韓国人のアンビバレントな感情2017/10/01

 朝日新聞に「池上彰さんが歩く韓国―少女像を守る学生『日本好き』」と題する記事があります。 ソウルの日本大使館前の慰安婦像を守る活動をしている学生にインタビューしているのですが、興味深いのでその部分を引用します。   http://www.asahi.com/articles/ASK9V4JXXK9VUTQP00V.html

いつまでやるつもり?    「韓日合意を廃棄するまでです」

なぜこんなことを?      「(慰安婦問題は)歴史の中の話だと思っていました。でも、(元慰安婦の)おばあさんの話を聞いて、今も進行していることだと知ったからです」

大使館の前に少女像を置くことはウィーン条約に違反していると日本は指摘する。条約では大使館の受け入れ国には「威厳の侵害を防止するためすべての適当な措置をとる特別の責務を有する」となっている。どう思う?       「民間人が私費を投じてつくったもので、威嚇するものではありません」

日韓合意で、慰安婦問題は解決済みと合意したことについてはどう思う?      「おばあさんたちはそれに対して、とても反発しました。公式謝罪や法的賠償については何の言葉もなく、しかも賠償ではなく、補償金、寄付金の状態でお金をもらうという、怒るしかない状況でした」

そのお金を受け取ったおばあさんたちもいるが。       「おばあさんたちも多様です。名誉と人権を回復しようという考えの人もいましたが、疲れ果てた人もいます。高齢ですし、『自分は終わりにする』という人もいるわけです」

安倍総理が謝罪している。あれでは不十分?        「真摯(しんし)さをみせようとするなら、直接おばあさんたちを訪ねるべきです」

国民の選挙で選ばれた政府同士の約束は、それぞれの国民に不満があっても守るのが民主主義では?      「大統領が国民を無視して結んだことです。私たちが朴槿恵(パククネ)大統領を引きずり下ろした大きな理由の一つがこの問題だと思います」

あなたは日本が嫌い?        「いいえ、好きです。漫画も好きですし、ハハハハハ。すしも好きですし。隣の国ですし。外国に行けば、顔が似ているじゃないですか。日本人に会えば、懐かしくなります。歴史的な事実について解決すれば、もっと良い関係になるのではないかと思います」

 慰安婦問題で反日活動をしながら、日本が好きだと堂々と言う学生です。 これはこの学生に限ったことではなく、韓国人の一般的な傾向です。 また新しく出現したものでもなく、昔からある傾向です。 つまり「反日」と「親日」が同時存在(アンビバレント)しており、彼らはそれを矛盾とは思っていないということです。 

 池上さんは徴用工像について、その活動家にインタビューしています。

一方、徴用工像を建設する動きはなぜなのか。 韓国労働組合総連盟対外協力本部局長の曺善児(チョソナ)さんに聞いた。       「慰安婦問題は国民全体が力を結集していますが、強制徴用の問題は今の時代に生きている労働者たちが掘り起こしていく必要があると考えました」

日本で戸惑いが広がり、平昌五輪で韓国に行きたくないよね、という声もちらほら聞かれるが?         「労働団体である私たちの場合、強制動員で日本の工事現場や工場で犠牲になったり、生き抜いてきたりした人々を改めて記憶することが重要だと考えるわけです。私たち自身が忘れてはだめだという趣旨でこの事業を始めました」

日韓請求権協定で解決済みと日本政府は言っているが?       「私たちは清算がされていないと思っています。実際にあったことをまた起こさないために、未来を模索するための合意が必要です。正常な状態なら、加害者が被害者に『申し訳なかった』と言い、被害者が加害者に『許します』と言います。それを基盤にして、これから平和に過ごそうという約束をします。それが正常な解決だと思います」

国と国が約束したら、それは守らなければならないのでは?        「一般的にはその通りですが、『慰安婦問題は事実ではない、それらの人々は自発的に来た』などという人が日本の政界に出て来なければ、状況はここまでにならなかったでしょう」

 これは予想通りの内容です。 池上さんはさらにこの徴用工像を熱心に見ている人にインタビューします。

日本政府が謝罪しても、日本国内で「そんな事実はなかった」と言い出す人がいると、韓国側が硬化する。その繰り返しだということだろう。すでに徴用工像が立てられているソウル市内の竜山(ヨンサン)駅前。高齢の女性が像を熱心に見ていたので声をかけた。71歳だった。         「おじいさんやおばあさんが苦労した話を知っています。日帝時代35年の苦労を知っています。今があるのは祖先のおかげです」

日本をどう思う?         「とても親切で、礼儀もあり、良い印象です。また(日帝時代に)汽車もつくり、韓国を発展させました。いい部分もありますし、感謝もしていますが、最後に正しく締めてくれればいい」

 池上さんはこのインタビューの後、次のような感想を述べます。

驚いた。日本が朝鮮半島を統治していた時代、「日本はいいこともした」と日本の政治家が発言して大騒動になったことがあるが、まさか韓国の人から同じような発言が出るとは。でも、これも現代の韓国の一断面なのだろう。         韓国の労働組合の方針について、私の韓国滞在中の9月中旬、韓国の新聞2紙が同時に社説で批判を掲載した。「『韓国は外国公館の安寧と品位を守ってくれない国』という世界の見方が、韓国にとって何の得になるのか疑問だ」(朝鮮日報)「日本は緊密な安保的協力関係を強めるべき、地理的に最も近い隣国だ」「感情的に葛藤を深めることは自制しなければいけない」(中央日報)          少女像を守る女子学生が「日本は好き」とあっけらかんと発言し、新聞が自制を呼びかける。平昌五輪を控える韓国社会に、明らかに変化が見える。モヤモヤは消えないが、少し晴れた気もする。

 池上さんは「韓国社会に、明らかに変化が見える」としていますが、これは間違いでしょう。 上述しましたように韓国では昔も今も「反日」と「親日」が同時に存在しており、それが各個人も有している感情なのです。 だから「反日」だと思って警戒しながら近づくと意外に親切にしてくれて「あ!この人、親日なんだ」と思ってしまったり、逆に「親日」だと思って近づくと「反日言動」にビックリすることになります。

 相反する感情を同時に有していることを「アンビバレント」と言いますが、韓国人の日本に対する感情が正にアンビバレントなのです。 池上さんのインタビューは昔からあるアンビバレントが現れただけで、「明らかに変化が見える。モヤモヤは消えないが、少し晴れた気もする」と楽観視するのは、いかがなものかと思います。

 韓国人が日本に対して有するアンビバレントな感情は、日本人には理解が難しいものです。 だからなのでしょうか、嫌悪・うんざり感の嫌韓派と韓国にのめり込む韓流派と、両極端化していますね。 嫌韓派は韓国に関心があるのに韓国語を勉強しようとせず、韓流派は嫌韓雑誌に見向きもせず‥‥。

 韓国のアンビバレントと、それに対応する日本の両極端化は興味深い現象だと思います。 一人が相反する感情を同時に持つことができる韓国人と、一人は一つの感情しか持てなくて相反する感情を持つ複数の人間に分かれる日本人‥‥となりましょうか。

コメント

_ 河太郎 ― 2017/10/05 10:34

>池上さんのインタビューは昔からあるアンビバレントが現れただけで、「明らかに変化が見える。モヤモヤは消えないが、少し晴れた気もする」と楽観視するのは、いかがなものかと思います。

「少し晴れた気もする」は私も甘いと思いますね。

韓国が官民あげて日本断罪作戦を国内外で展開している事実に照らすと、日本好き寿司好きなど全く無意味ですから。アニメ寿司好きが韓国の歴史捏造に何ら影響を与えていないのは明かです。

しかし、よく考えてみれば、歴史認識問題とアニメすし好きについては、前者は認識・知性の領域ですが、後者は味覚・感覚の問題ですので、両立しても不思議はないとも言えます。

>韓国人が日本に対して有するアンビバレントな感情は、日本人には理解が難しいものです。

「アンビバレント」のもう一つの例として、同じ事柄について発言する場所で全く違うというのがあります。

「昼は反日、夜は親日」というやつです。

内心では戦前の日本統治を評価している部分もあるが、人前では日本批判を唱えなければならない、日本統治評価などトンデモナイ、と。

同じ事の評価が私的会話と人前議論とで全く異なる現実があるのです。

日本に関する発言は言論の自由が無いのが韓国です。

日本に関して肯定的発言が堂々と言えるようにならないと
日韓摩擦は無くならないでしょう。

慰安婦問題、徴用工問題では日本に理があるのは明かですので、歴史事実をまげて韓国に譲歩するのは百害あって一利なしです。

毅然と対応するのが正しい対応です。

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