独選挙に反対して”と記されているのが多いのですが、実は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)建国のための選挙(いわゆる「地下選挙」)が済州島で実施されたという事実がほとんど全く記されていません。 4・3武装蜂起は一ヶ月後に行なわれる予定の韓国建国のための5・10制憲議会選挙(いわゆる「単独選挙」)を阻止し、そして代わりに北朝鮮建国のための「地下選挙」の実施を企図するものであったのです。 実際に地下選挙によって済州島では6人の南労党幹部が代表者として選出され、北朝鮮に派遣されて朝鮮民主主義人民共和国の建国に参画したのでした。

 つまり今の世に出ている事件の説明では「祖国を分断する選挙」だとして〝単独選挙に反対した”としているのですが、同じく「祖国を分断する選挙」であったもう一つの〝地下選挙に賛成した”という事実が隠蔽されているのです。

【北朝鮮建国の選挙―いわゆる「地下選挙」】

朝鮮民主主義人民共和国の正統性は何か?      https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2023/11/21/9636056

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の建国日は本当か? https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2024/10/10/9723031 

 

 南労党は済州島中山間部の村で、5・10制憲議会選挙(単独選挙)の投票日に村人が投票に行かないように山奥に集団で移動させました。 ですからその日の村は人が誰もいないガランとした状態になり、選挙管理人が投票を呼び掛けようと村に入っても無駄だったようです。 そのために済州島選挙区での選挙は投票率未達のために無効になりました。 (ただし翌年再選挙を実施し、選挙を成立させた)

 ところがそういった村では、二ヶ月後の7月の「地下選挙」で村人は投票したのです。 つまり単独選挙の投票を拒否しながら、地下選挙の投票には参加したのでした。 権力側(軍・警)は、単独選挙を拒否し地下選挙に協力した村を「ハルゲンイ(赤)の村」と定めて白色テロへと進んでいったのでした。 それは村を焼き払い、村人を老人・女・子供も関係なく無差別に皆殺しにするほどの苛烈なものでした。 残忍な殺戮にはこのような経緯や背景があったことも知っておくべきでしょう。

 

 皆さまには本やネットを検索して得られる情報だけでなく、武装蜂起を計画し実行した「南朝鮮労働党(南労党)」、その南労党による「赤色テロ」、北朝鮮建国のために実施された「地下選挙」、そして「白色テロの経緯と背景」、そして何よりも大韓民国を否定するための事件だったことなども知った上で、4・3事件の全容を理解されるようにお願いします。 またわれわれは事件の当事者ではありませんから、白色テロの犠牲者も赤色テロの犠牲者も、ともに等しく追悼してほしいと思います。

 

【4・3事件を語る金時鐘氏への疑問】

金時鐘氏への疑問(5)―政党加入・4・3事件  https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2025/04/18/9769221

金時鐘氏への疑問(6)―4・3事件(その2)   https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2025/04/23/9770375

金時鐘氏への疑問(7)―4・3事件(その3)   https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2025/04/28/9771478

金時鐘氏への疑問(8)―西北青年団       https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2025/05/02/9772477

金時鐘氏への疑問(9)―韓国否定と北朝鮮容認  https://tsujimoto.asablo.jp/blog/2025/05/09/9774295