新型肺炎騒ぎに見る国籍と永住権 ― 2020/02/12
2月11日付のYahooに、次のようなニュースが掲載されました。 国籍と永住権を考える上で興味深いもので、その部分を引用します。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200211-00000004-courrier-int
カナダの永住権を持っているだけではダメ 湖北省・武漢市で新型コロナウイルスの拡大が始まったとき、カナダ人のモント・ギズボーンの妻と義理の娘は、同市に住む親せきを訪れていたところだった。 ギズボーン自身は、この武漢への旅行に同行していなかった。 まもなく武漢は封鎖され、カナダ政府は自国民を帰国させるチャーター機を手配したが、そこにギズボーンの妻と娘は乗せてもらえなかった。 ギズボーンによれば、妻と娘はカナダの永住権は持っているが、市民権は持っていないために「除外」されたのだという。
この措置に、「私たちはカナダ人家族ではないのか?」とギズボーンは憤る。 ギズボーンの妻ダニエラ・ルオと娘ドミニカ(9)は永住権を持ち、カナダ市民とほぼ同等の権利が認められている。 しかし、カナダ政府は、カナダ市民権を持つ未成年者を連れている場合にかぎり、永住者がチャーター機に搭乗することを認めるとした。そのため、ルオとドミニカは武漢にとどまることを余儀なくされた。 「この基準に何らかの根拠があるのなら、それを明らかにしてもらいたい」とギズボーンは言う。 「私はカナダ政府からの説明を求める」
このような「国籍の壁」に直面している家族は多い。 カナダの市民権を持つカイ・フアンは、78歳の母親を武漢に置き去りにして出国便に乗るかどうかの選択を迫られたと、カナダのテレビ局に語っている。 母親はカナダの永住権を持つが、市民権は持たないために、チャーター便に乗ることができなかったのだ。
また、武漢で働くイギリス人のナタリー・フランシスは2週間前に、息子のジェイミー(3)は帰国便に乗せられないと、英当局から言われたという。 ジェイミーはイギリスと中国の二重国籍であり、その中国国籍が原因とのことだった。 最終的にはジェイミーにも帰国便の席が与えられたが、フランシスのおばが英BBCに語ったところによれば、「本当に離陸の直前まで、母子が一緒に搭乗できるかどうかわかりませんでした」。
永住権はその国ではあくまで外国人です。 その国に留まる限りは内国民とほとんど同じ扱いを受けることが可能ですが、一旦その国から出ると永住権などは考慮されることなく、国籍すなわちパスポート発給国の人間として扱われます。
在日韓国・朝鮮人も日本では永住権者ですが、日本から出ると在日であること、即ち特別永住者であることは考慮されることなく、本国の韓国・朝鮮人と同じ扱いになります。
今回の新型肺炎では、武漢・湖南省に在日がいないようなので問題が起きていませんが、もしいたとしたら、日本政府が派遣するチャーター機には乗れず、また日本大使館・領事館の保護も受けられず、ずっと中国に留め置かれることになっていたでしょう。
ある在日は、自分は韓国のパスポートを持ってはいるが、韓国語ができないので海外旅行はしない、もし万一の時が怖いから、と言っていましたねえ。
【拙稿参照】
在日朝鮮人が海外旅行すると‥ http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daisanjuunidai