在日特権―税制の優遇はあるのか?2024/03/03

 先月、国会でいわゆる「在日特権」について議論があったそうです。 内容は在日への税制優遇があるのかという質問に対して、国がそれを否定したというものです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b7806079c4c062005ed357a4abbe305eb3b2215c

28日の衆院予算委員会分科会で、在日コリアンへの憎悪をあおるデマとして知られる「在日特権」が取り上げられた。日本維新の会の高橋英明氏が、税制面の優遇措置といった特権はあるのかと質問。国税庁は「対象者の国籍であるとか、特定の団体に所属していることをもって特別な扱いをすることはない」(田原芳幸課税部長)と否定した。

高橋氏が「在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)とか、それに関わる法人個人も一切の優遇措置はないのか」と聞くと、田原氏は「特別な取り扱いをすることはない」と明言した。

「在日特権」を巡り、自民党の杉田水脈衆院議員はXに「実際には存在します」と投稿、批判を招いている。

 記事では「特権」とは、税の優遇措置を言っています。 これは国税庁の言うように「ない」とするのが正解です。 ただ所得の捕捉率という問題点で、かつて在日は有利だったと言うことはできます。    所得の捕捉率の問題というのは、税務署が課税所得を捕捉する際に業種間格差=不公平が激しかったことです。 クロヨンは今は死語かも知れませんが、よく聞いた話です。 これは、捕捉率が給与所得者なら9割なのに、自営業者なら6割、農業従事者なら4割だという意味です。 実際はもっと酷くて、トーゴーサンピン(給与所得10割、自営業5割、農業3割)だと言われていて、サラリーマンでなければかなりの税を免れていたのでした。

 かつての在日は就職が難しかったのですから、自営業をする人が多く、上記でいえば5~6割の所得捕捉率で、それだけ税を免れていたということです。 在日だからではなく、自営業だから免れていたのでした。 つまり日本人も同じだったのでした。 ただ在日は自営業が多くて、税制で優遇されているように見えただけと考えられます。

 なお在日の中でも朝鮮総連系の自営業者は、ちょっと違った様相を見せていました。 総連は傘下に朝銀(朝鮮信用組合)という金融機関がありました。 総連系の自営業者は朝鮮商工会に加入して、朝銀から融資を受けて事業を行ないます。 銀行が自分の側に立つのですから、課税所得を隠すことが難しくありません。 税務署もこれを知っていて追及するのですが、会計帳簿をハングルでつけるという手段で対抗したという話を聞いたことがあります。

 また、こんな話も聞いたことがあります。 あるパチンコ屋は本当なら2億円の税金を払わねばならなかったところ、朝鮮商工会と朝銀が組んで会計操作し、2000万円の税金で済ませ、残りのうち2000万円は当のパチンコ屋、4000万円は総連に、そして1億2000万円は祖国の北朝鮮に送金する、という話でした。 この話は1990年代初めに知ったものです。 北朝鮮はソウルオリンピックに対抗して第13回世界青年学生祭典を1989年に大々的に挙行したため、経済的にかなり窮迫した状況になっていました。 それで日本の朝鮮総連が毎年600億円を北に送金して支援しているということでした。 総連はどうやってそのお金を用意できたのか。 その説明のなかで、上記の話が出てきたのです。 本当かどうか分かりませんが、脱税が資金となっているというのは、バブルの真っ最中の時期でもあったので、さもありなんと思いました。

 しかし1990年代に入ってバブルは崩壊して、朝銀は破たんし、朝鮮商工会の在日会社の多くが借金を抱えて倒産しました。 朝鮮総連も財政が苦しくなったようです。 かつてのような甘い汁は吸えなくなりました。 これで総連がまともになってくれていたらいいのですが、どうなんでしょうねえ。

 ところで話は飛びますが、税制の優遇措置は在日ではなく、いわゆる部落にありました。 1968年頃かと思いますが、国税局と解放同盟の部落解放企業連絡会との間に税務申告の密約協定が結ばれ、この連絡会の企業からの税務申告はすべてフリーパスとなった、というものです。 だから税務署員は同和業者と分かると最初から見なくなった、と言います。 こうなると“政府公認の税制優遇措置”=「特権」と言っていいと思います。 国会議員さんはこれに気付いてほしいですね。

【在日特権に関する拙稿参照】

もう一つの在日特権       http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2018/11/13/8997080

在日特権            http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2008/01/12/2556636

在日の通名は特権ではない    http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/10/23/7019964

在日の生活保護         http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/06/16/6867746

在日の特別永住制度       http://tsujimoto.asablo.jp/blog/2013/06/14/6864389

【訂正】

ちょっと間違えましたね。

国税庁と朝鮮商工会(朝鮮総連系)は、1967~8年ごろに、秘密協定を結んでいたようです。

これが後に「在日特権」と言われる材料になったわけですが、今はないようです。

いつごろなくなったのかは分かりませんが、1990 年代末に朝銀が破たんしたからではないかと思うのですが、どうでしょうか。

      (2024年3月7日 記)

コメント

_ 菜々師 ― 2024/03/05 10:40

国税に関してはそのとおりですね。
以下のnoteでも指摘ありますが、議員の質問が不適切で市民税に関しては「在日特権が『ある』」というのが正しいところです。

いわゆる「在日特権」問題について何も知らない山岸智史さん|肥モン
https://note.com/koemonn7/n/n86dcd7a109bb

_ 辻本 ― 2024/03/05 13:08

伊賀市の事例はかなり特殊じゃないですか。
おそらくはかつて存在した同和に対する税減免措置が、在日まで適用されて、残っていたのかも知れません。
身近のところでは聞いたことはありませんねえ。

同和に対する税減免は、私が昔、同和業者でアルバイトしていた時に経験しています。
県か市に提出する書類に必要だからと、納税証明書を取りに行って来いと言われて、市役所の税務担当部署に行ったところ、法人市民税等はすべて0円で「減免」と書かれていました。
その時、同和業者は地方税を払っていないことを知りました。
社員とアルバイトで10人近い会社なのに、税を払っていない事実を知ったわけです。
そして解放同盟傘下の同和業者団体(中小企業連合のような名前だったかな?)に在日企業も入っていましたねえ。
今も、このような同和に対する税減免があるのかどうかは、分かりません。

_ 辻本 ― 2024/03/07 00:57

ちょっと間違えました。
国税庁と朝鮮商工会(朝鮮総連系)は、1967~8年ごろに、秘密協定を結んでいたようです。
訂正します。

_ 菜々師 ― 2024/03/12 08:57

こちらでも説明されていますね。
合意事項を認めなければ、特権、特別扱いがあったとは答弁しませんよね。

https://www.mag2.com/p/news/594752

_ 辻本 ― 2024/03/12 11:02

税務署は色んな商工会と何らかの合意を取り付けているみたいでしたねえ。
例えば日本共産党系の民主商工会(民商)など。
どのような合意なのか、協定を結ぶまで行っているのかは分かりませんが、確定申告で苦労してきた零細業者が民商に入ったら一発で済んだ、というような話はよく聞いたものです。

解同関係と秘密の協定を結んでいたのは確かと思われます。
先述したように私自身が同和企業にアルバイトしていたときに、事務の人から税金を払っていないことは聞きました。
ただし私の目で見たのは地方税の支払いが0円という書類だけで、それ以外は確認していません。

税金の話をするなら、在日だけでなく、クロヨンやトウゴーサンピンなども含めて、出来る限りすべてを見渡して語ってくだされば幸いです。

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