在日の密航者の法的地位 ― 2013/06/23
在日韓国・朝鮮人の来日事由について、一般的には「日本の植民地支配に起因して渡日し、そのまま在留した人、およびその子孫」とされていますが、実際にはそういう人たちだけでなく、戦後(解放後)に密航で来日した人がかなりの数になります。
小熊英二・姜尚中編『在日一世の記憶』(集英社新書2008年10月)には、在日一世とされる52人の体験談を記録しています。そのうちの12人が戦後(解放後)の来日で、そのうち合法的に来日した人は一人で、他の11人は不法入国(密航)です。
http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2008/12/31/4035996
彼らはこのような本に登場するぐらいですから、かつての不法行為についてはすでに清算・解決し、現在は合法的な在留資格を得ていると思われます。しかし彼らがどのようにして合法的な在留資格を得たのかについて、それほど知られていないようです。
本格的に調べたことはありませんが、私が見聞きした範囲で次のような例がありました。
密入国の時効は3年ですから、密航して摘発されることなく3年を過ごせば、罪に問われることはなくなります。しかし不法滞在状態が続きます。 次にその間に日本に合法的に在留している人と結婚して子供を作ります。子供は配偶者の合法的在留資格を継承しますので、この家族は不法滞在者一人と他は合法滞在者という構成になります。 それから頃合い(大抵の場合子供が入学する時期)を見て「私は密入国者です」と警察や入管に出頭します。当然密入国の経緯等の取り調べを受けますが、すでに家庭を支えている大黒柱となっています。 彼一人を本国強制送還することは難しく、多くの場合法務大臣から特別在留許可を貰うことになります。最初は在留期限一ヵ月を繰り返しますが、何事もなく過ごせば三ヵ月、六ヵ月、一年‥‥と長くなり、最終的には一般永住資格を持つこともあります。 出頭して自分の身分を明らかにするまでは、不法滞在がバレやしないかとヒヤヒヤしながら、目立つような行動をせず、絶対に警察沙汰にならないように気をつけて生活します。特に注意を要するのが、同胞らによる密告です。
密航者が日本に定着するまでは、だいたい以上のような経過をした人が多いようです。それ以外の場合もありますが、過去の経緯はどうであれ、現在は合法的に在留しています。自分の来日経緯を「密航だ」と堂々と語る在日がいるのは、捜査当局の取り調べを経たうえで、法務大臣より特別在留許可を得たからです。
しかし在特会のレイシストたちは過去の経緯を持ち出し、在日は不法に日本に来たのだから今も不法滞在だとして日本からの追放を主張し、「帰れ」「死ね」と叫びます。
在特会は、ただひたすら品性卑しい人たちとしか言いようがありません。