英国チャールズ3世のトンデモ行状―『週刊朝鮮』2022/09/29

 今回はこれまでのような韓国・朝鮮とは関係のない話です。

 『週刊朝鮮2725号』(2022年9月19日)に、「〝コーヒー浣腸″にのめり込んだチャールズ3世即位 イギリス医療界緊張」と題するコラムがありました。 英国の新国王チャールズ3世が皇太子時代にエセ医学療法を信じて、健康保険適用までさせていた事件があったという内容です。

 これは日本ではほとんど報道されていませんが、韓国の『週刊朝鮮』という有力誌に載りましたから真っ赤なウソではないでしょう。 イギリスのマスコミではどう報道されているのでしょうか、それがあれば記事の信ぴょう性がどれほどなのかを確かめられるのですが。

 『週刊朝鮮』の記事を翻訳してみました。 執筆者はパク・ハンスルという人です。

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〝コーヒー浣腸″にのめり込んだチャールズ3世即位 イギリス医療界緊張

 去る9月8日(現地時間)イギリス女王エリザベス2世が逝去した。 70年の間に15人の総理が入れ替わった国王の死である。 彼女の逝去のニュースに世界各国から哀悼の意を表す行列が続いているが、葬儀よりもゴシップに関心が多い人たちはもう彼女の後を継ぐ人に注目している。 イギリスの歴史上、最も長く皇太子を務めた悲運の男、チャールズ3世がその主人公だ。

 チャールズ3世は、悲劇的な死を迎えた故ダイアナ皇太子妃のために元々大衆からの評判が悪かった。 ダイアナの死にまつわる多くのミステリーはもちろんのこと、彼女の死亡前から自分と不倫関係であったカミラと再婚までしたのだから、ただでさえ怒っていた世論に更に火に油を注いだのだ。 もう25年経ってはいるが、今でもあの事件が大きな話題となっているくらいだから、事件の余波がどれほど大きかったかを知ることができる。 ところでチャールズ3世が大きな非難を受けねばならないことが、もう一つある。 それは彼が王室の権威を不適切なやり方をして、イギリスの医療界に大きな害悪を及ぼしたからだ。

 国内ではそれほど知られていないが、西欧圏ではそれなりに知られているエセ医療法がある。 「同種療法(ホメオパシー homeopathy)」という名前の治療法(?)であるが、簡単に説明すればこうである。 プールで醤油を一滴落としたとしよう。 醤油の一滴を落としたから、そのプールの水は醤油だと言うことができるか。

「コーヒー浣腸」で抗ガン治療をしようと言ったチャールズ3世

 同種療法を信じる人たちは「そうだ」と言う。 更にはそのプールの水を汲んで他のプールに一滴落とせば、そのプールもまた醤油だと主張する。 こんなやり方で数百~数千倍に希釈した実質「真水」を薬草成分のある水だと主張して売るのが、彼らのエセ医療人の事業モデルだ。 自分たち同士でそのように信じているならば、それはどうすることもできない。    問題はチャールズ皇太子が以前からこの同種療法に心酔していたという事実である。 平凡な個人ならば変なことを信じているとして大きな問題にならないだろうが、彼はイギリス王室の次期王権継承者である皇太子だった。 彼がその関連行事にずっと参加し続けて支持を表明すると、エセ療法を胡散臭く思っていた人さえもそれに関心を寄せ始めた。

 有名インフルエンサーが正体不明の健康食品を宣伝すればその追従者たちが関連製品を購入するのと同じように、イギリス王室に対する信頼と厚意がとんでもない方向に動くことになった。 一歩退いて考えれば、ここまでは大きな問題ではないと言うことができるだろう。 しかし2004年に大事故が起きる。 チャールズ皇太子が全イギリスの抗がん治療専門医を集めておいて、「コーヒー浣腸」を宣伝したのだ。

 彼が主張したコーヒー浣腸というのは、こういうものだ。 がんは体に毒素が溜まってできる病気であるが、コーヒーを肛門から注入して腸をきれいに掃除すれば、そんな毒素が抜け出て抗がん治療になるという論理だ。 これを「ゲルソン療法(Gerson Therapy)」と呼ぶが、当然ながら医学的検証を経ていないエセ医学であり、かえって健康を害することもある危険な方法である。

 公式の医学学会の場で皇太子の口を通してそんな荒唐無稽な主張が出るや、それまでイギリス王室と皇太子の権威を尊重して彼のとんでもない主張に沈黙で対応してきたイギリスの医師たちが声を上げた。 当代最高の医学権威者のうちの一人であるマイケル・バウム ロンドン大学名誉教授は、イギリス医学ジャーナル(BMJ)で公式に皇太子の言動に反駁する声明を出した。 「尊敬する皇太子様、あなたが間違っておられます」と。

 「皇太子様が自分の権威を利用して、難治病患者たちに検証されていない治療の使用を勧めるのは、ご本人の権威が医学的知識ではなく、血統から来るものだということを認めて、注意してお使いください。」 問題は、彼は厳しく批判されも同種療法に対する信用を全く止めなかったということだ。

エセ療法を保険適用するように圧力行使

 チャールズ皇太子は公開の場で反発され恥をさらしたのだが、自分の影響力を使って自分が信じているエセ療法をイギリス健康保険が公式に支援するように圧力をかけた。 その試みとしてチャールズ皇太子は2007年イギリス保険部長官に書信を送ったのだが、情報公開請求でこのような圧力をかけた事実が暴露された。

 医療界と科学界からの攻撃にも拘わらず、彼は書信で自分の信じるエセ医学こそが不治の病の患者たちを治療するのだと主張し、「イギリス健康保険(NHS)からこの療法に支援を送らねばならない」と主張した。 この時期に色んな閣僚や有力議員たちに同じやり方で自分の意思を込めた書信とメモを送った。 そして驚くことに、彼の圧力行使は受け入れられたのだ。

 結果だけを見れば、2010年にイギリス健康保険から同種療法を最終的に外す時まで、イギリス国民は「真水」に年間4600万ポンド(約737億ウォン)の税金を浪費した。 イギリス健康保険は別途に健康保険料を集めるのではなく、国民の税金を財源に充てたのである。    このように皇太子の身分でもって、自分が信じている間違った信念を実現するために不当な圧力を行使した皇太子が国王の席に上がるとしたら、どうなるのか。 実際に彼は最近の2019年でも同種療法協会の公式後援者をしており、彼のエセ療法に対する信用は冷めていないことを証明しているのである。 その間に見せた彼の行状から推し量ると、即位後には皇太子の頃よりももっと積極的にエセ療養の宣伝を繰り広げる可能性がある。

 イギリス王室が国民の支持と尊敬を受ける理由は王室の人たちが政治に関与せず、象徴的な国家元首として国民統合の機能を遂行してきたからである。 しかし、母のエリザベス2世とは違ってチャールズ3世が積極的に自分の意思を披歴するならば、自国の医療界と「コーヒー浣腸」をめぐって反目したような呆れた場面が再演されるかも知れない。

コメント

_ 海苔訓六 ― 2022/09/29 08:40

私がコーヒー浣腸というのを初めて知ったのは新谷弘実さんの『病気にならない生き方』という本を読んだ時でした。そんな浣腸があるのか!と驚きましたが。
朝鮮人関連でいうと、韓国ドラマや韓国映画みていると、韓国は日本以上に『瀉血治療』が普及しているようですね。
日本で今上天皇が瀉血治療やコーヒー浣腸推奨したらさすがに問題になると思います。
天皇や国王に限らず有名人は健康法は気をつけて発信しないと色々変な社会的影響あたえる気がしますね。
亡くなった漫画家のさくらももこさんはエッセイで『飲尿療法』を推奨していましたし。
蛇足ですが『部落探訪シリーズ』動画を見ていたら静岡県清水区に被差別部落があって、さくらももこさんやちびまる子ちゃんに登場する人物像が被差別部落関係者ではないかとする説もあると解説されていて、全然知らなかったので驚きました。

https://youtu.be/KzL1H_hTQ6M

_ 海苔訓六 ― 2022/11/19 21:18

今日のニュースでフォアグラ禁止令を出したとか報道されていました。
この人、頭大丈夫なんでしょうか?

_ 辻本 ― 2022/11/19 22:47

英王室での料理にフォアグラを出すな、というものですね。
フォアグラはヨーロッパでは、動物虐待だから反対するという意見が強くあります。
これに倣ったのでしょう。
イギリス国民に対する禁止令ではありません。

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