国籍を考える―ケンブリッジ飛鳥の場合2017/07/21

 ケンブリッジ飛鳥は陸上短距離走選手で、2016年リオ・オリンピックで銀メダルを獲得するなど、日本陸上界のエースとも言える存在です。 国籍を考える場合、彼の例がちょうどいい材料となるので紹介したいと思います。 念のために、彼を批判するものではありません。

 彼のプロフィールは次の通りです。

 氏 名 : ケンブリッジ飛鳥

 生年月日: 1993年5月31日

 出身地 : ジャマイカ

 両 親 : 父はジャマイカ人、母は日本人

 その後 : 2歳の時に日本に移住。2014年2月にトレーニングの為に単身でジャマイカに渡り、18年ぶりに故郷ジャマイカの地を踏んだ

 ここからか何が読み取れるか、です。 まず出身地がジャマイカですから、この国の国籍生地主義により出生と同時にジャマイカ国籍です。

 次に彼は今まで日本国籍であったということなので、両親はジャマイカの日本領事館に行って出生届と国籍留保届けを提出、受理されたはずです。 これによって彼は日本国籍も取得しました。 つまりジャマイカと日本の二重国籍者です。

 次に「ケンブリッジ飛鳥」という名前が本名(戸籍上の名前)のようなので、両親は法律婚であり、日本人の母親は自分の名前をジャマイカ人の父親の名前に改姓したものと判断できます。 妹さんの名前が「ケンブリッジ沙紗」ですので、「ケンブリッジ」がこの一家の家族名=姓ということになります。 一家は1995年から日本で生活してきましたので、父親は日本に帰化しているかも知れませんが、これは分かりませんでした。

 彼は二重国籍者ですから22歳までに国籍選択をせねばなりませんが、これは不明です。  どの記事を見ても、彼がジャマイカ国籍を離脱したとか、あるいは日本国籍の選択を宣言したとかの話がありません。 ということは、彼は二重国籍を維持してきて24歳の現在も二重国籍の可能性があります。

 ただし彼はオリンピックに出場していますから、日本単一国籍となっている可能性もあります。 また例え二重国籍であってもジャマイカから異議申し立てがなされていませんので、日本国籍者としての出場に問題はありません。

 彼は20歳に故郷のジャマイカを訪問していますが、日本のパスポートで行ったのか、ひょっとしてジャマイカ人としての帰国だったのか、不明です。

 公表されている彼の簡単なプロフィールからは、これだけの情報が読み取れます。

 世間では彼が日本国籍者であることに関心があって、もう一方のジャマイカ国籍については関心が行かないようです。 これが正解です。 彼が日本国籍を有していることが重要なのであって、二重国籍かどうかなんて、どうでもいいことなのです。 当事者でない他人が人の二重国籍を気にするものではない、ということです。